二次創作小説(紙ほか)
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.334 )
- 日時: 2016/03/18 20:48
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「実はアンタらに頼みがあるんだけどねぇ」
「あ、はい何でしょうか学園ちょ———」
「「お断りだ、こんなババァは放っておいてさっさと帰ろう造」」」
ある日の放課後の事でした。授業も終わり今日はどうするか皆さんで雑談交じりに相談していると、学園長がそのように自分たちに頼みごとがあるとFクラスにやってきました。そしてそんな学園長の頼みを一刀両断する友人のアキさんにゆーさん。……相変わらずお二人と学園長って犬猿の仲ですよねー……
「何だい、つれないねぇ。アンタらは困っている人間を助けることもできないのかい?」
「は、話だけでも聞くべきではないでしょうかアキさんゆーさん」
「造、騙されちゃダメだ。どうせこのババァ何か余計な事を考えているはずだよ」
「明久の言う通りだぞ造。ババァが俺らに何か頼み事なんざ十中八九召喚獣関連のくだらん上に面倒な話だろうぜ」
そう提案するも、心底嫌そうな顔で自分を学園長から引き離そうとするアキさんとゆーさん。どうやら相変わらずこのお二人と学園長は馬が合わないようですね。
「以前はそれで酷い目にあったからのう。造も勝手に本音を喋る召喚獣のことを忘れたわけじゃあるまい」
「…………あんな屈辱もうこりごり」
「ウチもちょっと、ね」
「あ、あはは……」
あー……そう言えばそう言うこともありましたね。本音を喋ってしまう召喚獣のせいで大暴露大会になってしまった事を思い出す自分たち。アキさん、ゆーさん、こーさん、ヒデさんはうんざりとした口調で学園長を睨みつけ、島田さん姫路さんでさえも苦笑い気味です。
「まあそう言うんじゃないよ。今度のは召喚獣に酷い目に遭わされる心配はないさね。アンタらも———アタシもね」
そう渋い顔をする学園長。そう言えば本音を喋ってしまう召喚獣の実験を行った時、最後の最後でアキさん達の召喚獣の暴走(?)によりとんでもないしっぺ返しをくらったと後日本人から聞きましたっけ。アキさんたち曰く自業自得だそうですが……
「でしたら話くらいは聞いても問題ないですよね。それで学園長、頼み事とは何ですか?」
「そうですね。学園長先生、酷い目に遭わされるような事は無いってことは今回は召喚獣関係のお話ではないのですよね」
なら手伝いくらい大丈夫と判断し、学園長に内容を尋ねる自分と真面目で優しい姫路さん。
「いいや、召喚獣の話ではあるねぇ」
「「……そ、そうですか」」
……そう期待したのですが、やはりと言うべきか召喚獣関連の頼みごとのようですね。これには手伝いくらい良いのではと考えていた自分も姫路さんも思わず怯んでしまいます。
「…… ほぅ?“今度のは召喚獣に酷い目に遭わされる心配はない”って言ったなババァ。ならイマイチ信用ならんが一応話だけは聞いてやる。それはどんな頼み事だ」
「僕も一応聞いてあげますよババァ長。で、何の話ですか?」
「おや、何だい。文句は言いつつもやる気はあるのかい?全く素直じゃないねぇ」
「喧しい。正直ババァの頼まれごとなんざ聞きたくもない———が、召喚システム関連の話はちゃんと聞いておきたいだけだ。クラス代表としても……造の友人としてもな。いくら酷い目に遭ったからって、内容はしっかり把握しておくべきだろう」
「だね。僕らが試召戦争を控えている事は勿論、召喚システムは造にとって大事なものだからね。造の体質改善の為なら友達としてまあ、一応はババァ長に手を貸しても良いからね」
「そういうこった。だからこれはババァの為と言うより造の為だな」
「ふ、二人とも……!」
と、嫌々ながらもそう嬉しいことを言ってくれるアキさんとゆーさん。ふ、二人ともなんてお優しい……!
