二次創作小説(紙ほか)
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.339 )
- 日時: 2016/03/18 20:58
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
造Side
「さて。今度は誰が呼び出すのかねぇ?」
先程は現れた召喚獣が拉致されるという事態が発生しましたが、あまり深く考えないことにした学園長や自分たち。気を取り直して次の挑戦者を促す学園長。
「……次、私と雄二で」
「は、離せ翔子!離せぇええええええええええ!」
次なる挑戦者は毎度おなじみゆーさんと霧島さんの坂本家の(うぉい!?それどういう意味だ造っ!? By雄二)お二人のようですね。
「じゃあさっきも説明した通り、坂本に触れた状態で召喚してみな」
「……はい。試獣召喚(サモン)」
逃げようとするゆーさんをがっちりと抱きしめつつ召喚を開始する霧島さん。ゆーさんの必死の抵抗むなしく二人の足元から幾何学模様が現れ、しばらくするとそこから二人の子どもとしてシミュレーションされた召喚獣が顕在しました。
「あ……すっごく綺麗な子ですね!」
「ホントホント!それに、頭も運動神経も良さげじゃないの。文武両道って感じよね」
現れたのは女の子の召喚獣。どことなく外見は霧島さん似でしょうかね。
「まあ、雄二と霧島の子じゃからのう。恐らく勉強も運動も優秀な子になるじゃろうて」
「…………背も高くなりそう」
「けっ!知るかっ!」
「へぇ、女の子になるのは意外だなぁ。なんかてっきり僕は雄二の持つムサい男の遺伝子のせいで男の子になるかと思ってたよ」
《可愛らしくて綺麗な子ですよねー。それにしても凄いですねこの子どもシミュレーション召喚獣は。霧島さんにもゆーさんにも似てますね。全体的には霧島さん似ですが可愛らしい目とかはゆーさんの昔の頃にすっごく似てる気がします》
「……うん。目元は小さな頃の雄二にそっくり」
「「「「「えっ!?」」」」」
と、そんな自分と霧島さんの発言に皆さん目を丸くします。……ん?何ですか皆さんその妙な反応は。
「え、えぇ!?ま、待ってよ!?雄二って小さい時ってこんなに可愛い顔してたの!?」
「……うん、ほら。これ小さな頃の、雄二」
「「「「「えぇええええええええええええ!?」」」」」
霧島さんがポケットから写真を取り出して皆さんに見せてくれたのは、一枚の写真。そう、ゆーさんの昔の頃の写真ですね。霧島さんにその写真を見せられて自分と霧島さんとゆーさんと、写真なんかどうでもよさげな学園長以外は全員驚いて叫びます。
「う、ウソォ!?こ、これって雄二なの!?今のような濁りきった目とは似ても似つかないんだけど!?」
「む、むぅ……人はここまで変わるのかの」
「…………この写真の奴は滅茶苦茶綺麗な目をしてるのに今の雄二は……」
「テメェらそりゃ一体どういう意味だゴラァ!———って、それ以前にちょっと待てや造!?おま、お前何で俺の昔の頃のこと知っているんだ!?」
《え……?あっ!》
し、しまった……思わず口が滑って……っ!?
《…………そ、そのぅ……すみません。ゆーさんがいない時に霧島さんに拉致られてゆーさんのお家に行った事がありまして……》
「……その時お義母さんに“孫のつーちゃん”に雄二の昔の写真の入ったアルバム見せてあげるって」
《それでその……悪いとは思いましたが、見てしまったと言う……み、見たこと知られたらショック受けるかなーと思って黙ってました……すみません》
「あんのおふくろォオオオオオオオオオオオオオ!」
今度はゆーさんがゆーさんのご自宅方面に向かってゆーさんのお母さんである雪乃さんに叫びます。ゆーさんドンマイです……
「翔子ちゃん、将来が楽しみな子ですね!」
「ホントよねー♪あ、ちなみに翔子。名前は決まってるの?」
「……しょうゆ」
「「…………はい?」」
「……私と雄二の名前を組み合わせてみた」
「いや、霧島よ。その名は今一度考え直すべきではなかろうか」
「…………それだと調味料を連想させる」
「……じゃあこしょうで」
「待って、それも調味料だよ霧島さん!?」
《もー、霧島さん?前に言ったじゃないですか。少なくとも女の子ならもっと可愛らしくしたほうが良いって。例えば霧島さんの“翔子”からとって“ショコラーテ”にするとか———》
「うん造、それはチョコだしお菓子だね。君のネーミングセンスも霧島さん並にアレだからね」
……あれ?み、皆さんの自分と霧島さんを見る目が何故にそんなに残念そうな目に……?
