二次創作小説(紙ほか)

召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その② ( No.337 )
日時: 2016/03/18 20:55
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

造Side


今回の学園長の召喚獣の実験は、二人で召喚すると二人の子どもがシミュレーションできると言うもの。そんな召喚獣に興味を示した女性陣3人に迫られて、何故だか必要以上に嫌がるアキさん&ゆーさんの二人は全力で逃亡してしまいました。

『ええい、油断も隙も無いね!と言うわけで三十六計逃げるに何とか、さよなら!』
『付き合っていられるかってんだ!じゃあな!』
『あっ!明久君っ!』
『こら、待ちなさいアキ!』
『……雄二、逃がさない』
『HAHAHA!逃げ慣れている僕らに追いつけるなんて思わないことだね!』
『その通り!お前らじゃ俺らを捕まえられないさ!あばよ翔子、達者でなー!』

———てな感じで、こんな会話があったのは5分ちょい前。

「さて、覚悟は決まったのかしらねアキ」
「明久君、もう逃げられませんからね!」
「……雄二、私から逃げられるとでも?」
「ひ、卑怯じゃないかな瑞希に美波!?」
「う、運動部使う何てズリーぞ翔子!?」

———そして今がこんな感じ。5分も保たずにアキさんゆーさんは三人の策により体育館の隅に見事に追い詰められていました。

「流石はアキさんやゆーさんの行動を熟知している姫路さんたちですね」
「…………所詮姫路たちと明久は狩るものと狩られるものの関係だしな」
「寧ろこの三人に5分近くまで逃げられたことを褒めてやるべきかもの」

学園長に実験の途中だから、早くあの5人を連れ戻してくるように頼まれた自分とヒデさんとこーさんも追いついて、ジリジリと迫られているアキさん達を観察します。

「雄二の言う通り、部活中の女子部活生皆に手伝って貰うなんてズルイよ!卑怯だと思うよ!?」
「そんな汚い真似をして勝って満足か?満足なのかお前たち!?恥ずかしくないのか!?」
「ねえアキに坂本、アンタ達よく『卑怯汚いは敗者の戯言』なんて言ってなかったっけ?」
「……雄二、その台詞よく言ってた気がする」

「「そんな外道な台詞言った覚えはない、きっと雄二(明久)が言ったんだよ(だろう)」」

「こやつらはどんだけ都合の良い脳味噌しておるのやら」
「…………しかもお互いがお互い擦り付けてる」
「ホント毎度のことながら……仲が良いのか悪いのかわかりませんねあのお二人……」

アキさんとゆーさんのそんな発言に、二人以外のFクラス仲良しメンバー全員が思わず苦笑いしてしまいます。と、そんな島田さん達や自分たちを見てアキさん&ゆーさんは———

「「いよっしゃ!隙ありィ!!(ダッ)」」

「逃がしませんよ明久君に坂本君!(ガシッ)」

「「っ何ィ!?」」

一瞬の隙を逃さず脱走———しようとしましたが、姫路さんがしっかりと捕縛していた模様。隙なんてなかった。

「み、瑞希落ち着いてよ!?冷静になってよ!?」
「冷静ですし落ち着いていますよ、大丈夫です。ちゃんと私たちの子どもを———じゃなくて学園長先生のお手伝いしましょうねー」
「それホントに落ち着いてる!?ホントに冷静なの!?」
「ナイスよ瑞希!さあ、大人しく連行されなさいなアキ」
「ひ、姫路!つーか何故お前は俺も捕縛する!?やるなら明久だけでいいだろうが!」
「え?だって坂本君逃げちゃったら翔子ちゃんが困るじゃないですか」
「俺が犠牲になるのは良いとでも言うのか!?」
「……グッジョブ瑞希。さぁ造の弟or妹を作りに行こう雄二」