「あ、アキさんゆーさん……ありがとうございます……!」
「気にすんな造、内容次第だが造にとってプラスになるならこのババァの頼み、報酬付きで受けてもいいさ———」
「そうそう。だからこのババァ長の頼み自体は正直嫌だけど、ちゃーんと報酬を出させてから引き受けるよ———」
「「明久(雄二)がな!」」
ガスガスガスガス!×2
「「「「「…………えーっと」」」」」
お互いがお互いを指差して、そして今度はお互いが脛を蹴り合います。もう幾度となく見てきたアキさんとゆーさんの仲良し喧嘩。自分たちはこんな時どんなツッコミをすればいいのやら。
「テメェバカ久……目的の為に俺を売るとはいい根性してんなぁオイ」
「雄二こそ……人を実験台にするなんて倫理観の欠片も無いようだね」
「と言うか待ちなバカ共。なーんで報酬がある前提で話してるんだい」
「「報酬一つ出さない気だったのか妖怪ババァ」」
「アンタらに何でアタシが報酬なんて出さなきゃならないんだい」
更に学園長も加わって、何だか混沌とし始めた模様。とりあえず話が一向に進みませんし3人を宥めることにしましょうかね……
「まあまあ皆さん落ち着いてください。学園長、前回が前回でしたし何が起こるかわかりません。こう言っては身も蓋もありませんが、少しでも報酬があったほうが後腐れがないですし皆さんやる気が出ると思いますよ」
「む……それは……まあ、それもそうだねぇ。なら仕方ない、食券くらいは出してやってもいいさね」
「けっ!食券程度かよ……しけてんなババァ」
「わかっちゃいたけど、相当あくどいよねこのババァ」
「それとお二人も。ここはちょっとした人助け兼バイトと思って、ね?」
「……まあ無いよりはマシか」
「だね、食費が浮くのは何にせよありがたいかな」
そんな感じで何とか交渉に成功。3人とも渋々ではありますが、納得してくれたようです。
「で、どうすんだ。まずは俺と明久、どっちからやればいい。ああ、めんどくさい奴は明久にパスな」
「厄介そうなのは雄二に押し付けてくださいねババァ長」
「安心しな、今回のは“二人用”だしちょうどいいからアンタら二人にやってもらうさね」
「「「「「「「え……二人用?」」」」」」」
「ああそうさ。来年の学園祭にやる召喚大会は趣向を変えたいと思っていてねぇ、その候補として二人用の召喚獣を考えているのさ」
召喚大会……いやはや色々ありましたね。“あの”教頭を追い出せたりアキさんと優勝して白金の腕輪を手に入れたり、一学期あった事ですのにもはや懐かしくすらありますよ。
「ま、清涼祭の召喚大会は試験召喚システムの対外的プロモーションを兼ねてるからな。ババァも去年とは違うことを画策しねーと金が入らないってことだろ。やれやれ随分涙ぐましいことしてんな学園長様は」
「それに関しては否定はしないよ。誰かさん達が学園の品位を下げてるお陰でイメージアップ等に忙しいのさアタシは。と言うわけで二人で一体の召喚獣を呼び出すのはどうかと考えて調整を入れてみたってわけさね」
「うーん、二人で一体ねぇ……」
「それなら前あった本音を喋る召喚獣のようなことは無さそうですよね」
「うむ、中々に面白い試みじゃのう」
操作性的には今まで以上に難しくなるかもしれませんが、その分出来ることも増えそうでヒデさんの言う通り面白いことになりそうですよね。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.335 )
- 日時: 2016/03/18 20:49
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「念を押すが召喚獣の暴走は無い、それはアタシが保証してやるよ。仮に何かあってもフィールドを取り消す方法もちゃんとあるさね。それならどうだい?」
「む……どうする雄二?」
「……正直ババァの言葉はビタイチ信用できんな」
「おいおい、そんなこと言っていいのかい?この召喚獣はアンタらにとってもいずれ役に立つかもしれないと言うのに」
「?学園長、それってどういう意味ですか?」
ニヤリと笑いアキさんゆーさんにそんなことを言う学園長。いずれ役に立つかもしれない……?