「霧島も霧島じゃが、造も造でかなり独特な感性じゃのう……」
「…………そう言えば造も霧島も機械音痴でネーミングセンスが最悪だった」
「そう言う意味じゃ何だか霧島さんと造ってどことなく似てるよね」
「……娘が母に似てくるのは当然」
《誰が娘ですか誰が!?》
と言いますか、自分のような疑似家族的なこと考えずとも折角自身の子どもを召喚したわけですからその子を見ればいいじゃないですか。なんて思いつつその召喚された召喚獣に目を移すと———
『くそ……っ!こんなもんで勝手に色々言いやがって……おふくろもおふくろだし翔子も翔子で……ああくそっ!やってられるかってんだ……!』
《おとーさん、おとーさん。遊んでよー》
『ふんっ』
《あそぼーよー。ねーねー》
『イヤだ』
《うー……おとーさん……》
『………………』
《おとーさん、あそんでよぅ……》
『………………チッ』
《おとーさん……ダメ……?》
『……少しだけだからな』
《!うんっ!》
『おらっ、これでどうだ』
《きゃーっ!たかーい!》
『……そ、そうか。んじゃ今度は』
《きゃっきゃっ♪すごーい!おとーさんすごいー》
『……まぁな。それで、更にこうだ』
《わーいっ♪ぐるぐるだー♪》
『はっはっは!そうかそうか。それじゃ次はな———』
———そう皆さんでゆーさんと霧島さんの子どもさんの名前の話をしている中、気が付けばゆーさんがしょうゆさん(仮)を高い高いして遊んでいる姿が。ゆ、ゆーさん?
「「「「「「《…………(じーっ)》」」」」」」
「はっ!?!?」
と、自分たちの視線に気が付いたゆーさんは、そのままのポーズで固まります。
《ふふっ♪微笑ましいですね(ニコニコ)》
「ホントホント。雄二、随分楽しそうだねぇ(ニヤニヤ)」
「まったくじゃのう(クスクス)」
「…………素直じゃないな(ニマニマ)」
「バッ!?ち、ちが……っ!これは……っ!」
《どしたのおとーさん?もっともっとー!》
ニコニコニヤニヤしている自分たちに弁解しようとするも、しょうゆさん(仮)にそのようにせがまれるゆーさん。
「……雄二は良いお父さんになる」
「そうね。きっと厳しいことを言いながら、ついつい構っちゃう感じかしら」
「坂本君、お父さん姿がとっても似合いますよ」
「うがぁあああああああああああ!て、テメェらそんな目で見るなぁあああああああああああ!!」
女性陣にまで追撃され、顔を真っ赤にしつつ頭を抱えて叫ぶゆーさん。いやはや良いものを見れましたね。
「(ボソッ)葉月ちゃんへの対応と言い雄二ってやっぱ子供好きだよねー、そう言えば雄二の奴、造がウイスキーボンボン食べて酔って幼児化した時もあんな感じだったよねー」
「(ボソッ)ああ、あったのうそんなことが。やはり雄二は将来子煩悩になりそうじゃの」
「(ボソッ)…………絶対親バカになるぞ雄二は」
「そこの三人っ!何コソコソと小バカにしたような笑いしながらささやき合ってる!止めろや!!」
《ま、まあまあゆーさん。あまり大声出すとしょうゆさん(仮)が怖がりますのでその辺で———》
《おねーちゃんもいっしょにあそぼー!》
《…………何ですと?》
待ったおかしい……血の繋がりが一切無いと言うのにこのしょうゆさん(仮)は自分を何故姉扱いしてくるのですか……?霧島さんの影響なのですか……?
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.340 )
- 日時: 2016/03/18 20:59
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
「……造も妹できて良かったね。お姉ちゃんになれて嬉しい?」
《いえ、ですから自分は坂本家の子どもでもなければ女の子でもないですからね……》
《おねーちゃん、おねーちゃん!おねーちゃんもいっしょにおとーさんにたかいたかいしてもらおー》
《ですから誰がお姉ちゃんですか誰が!?》
「さて、面白いもんが見れた———もといデータとしては十分集まったわけだし、それじゃあ一旦その子戻すよ」
含み笑いをしながらも、学園長がフィールドを一度消して再び起動します。ゆーさんと霧島さんの子ども召喚獣であるしょうゆさん(仮)は姿を消して、後には未だ顔を真っ赤にして壁を思いっきり殴っているゆーさんの姿が。
「この俺が……なんて恥ずい真似を……!」
《ゆ、ゆーさん落ち着いて。怪我しちゃいますよ……》
「いやぁ、微笑ましい光景だったね。見てるこっちまでニヤニヤしちゃうくらいに」
「じゃかしいバカ久!テメェも同じ目に遭いやがれってんだ!つーわけで———行け島田に姫路!」
「えっ?」
「わかりました!さあ、明久君覚悟は良いですね?」
「うん、そうね。それじゃあ今度こそウチとアキが———」
ガラッ!