うーむ、何だかいつもに増して女性陣はテンションもモチベーションも高いですね。

「あの……月野君?理由も聞かずに美波たちに頼まれるがままに吉井君たちを追い詰めたんだけどさ、今更だけど一体どうしたのかしら?」
「ひょっとして吉井君と坂本君がまた何かやったの?美波や姫路さんたち怒らせるようなことした、とか?」
「先輩たち、これってそもそも何の騒ぎ何ですか?」

と、そんなコントのようなアキさん達の問答を観戦していると、島田さんに応援を受けてアキさん達の捕獲を手伝った部活生の三年生や二年生、一年生が事情を知っている自分たちにそのように尋ねてきます。う、うーん……何と説明すればいいのやら。

「え、えーっと……話を要約するとですね、現在進行形で自分やアキさん達で学園長の実験のお手伝いをしていましてね」
「それで……何といえばいいのかのう。まあ要するに暴走する可能性もあるから乗り気じゃない明久たちと手伝いたい姫路たちの意見が割れてこうなった……のかの?」
「…………かなり婉曲した説明だが大体そんな感じ」

「「「なるほど」」」

下手に二人で召喚して二人の子どもが観測できる———なんて説明すれば変な誤解が生まれそうでしたのでそんな感じでちょっぴり誤魔化しながら説明することに。まあ、嘘は言っていませんし良いですよね。

「は、離して瑞希に美波……!」
「ダメです……!一緒に学園長先生のところに戻りましょう……!」
「ねえ、何で今日はそんなにアグレッシブなの瑞希!?み、美波と組めばいいじゃないか……!僕は遠慮するからさぁ……!」
「ひ、ひどいです……!どうして、どうして明久君は———」

と、そんな押し合い引き合いをしていた姫路さんが自分を含め大勢の生徒さんたちが見ている中、アキさんにしがみついたままこんなことを言います。

「———どうして明久君は、私と子どもを作ってくれないんですか!」
「この場にいる全員動くなぁあああああああああああああああああ!」

「「「———っ!」」」

姫路さんのそんな過激な発言の直後、体育館にいる全員に向けてそのように警告するアキさん。大声での警告だったため、怯んでしまい思わず“手に持っていた携帯でメールをする手を”止めてしまう部活生たち。

「ふぅ……よしよし、全員その構えた携帯電話を床に置いて手を頭の後ろに組むんだ。余計な動きは見せないように」

「「「くっ……」」」

「凄まじき判断力、流石ですねアキさん」
「このまま放置しておったら今の姫路の発言が学園中に噂されることになったじゃろうからの」
「…………危険回避は慣れてるしな」
「まあ、いつもの事だもんね。さて、造に秀吉にムッツリーニ。悪いけどさ、この場の皆にこの誤解を解いて———」

そう言って皆さんを牽制しつつアキさんが自分たちに誤解を解くように頼もうとした矢先。

「そうよアキ!どうしてウチとの子どもも嫌がるの!?」


ガチャガチャガチャ!


「誰が動いていいって言ったっ!?いいからさっさと携帯から手を離すんだ!!」

今度は島田さんがアキさんを更に追い込みます。そんな姫路さんや島田さんに煽られたのか———

「……雄二、私に早く二人目の子どもを産ませて。造に弟か妹を見せてあげたいの、お姉ちゃんにしてあげたいの」


ピピピピッ!!


「動くんじゃねえ!お前ら、全員携帯を置けと明久が言っただろうがっ!指一本動かすなゴラァ!」
「……造もお父さんに言ってやって。弟か妹が欲しいって」
「霧島さん。その理屈おかしいですよね?何故に自分坂本家の初子カウントされているんですか……?」

———ついでに霧島さんがゆーさんと……自分を追い込みます。待った、ホント待って。ですから何故に自分は坂本家の長女扱いなのですか……!?

「え、えっとさ!この場にいる皆に聞いてほしい事があるんだけど!」
「ご、誤解だからな!こいつ等の妙な発言は全部デタラメだ!説明してやるから耳かっぽじって聞け、いいか———」

このままではここにいる部活生たちにメールをされて、ある事ない事学園中に噂されると判断したお二人。大急ぎで説明しようとしたのですが、その説明に被せるように姫路さん、島田さん、霧島さんが更に続けます。

「不公平ですよ明久君!納得できませんっ!」
「そうよアキ!おかしいじゃないの!」
「……雄二、どうしてなの!」

「「「坂本(君)(吉井)とは子どもを作ったのにっ!!!」」」


ガチャガチャガチャ!ピピピピッ!