「まだまだ実験段階だがね、上手い事いくなら本格的にこの二人で一人の召喚獣システムをいずれ試召戦争に導入する可能性もあるってことさねチビジャリ。試召戦争大好きなアンタらが先にこの召喚獣を体験しておくのは悪い事じゃないと思うがねぇ?」
「なるほど……それでしたらゆーさん、アキさん。どうです?やってみる価値、あると思うのですが」
「……うん、了解。他のクラスに点数で劣る僕らからしてみれば、先にこのシステムを体験するのは確かにアドバンテージになるね。召喚獣の操作って僕にとっては命綱のようなものだし」
「……しゃーない。ババァに乗せられてるようで気に食わんが、やってやるか。他のクラスの連中に貴重な情報アドを持っていかれるのも癪だしな」
と、言うわけで自分や学園長に背中を押される形でこのシステムの実験に協力することになったアキさんとゆーさん。学園長も満足そうに召喚準備を行います。
「よし、なら決まりだね。いくよ———召喚許可、承認。起動(アウェイクン)!」
キィイイイイイイイイイイン ボンッ!
学園長が手を掲げそのキーワードを唱えるとともに、その二人用の召喚獣を召喚するためのフィールドが教室内に展開されます。ついでにもうすっかり馴染んでしまった起動音&召喚音と一緒に自分の身体も召喚獣へと変化します。……って、あれ?
《……?あ、あれ?何も……変わらない?あの、学園長。いつも通り普通の召喚獣状態のようですけど……?》
そう、召喚された自分の身体はいつもと同じで変化無し。見た目も装備も何一つ変わらないようですが、これちゃんと起動しているのでしょうかね?
「ん?ああ、そりゃそうさね。言っただろう、二人で一体の召喚獣だって。単独で召喚されれば通常の召喚獣が召喚されるのは当り前さね」
《ふむ、言われてみれば確かに当たり前ですね》
と言うことは、自分はこの二人用召喚獣の体験は出来そうにないと言うことですか……ちょっぴり残念ですけど仕方ありませんね。
「さて、じゃあそろそろ召喚してもらおうかねぇ。吉井でも坂本でもいい、相手の身体に触れてから召喚獣を呼び出してみな。それで出てくるようにしてあるよ」
「へぇ、それだけでいいんですか」
「簡単なのは助かるな」
その学園長の指示に、ほぼ同時にお互いの顔に手を伸ばすアキさんとゆーさん。そして———
「「ぐぁあああああああああああああ!?」」
———そしてお互いに思い切りその顔を力いっぱい鷲掴みにします。ミシミシミリミリと二人の頭蓋骨からは嫌な音が自分たちの耳にも聞こえて———って、お二人とも……
《あ、アキさんにゆーさん何やってんですか……?》
「わかりきっておったが、こやつらバカじゃな」
「…………いつものこと」
「こらこら、アキに坂本。ちゃんとしなさいって」
「あ、あはは……」
「「ぐぬぬ……さ、試獣召喚(サモン)!!」」
そのままアイアンクローを決めたまま、召喚獣を呼び出すアキさん達。妙な召喚方法ですがいつも通り幾何学模様がアキさん達の足元に出現します。
《ほらほら、アキさんにゆーさん。試獣召喚(サモン)したんですからいい加減アイアンクローを外しましょうよ。このままじゃお互い痛いだけでしょ》
「けっほけっほ……だ、だね……さ、さぁてどんなのだろうね」
「ごほっ……ふ、不毛だしな……にしても妙なもんじゃなきゃいいがな」
《ん……?何だか召喚に少し時間かかってません?》
「処理に時間かかるんだよ、ちょいと待っておきな」
その学園長の言葉通り少し待つ自分たち。待つこと数秒、いつもよりタイムラグはありましたが渋々アイアンクローを外したアキさん達の足元に召喚獣がゆっくりと姿を現します。その現れた召喚獣はと言うと……
「あ……か、可愛いですっ!」