「———む?何だお前たち、まだ帰っていなかったのか。……って、吉井に姫路に島田……お前たちは何をやっているんだ……?それに……学園長。貴女まで何故ここに?」
《あ、西村せんせ。お疲れ様です》
と、姫路さんがアキさんを羽交い絞めにしつつ島田さんがアキさんに触れて召喚しようとした矢先、突然Fクラス教室の扉が開いたと同時にクラス担任である西村先生が現れました。
「……おまけに月野は召喚獣状態か。それで?本当に一体全体何をやっているんですか学園長」
「何って、そりゃあ召喚獣の実験に決まっているだろうさね」
「……またですか。それで、一体今度は何を思いついたのですか……」
ハァ……と、頭を抱えて溜息を吐く西村先生。何だか心なしか疲れたように見えるのは、多分それほどまでに学園長に先生も振り回されているってことでしょうかね……後で胃薬をプレゼントしましょうか。
「て、鉄じ———西村先生、そんな事より今すぐ助けてくださいっ!この二人を止めてくださいぃ!」
「は?止めるだと?吉井、お前は一体何を言って———」
「西村先生邪魔しないでください!今度こそ“ウチとアキの子どもを”作るんですから!」
「そうですよ西村先生!美波ちゃんの次は“私と明久君の子どもを”作るんですからね!」
「…………本当に何をやっているんだお前たちは」
眉間に皺をよせ、先ほど以上に深い溜息と疲れた表情と見せる西村先生。……し、心労で先生が倒れないか心配になってきましたよ自分。
「そう言えば吉井、さっきちらりと噂でお前が不純異性交遊をしていると聞いたんだか……その噂本当ではあるまいな」
「ごっ、誤解です!?違うんですよ鉄人先生!僕の話を———」
「「どうしてそんなに嫌がるのよ(ですか)!坂本(君)とは子ども作っておいてウチ(私)の子どもは作ってくれないの(くれないんですか)!?」」
「…………僕の話を、何だ吉井」
「…………おねがい、たすけて造」
《あ、あはは……了解ですアキさん。あの、先生安心してください。本当に誤解ですので。それこそ学園長に頼まれて新しいタイプの召喚獣実験をやっていまして。二人で一体の召喚獣を召喚する仕様だったんですが———》
〜造&学園長説明中〜
「———それで、二人で召喚した召喚獣がその召喚者たちの子どもとしてシミュレーションされて現れる、と?」
《はいです》
「……男同士や女同士でも?」
「まあねぇ」
「…………ハァ」
自分や学園長の説明に何度目かの溜息を吐く西村先生。ま、まあそうなる気持ちもわからないでもないですね。
「……正直にわかには信じられんな。では吉井の不純異性交友、並びに不純同性交友の噂もソレが原因だと?」
《ソレだと思います》
「可愛い生徒の言葉を信じてくださいよ鉄人先生!そして可愛い生徒を助けてくださいよ!?」
「明久君っ!お願いします!子どもを!」
「アキっ!早く子どもを作らせてよ!」
「……吉井に月野、お前たちはこれでも信じろと?」
「《…………》」
「まあ、何も知らぬ状態でこんなことを口走りおる生徒がおれば信じられぬのも無理なきことかのう」
「…………傍から聞いていたらギリギリアウトな発言だからな」
…………説明している間にも姫路さんと島田さんはそんな傍から聞いているとかなりの過激な発言をしつつアキさんに迫ります。仮に、そう仮に自分が西村先生の立場だったら、何もないなんて信じるのはちょっと無理かもしれませんね。さてどうしたものやら……
ガラッ!