「「畜生っ!!もう限界だっ!?」」

この爆弾発言にアキさんゆーさんの制止を振り切って学園中にメールを打ち始める部活生さん達。

「ホラ、アキ!こっちに来なさいな!」
「さぁ教室に戻って私たちの子どもを作りましょうねー!」
「……雄二、一緒に夫婦の営みを」
「待って!お願い待って!せめて弁明をさせて!」
「このままじゃ俺はこんなバカと男同士で子ども作ったことになるだろが!?一言でいいから弁明させろや!」

「「「さあ、楽しい子ども作りにレッツゴー!!!」」」

「「い、嫌だぁああああああああああああああ!!」」

涙目でささやかな抵抗をするも引きずられて教室に後戻りのアキさん達。その間も皆さんのメールを打つ音は鳴りやみません。……あー、仕方ないですねこりゃ。

召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その② ( No.338 )
日時: 2016/03/18 20:56
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「……せめて、この場の皆さんの誤解を解いてから自分たちも戻りましょうかね」
「うむ、このままでは流石に明久たちが不憫じゃからのう」
「…………下手をしたら普段からつるんでいる俺らまで妙な誤解されかねないしな」
「ですよね……さてと。皆さん、聞いてください!さっきのはですね———」

アキさん達の名誉の為、そして自分たちに新たな火の粉が降りかからないようにする為にもひっきりなしにメールを打つ部活生たちに事情をちゃんと説明することに。少しばかり時間はかかりましたが、何とか被害は最小限に留めることになりました。






…………ああ、そうそう。ちなみにですね。確かに何とか最小限の被害でアキさんたちの誤解は解けたのは解けたのですが……


———同時刻———


『あの、久保君……体育館裏なんかに呼び出しちゃってゴメンなさい』
『いいや、僕は別に構わないんだが……中林さんこそいいのかい?その恰好から見るとどうやら部活の最中のようだが』
『あ、うん。それは大丈夫、今は休憩中だし何だか他の皆忙しいみたいだから。そ、それより……話があるんだけど、その……いいかな』
『ん?』
『その……わ、私———』

「———どうして明久君は、私と子どもを作ってくれないんですか!」

『…………』
『あ、あの……久保君?』
『いや、すまない。なんでもないよ。続けてくれ』
『そ、そう?じゃ、じゃあ改めて。わ、私久保君の事が———』

「そうよアキ!どうしてウチとの子どもも嫌がるの!?」
「……雄二、私に早く二人目の子どもを産ませて。造に弟か妹を見せてあげたいの、お姉ちゃんにしてあげたいの」

『…………』
『ホ、ホントに大丈夫!?』
『うん、問題にゃいよ』
『噛んだよね!?今物凄く噛んだよね!?それに顔面蒼白だよ!?』
『気のせいさ。さあ、続けてくれ』

「「「坂本(君)(吉井)とは子どもを作ったのにっ!!!」」」

『…………(ガクガクガクガク)』
『久保君っ!?生まれたての子鹿のように足が———ううん、全身が震えているんだけど!?』
『は、ははは……風邪かもしれないね。すまない中林さん。ちょっと保健室に行かせてもらってもいいかい?話は申し訳ないがまた今度と言うことで……』
『え、あ……うん。その、お大事に……』
『本当に申し訳ない。それじゃあまた(ガクガクガクガク)』
『は、はい……また、ね……』