「ほ、ホントね……!つ、土屋カメラで撮っておいて!」
出てきたのは今の自分のような三頭身の召喚獣ではなく、耳と尻尾はあれども二歳くらいの普通の男の子の姿をした召喚獣。何だか心なしかアキさんにもゆーさんにも似ている雰囲気がありますね。
《お二人にとても似ていますね》
「うむ、雄二と明久の間を取ったような外見じゃな」
「…………それを幼くしたイメージ」
「え、そう?いや確かに目元は雄二っぽい気がするけど……」
「外見なんざどうでもいいさ。んで、これはどう操作するんだババァ」
見た目なんか二の次三の次と言わんばかりに学園長にそう尋ねるゆーさん。興味のない事にはとことん興味がない辺りゆーさんらしいと言えばらしいですね。
「今回のは二人で召喚だし、干渉しあわないように操作は無くしてあるよ。二人の性格を元に自律行動をとるのさ」
「「「「「「《…………え?》」」」」」」
「ホレ、そいつを見てみな」
“自律行動”の単語に、この場の全員が前回の本音を喋る半自動化した召喚獣の事を思い出しドキッとしてしまい慌ててアキさん達が召喚した召喚獣を確認します。ですが取り越し苦労だったようで、召喚獣は特に問題行動を起こす気配はない様子ですね。
《うにゅ……?うー……(ぺしぺし)》
トコトコ歩いては教壇に上がったり机の下を潜ったりと遊びだす召喚獣。と、そんな召喚獣を観察していると自分とぱっちり目が合います。
《…………(じー)》
《?え、えっと……?どうかしましたか?》
《わー!きゃっきゃっ♪》
《うおぅ!?ど、どうしたんですホント?》
そのまま突然自分の手を取ってグルグル自分と一緒に回り始める召喚獣。な、何ごと……?
「何かコイツ造の事気に入ったみたいだね。何かホントに子どもみたいだなぁ……」
「そのようだな。このはしゃぎよう、まるでオモチャ与えらえられた幼児そのものだな」
《その理屈だと自分はオモチャなんですかゆーさん……?あぅ……そ、そろそろ離してくれませんか……》
《やー!》
召喚獣に遊ばれる自分を見ながらそう呟くお二人さん。そんなお二人の呟きに学園長は反応してこう話し始めます。
「おや、何だい。バカジャリ共のくせによくぞ気づいたねぇ」
「「うん?よくぞ気づいた?」」
「アンタらの言う通りさ、これは子どもだよ」
《?え、ええ。そうですね。見た目は本当に子どものようですね》
「いや、そう言う意味じゃない。この召喚獣はね、子どもなのさ———この二人のね」
そう言いながら、アキさんとゆーさんを順番に指差す学園長。……ん?二人の子どもって……
「「はぁああああああああああああああああ!?な、何気持ち悪い事言ってんだババァ!?」」
そんな学園長のお言葉に、思わず学園内に響き渡りそうなほど大声で絶叫するアキさんとゆーさん。
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その① ( No.336 )
- 日時: 2016/03/18 20:50
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「召喚者二人の性格・外見の特徴を召喚システムに処理させて二人に出来るであろう子どもを予想して召喚しているのさ」
《えっと。男性同士でも、ですか?》
「男同士でも、だね。そう言う意味ではそこの召喚獣は吉井と坂本の子どもってことさね。よく似てると思わないかい?特にこの二人のバカっぽさが上手く形に出ているようにアタシは見えるねぇ」
む、むぅ……それはまた別の意味で凄い。その学園長の説明にもう一度その召喚獣を見返す自分たち。あ、ああ……確かにあり得ませんがこの二人のお子さんが生まれるとしたらこんな感じになりそうな気がしないでもない気が……