「あら♪造くん相変わらずとても小さくて可愛らしいですね!———と、それはさておき学園長に西村先生。Fクラスで何を?」
《あの高橋先生、その余計なひと言は挨拶か何かですか?》
興奮状態の姫路さん達を宥めつつ、どうすれば西村先生に理解してもらえるのかをアキさんと一緒に考えていると、何故だか高橋先生が妙な挨拶をしつつFクラスの扉を開けます。ついでに———
「あれー?こーたくんに皆もいるや。おまけに召喚フィールドまで出てるし……ひょっとしてまた何か面白い事やってるのカナ?ボクも混ぜてよ」
「…………工藤、部活は?」
「今日は早めに終わったんだー♪で、何々?何をしてるのカナ?こーたくんたちは」
———Aクラスの工藤さんも一緒にやってきました。と、高橋先生と工藤さんに注目が集まった隙に姫路さんに捕まっているアキさんはその拘束をするりと抜け出してどういうわけか高橋先生に駆け寄ります。
「えぇい、こうなったら論より証拠!コホン、高橋先生ちょっと良いですか?」
「?何でしょう吉井君」
「その、後ろのロッカーを動かしたいんですけど、僕の召喚獣の点数じゃ力が弱くて動かしきれないんです。すみませんけど召喚獣出して手伝って貰っていいですか?」
「ああ、なるほど。わかりました、良いですよ。それでは試獣召(サモ)———」
「いよっと(ササッ)」
「———喚(ン)」
- 召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その③ ( No.341 )
- 日時: 2016/03/18 21:00
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)
高橋先生にそう頼み込むアキさん。言われるがまま高橋先生は召喚に応じます。そしてその召喚するタイミングに合わせ、高橋先生の手を西村先生の腕に触れさせると———
ポンッ!
「こ、これが鉄人と高橋女史の……!な、なんつー迫力だこりゃ」
「か、格闘少年と言う感じじゃのう」
「…………強そう」
《か、カッコイイですねこの子……》
「うわぁ……どういう育て方したらこんな子どもできるんだろうね……」
———幾何学模様の魔法陣の中から誕生した西村先生&高橋先生の子どもシミュレーション召喚獣は……子どもと言うよりも武人そのもの。少し細身でありながらも秘めた力を感じられる体格に西村先生の幼い頃はこんな感じだったのだろうと想像できるしっかりとした表情。下手をしたらここにいる自分たちFクラス男子メンバーよりもカッコイイかも……?
「おい吉井、何の真似だ」
「いや、説明しても理解してもらえないならこれが一番手っ取り早く理解してもらえる方法かと思いまして」
「???あ、あの?これは一体……?」
「これはアンタら二人の子どもをシミュレーションした召喚獣だよ」
「は、はぁ……」
「……なるほどこれがか。学園長、貴女と言う人はまたこんな妙な事を……」
召喚された召喚獣をじーっと見つめる高橋先生と冷めた目で学園長に物申す西村先生。
「それにしても……あまり高橋先生には似てませんね」
「うん、そうよね。全体的に西村先生って感じがするわ」
「いいや、姫路に島田。よく見てみるんだ。ちゃんと高橋女史の特徴も引き継がれているぞ」
《ん?どの辺でしょうかゆーさん》
「右手を見てみろ。……眼鏡を持っているだろ」
「それだけ!?ねぇ、鉄人って遺伝子情報まで強すぎない!?」
い、いや確かにあらゆる面で西村先生似ではありますが、どことなく高橋先生にも見てるところは———ある、ハズです。多分。
「まったく、学園長。毎度毎度このような冗談は困ります。もう少し教育機関の長としての自覚をですね」
「なーに言っているんだい。冗談で作ったワケじゃないよ。これも立派な研究の一部さね」
《だそうですよ西村せんせ。これって次の召喚大会とかもしかしたらいずれ試召戦争にも実装されるかもしれない大事な実験らしいので、自分たちはお手伝い中と言うわけでして》
「月野、俺にはとてもそうは思えないんだが……だいたい、以前も本音を喋る召喚獣の時も学園長は———」
「やれやれ。西村先生は頭が固いねぇ?」
そんな珍しい先生方のやり取りを眺める自分たち……の脇で、
『こんにちは。ママでちゅよ〜』
「「《!?!?!?!?》」」
何だか耳を疑いたくなるセリフが聞こえてきました。これには自分は勿論言い争っていた先生方もメンバー全員もそれぞれの作業を中断して一斉に声のした方へ首を向けてしまいます。
「あら?どうしましたか皆さん?」
けれどもそこにいたのは書類を抱えて普通に立っている高橋先生がいるだけ。……あ、あれ?……では今のは一体……?