『…………吉井、坂本ォ!アンタらホント、次に試召戦争でもあったならその時は覚悟しておきなさいよねぇ!!』

———自分たちの知らないところで中林さんが更にアキさん&ゆーさんに対抗意識を持ってしまうことになったのは、これはまた別の話です。


———Fクラス———


「僕は……無力だ……もう絶対学園内で噂されてる……よりにもよって雄二と子ども作ったって……こうなったら雄二抹殺するしか道は———」
「明日から俺は……どうやって学園に通えばいいんだよ畜生め……こうなりゃ明久滅却した後に他の連中の口封じを———」
《あ、あのアキさんにゆーさん。さっきの部活生さん達の誤解は自分やヒデさんやこーさんが解いておいたので、そう悲観しないでくださいね。あとそんな物騒な計画立てないでくださいね》

「「心の底からありがとうっ!!」」

「お主ら……それ、泣くほど嬉しい事なのかのう?」
「…………そりゃ泣くほど嬉しいだろう。このままじゃまた明久たちの男色疑惑が加速することになる」

「「待て!?またってどういう意味だムッツリーニっ!?」」

体育館で追い詰められ、そのまま姫路さん達に捕縛されつつ引きずられてきたアキさん達と一応アキさんたちのあらぬ噂を払拭してきた自分達は学園長の待つFクラスに戻ってきました。ちなみに学園長は待ちくたびれたよとでも言いたげにすでにフィールドを張ってお出迎えです。

「学園長先生、じゃあ最初はウチからいきますね」
「明久君、もう逃げちゃダメですからね」
「……雄二も逃げられないし逃がさない」
「召喚の準備はできているよ。ホレ、いつでも呼び出しな」
「はい!ありがとうございます、それじゃ———」

トップバッターは島田さんのようで、アキさんに向かって手を伸ばします。そんな島田さんを黙ってみていたアキさんはと言うと。


ササッ! ペタ


「試獣召喚(サモン)———ってちょっとアキ!?」
「わ、わわわ……!?み、美波ちゃん!?」

島田さんが召喚獣を呼び出す直前に、その手をサッとさけたアキさん。島田さんのその手はアキさんを後ろで拘束していた姫路さんに接触しそのまま召喚されてしまいました。

「さぁて、これで出てくるのは瑞希と美波の子どもだねー」
《アキさんってホント逃げたり避けたり上手いですよね……あ、召喚されますよ》
「うむ、どんな子どもが出てくるのじゃろうな」
「…………楽しみ」

慌てふためく姫路さん達を横目に、アキさんの回避行動を感心しながらのんきに出てくる召喚獣を待つことに。と、今まさにその召喚獣が顕在しようとしたその時。


ガラッ!


「お姉様?まだ残っていたのですか?それでしたら是非美春と一緒に———」

Fクラスの教室の扉を開けて、清水さんが現れます。そしてほぼ同時に髪が長めの女の子の召喚獣が現れ———


ガシィ! 


「…………(シュパッ!)」
《うにゃ———っ!》

「「「《……え?》」」」

———その召喚獣は清水さんに光の速さで掴まれて、そして光の速さで連れ攫われてしまいました。

「「「《…………》」」」

み、見えなかった……何をどうやって連れ攫われたのか目で捕えられなかった……!?あまりの出来事に全員の思考が一時停止します。

『———(ブツブツブツ)まずは……名前を付けて、それから……可愛い服と部屋を用意して……それでいてお姉様が育児疲れしないように……(ポンッ!)———んなッ!?え、嘘……!?ど、どこに消えたのですか美春の可愛い可愛い天使ちゃんは!?も、戻ってきてください!?美春が大事に大事に可愛がって育ててあげますのにぃ!?』

窓の外からそんな学園どころかご近所まで響き渡る切羽詰まった大声で絶叫する清水さんの声が聞こえてきました。ど、どうやら彼女一瞬のうちにフィールドの外まで移動していたようですね……なんて恐ろしい脚力何でしょうか……いやはや彼女の身体能力には毎度のことながら驚かされますね。

「さて。今度は誰が呼び出すのかねぇ?」

今の出来事は忘れようと言いたげに、学園長が気を取り直してそのように告げます。ま、まぁある意味いつもの清水さんですからあまり気にしても仕方ないですかね……