「そう言われると……確かにこの召喚獣、明久たちの子どものような気がしてくるのう」
「…………二人にそっくり」
「ちょ、ちょいと待ったそこの二人!僕と雄二の子どもとかおかしいからね!?ついでにこんなバカな事考え付くババァ長は頭おかしいからね!?」
「まったくだ!こんなバカとの子どもなんぞ気色が悪いぞババァ、その発言取り消しやがれ!」
「気色悪いのはこっちだよアホ雄二!」
と、いつも通り睨みあい取っ組み合いの喧嘩があわや展開されるかと思った矢先———
《ケンカ、ダメ!(ガッ×2)》
「「うぐぁ!?」」
———突然自分と(と言うか自分で)遊んでいたその話題の召喚した召喚獣が、仲介に入るかのごとくアキさん達に飛びかかり二人の脛を思いっきり蹴ります。
「い、痛ったぁ!?……さ、流石召喚獣……外見子どもの癖に攻撃力がヤバイ……」
「的確に……脛を……!つか、こんにゃろ……喧嘩駄目って言っているのに暴力振るか普通……!?」
《お、落ち着いて召喚獣さん。ホラ、取っ組み合いは二人とも止めてくれましたからね》
《はーい》
この思い切りの良さ、そして暴力を止めるための暴力……確かにこの二人の要素が混ざり合っている感じですね。この行動で更に似ているように思えてき始めましたよ。
「造にたしなめられると大人しくなる辺り、やはりこの召喚獣明久と雄二に似ておるのう」
《え?そ、そうですか?》
「…………ああ。ますますそっくり」
「どこがだ!?畜生明久テメェ、子どもに一体どんな教育してやがんだ!喧嘩止めるために暴力振るう矛盾、テメェのバカさ加減が表に出すぎだろ!」
「ふざけないでよ!これは雄二の性格のせいでしょ!僕のせいにしないでよ!」
「いいや、この頭の悪さと喧嘩っ早さはお前のだな!」
「どう考えても不良そのものの雄二のだね!」
「ああもう五月蠅いねぇ。落ち着きなジャリ共。子どもの教育ってものは夫婦の責任だろうが」
「「誰が夫婦だババァ長!?」」
ゲシッ!×2
《またケンカ!!》
「「痛っでぇえええええええええええ!?」」
《あ!?こ、こらこら!ですから喧嘩を止めるための暴力は駄目ですってば!?》
アキさん達が大声を上げると、再びその二人の脛を蹴る召喚獣。せ、正義感のある良い子なのでしょうが……言葉より先に手———いいえ足が出るのは……やはりアキさん達似なんでしょうかね。
「く、くそ……なんちゅう馬鹿力……ええぃババァ!さっさと召喚獣戻しやがれ!」
「思いっきり僕らに危害加えているじゃないですかババァ長!?暴走しないって言ったの嘘じゃないですか!?」
「やれやれ仕方ないねぇ」
アキさん達の抗議に肩をすくめながら学園長が召喚フィールドを解除します。すると自分の召喚獣化も解け自分の隣にいたアキさん達の召喚獣が姿を消してしまいました。
「アキさんにゆーさん、脛大丈夫ですか?」
「う、うん……結構痛いけど平気……」
「あー畜生……やっぱババァに関わると碌な目に遭わんな。ともあれ協力はしたぞババァ、これで十分だろ。とっとと報酬出して失せろ」
「ですよね、お二人ともお疲れ様でした。では学園長、これで終了と言うことで———」
「いいや。まあ、アタシとしてはどんな召喚獣が出るのかわかったわけだしこれで終わりでも良いんだけどねぇ」
「「「へ?」」」
これで終わりと思っている自分たちに、学園長は何やら面白そうな表情でこう続けます。
「協力したいって言う可愛い生徒たちに応えてやるのも学園長の仕事だと思うんだよ。そうだろう———アンタ達」
「「「はいっ!」」」
「「「…………え?」」」
学園長の視線の先には、ギラギラと目を輝かせる姫路さんと島田さんと霧島さんの姿が。こ、これは……