《あの、高橋先生?今何か……》
「?何かとは、何のことでしょうか造くん?」
《あ、いえ……なんでもありません……多分》
気になって問いかけるも高橋先生に特に変わった様子はありません。気のせい、ですかね。
「……ま、まあいいか。ともかく鉄人、これで分かってもらえましたよね」
《ですね。子どもっていうのはこの召喚獣の事で、別に不純異性交遊並びに不純同性交遊なんて無いんですよせんせ》
「まあ俺もハッキリこの目で見たわけだしな。いや疑って悪かったな吉井。噂は所詮唯の噂だったようだ。それと西村先生と呼べ」
「わかってくれて何よりですよ。鋼鉄の西村先生」
「余計な枕詞を付けるな吉井」
「それよりもアキ!いい加減アンタもウチらと———」
「そうですよ明久君!どうしてさっきから私たちとは———」
『おいでおいで〜。だっこしてあげまちゅからね〜』
「「「「《っ!?!?!?!?!?》」」」」
バッ!×11人
「何か?」
《あの、先ほど以上に何か変なセリフが聞こえた気がするのですが……?》
「高橋先生。今、私にも妙な声が聞こえたんだが」
「いいえ。私には何も聞こえませんでしたよ造くんに西村先生」
《は、はぁ……》
「そ、そうか……」
む、むぅ……正直全く納得はいきませんが、高橋先生にそう断言されたら仕方ありません。渋々と引き下がる自分に西村先生。そして、再びこの場にいる全員の視線が高橋先生から外れたところで、
「なんでしょうね?おかしなおねーちゃんとパパでちゅね〜」
「「《絶対に気のせいじゃなぁあああああああああああい!!!》」」
聞こえたっ……!今度こそはっきりと聞こえた!やはりさっきから聞こえていたセリフは高橋先生のもの!?と言いますか、ですから誰が姉ですか誰が!?
「い、意外です……高橋先生って子煩悩だったんですね……」
「そ、そうね……もっとこう、バリバリのキャリアウーマンなイメージだったから」
「……ビックリ」
「い、いや待て。確かにイメージ湧かんがよくよく考えりゃ造関係で高橋女史が暴走している時のこと考えりゃ納得は……出来るハズだぜ」
「た、確かにのう……し、しかし何じゃろうの、このイメージのギャップは」
「???あの、私が何か変な事でも?」
「…………しかも、自覚無しか」
……随分前から思っていましたけど、高橋先生って結構天然系ですよね……
「あーコホン、学園長先生。この召喚獣、そろそろ消していただけませんかね」
「あん?何を言っているんだい西村先生。これも研究のうちさね。ワガママを言うんじゃないよ」
「ぐっ……」
“パパ”なんて呼ばれたせいか気恥ずかしさからか学園長にそう頼む西村先生。気持ちはわかります。
「そうですよ西村先生。そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか!」
「姫路……お前面白がっていないか」
「先生。これもこの学校の大事なイベントの為ですよ!」
「島田……顔がにやけているが」
「……先生。学園長の頼みには協力しないと」
「霧島……お前も楽しんでいるだろう」
「ははっ!照れても可愛くもなんともないですよ鉄人!」
「吉井……目を閉じて歯を食いしばると良い」
「どうして僕だけ殴られる流れに!?」
珍しく目に見えて動揺している西村先生に、珍しく女性陣までからかう始末。ホント珍しい光景ですねこれ。
《せんせ、ドンマイです。とりあえずこの教室内だけしかこの特殊フィールドは張られていませんので、教室から出れば召喚獣は消えると思いますよ》
「そうだな……じゃあ俺はこの辺で失礼する。まったく、付き合っていられん」
「あ、パパ———コホン。ではなく西村先生待ってください。せめて造くんとこの子と並んで家族写真を」
「撮りません。それと高橋先生。その呼び方は誤解を招きますので今後は絶対にやめて頂きたい」
「これは失礼しましたパパ先生」
「いえ、敬称を付けろと言う意味ではなく」
そんな会話をしながら、二人の先生はFクラスを後にします。先生たちの子ども召喚獣にも驚かされましたが、それ以上に先生方の反応に驚かされましたね。
《ホント衝撃的でしたよね。色々と》
「だな。ま、お陰で鉄人にあの俺と明久の気持ちの悪い噂の誤解が解けたのはありがたいがな」
「そだね、良かったよ。さてこれで一安心———」
「んふふー♪そっかー、皆でボクに黙ってこーんな面白いモノで遊んでたんだー♪」
「「《…………》」」
———どうやら。どうやら一安心出来るのはまだまだ先の事のよう。子ども召喚獣の存在を目の当たりにした工藤さんがそんなことを言いつつ最高の笑みを浮かべ目をキラキラとさせる姿を見ながら、これから先の更なるトラブルに震える自分たちでありました。