「学園長先生!ぜ、是非とも子どもの姿を見せ———ではなくて、協力させてください!」
「う、ウチも協力します!ほ、ホラ生徒としては先生のお願いには応えないといけませんよね!」
「……任せてください先生」
母性本能が叫んだのか、はたまた想い人たちへの愛ゆえなのか。この場にいた姫路さんに島田さんは勿論の事、いつの間にやら現れた霧島さんまでやる気になっているご様子。
「いやぁ嬉しいねぇ。三人もデータ収集に付き合ってくれるなんて」
「任せてくださいね学園長先生!」
「さあ、気合い入れてお手伝いしなきゃね!」
「み、瑞希に美波?さっきまでもう召喚獣の試運転は嫌がってたのになんでまた急にやる気になってるの……?」
「姫路に島田、何ともわかりやすいのう」
「…………霧島もな」
「と言うかだな。おい翔子、今更ツッコむのもアレだがお前どこから現れた」
「……私たちの二人目三人目の子どもが見られると聞いて来た」
「霧島さん、それ一人目は自分をカウントしてませんか?してますよね絶対」
「つーか全然俺の問いに対する答えになってねーぞオイ」
まあ、自身の想い人との子どもの姿を見られるわけですし、恋する乙女たちにとってはこんなイベント見逃せるはずは無いでしょうからね。そんな三人の反応に満足そうに頷きながら再びフィールドを展開する学園長。
「それじゃよろしく頼むよ」
「わかりました!では———」
「それじゃあ———」
「……早速———」
すると、姫路さんと島田さんはアキさんの方に。霧島さんはゆーさんの方に召喚の為接触しようと手を伸ばします。
「「…………(ササッ)」」
それを後ろに下がって回避するお二人さん。……ん?どうしたんでしょうか。
「な、なんで避けるんですか明久君?」
「そうよアキ。おとなしくしてなさい」
「いや、何でも何も。二人とも協力するんなら二人で召喚すればいいんじゃないのかなーって思うんだけど……」
「……雄二、早く」
「いや、早くと言われてもやらんぞ。俺はもうやったし他の奴とやればいいだろ」
必死で召喚したがる女子三人と、こちらも必死で回避する男子二人。ジリジリ間合いを計りながらお互いがけん制し合います。あれ?それにしても何だかアキさんもゆーさんも先ほど以上に嫌そうですけど……何故に?ひょっとしてさっき召喚獣に脛を蹴られたからもうやりたくない……とか?
《んー……?アキさん達何だか消極的ですね》
「そりゃそうじゃろう。さっき召喚獣に暴走されかけておったしの」
「…………男同士の子どもを召喚されたしな」
「ムッツリーニ、それはもう忘れてよ。気持ちが悪くなるじゃない———」
「隙ありよアキっ!」
「えーい、ですっ!」
「———っとぉおおおお!」
伸ばされた手を素早く移動して回避するアキさん。相変わらずの危険予知と反射神経ですねー
「ええい、油断も隙も無いね!と言うわけで三十六計逃げるに何とか、さよなら!」
「付き合っていられるかってんだ!じゃあな!」
「あっ!明久君っ!」
「こら、待ちなさいアキ!」
「……雄二、逃がさない」
「HAHAHA!逃げ慣れている僕らに追いつけるなんて思わないことだね!」
「その通り!お前らじゃ俺らを捕まえられないさ!あばよ翔子、達者でなー!」
そんな捨て台詞と共に全力で逃げ出すアキさん&ゆーさんと、追うハンターの姫路さん達三人。えーっと、実験はいいのですか……?
「ったく、これじゃあ実験にならないねぇ。ホレ月野にそこの二人。さっさとアイツら追いかけな」
《え、あー……はい。行ってきます》
そんなわけで自分たちもあの5人を追うことに。ほんの少しの時間手伝うだけだったはずなのに、どうしてこうなったのやら……?