二次創作小説(紙ほか)

召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その⑤ ( No.345 )
日時: 2016/03/18 21:09
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

明久Side


遅れてやって来た最後のF&Aクラス仲良しメンバーの一人である秀吉のお姉さんの木下さんに今やってるババァの迷惑実験について説明する僕ら。彼女なら暴走中の瑞希たちを止めてくれるかもしれない……そんな淡い、本当に淡い期待を込めて木下さんに説明したと言うのに返って来た答えは———

「———へぇ、なるほど。二人で一緒に召喚することでその二人の子どもシミュレーション出来ちゃう召喚獣ね。しかも二人の性別は関係無しと来たか……それはまた何て素敵な召喚獣の仕様かしら!」

「「「「《どこが!?》」」」」

見事にそんな期待を裏切る一言だった。いや、さっきの木下さんの暴走を見てたらこうなるってもう大体読めてたけどさぁ……

「良い感じで盛り上がって来たねぇ。次は誰がどうするんだい?言っておくが一回やったからって遠慮する必要はないよ。データは多いに越したことはないからねぇ」

「「「黙ってろババァ!」」」

憎たらしくにやけた顔で次を促すババァ長に僕も雄二もムッツリーニもツッコむ。ええぃ、このババァ長ホント余計なことばっかり……!

「……なら。(ガシィ!)雄二、捕まえた……試獣召喚(サモン)」
「ぐあぁ!?しょ、翔子!?お、お前はさっきやったばかりだろが!?もう十分なはず———」
「……試獣召喚(サモン)……試獣召喚(サモン)……試獣召喚(サモン)」
「って、バカ!呼びすぎだろ!?」

と、警戒している中真っ先に霧島さんが雄二を捕えて一生懸命召喚している。よし、良いぞ霧島さん!霧島さんが雄二の相手をしている間は皆の視線がそちらに向くしほんの少しの休息ができるからね。

「……だって学園長先生が何回やっても良いって言った。それに……私今後の為にも、もっと色んな雄二との子ども見たい。具体的には後38人くらい」
「お前は本気で将来40人の子どもを産む気だったのか!?」

凄いなぁ霧島さん。将来的に40人———あ、いや。造をカウントしていいなら(それどういう意味ですかアキさん!? By造)後39人産むつもりなのか。大変そうだけど確かギネスの記録では世界には60人以上産んでる人もいるとか聞いたことあるし、是非とも頑張ってもらいたいところだね。

「翔子ちゃん凄いですね……私たちも頑張らないといけませんね!ねっ、明久君!」
「よ、40人かぁ……そうなると翔子はいざ知らず付き合う坂本もケダモノってことになるわね……アキもその時はそうなるのかしら」
「瑞希に美波。どうしてその台詞を僕を見ながら言うのかな?」
「あははー♪でも代表ならホントにそれくらい頑張りそうだよねー、何か簡単に想像できちゃうもん」
「そうね。代表なら卒業と同時に坂本君と激しい初めての夜を———」
《優姉さんっ!それに皆さんも!何か妙に生々しい会話は止めてくれませんかっ!?は、恥ずかしいですし……何よりこーさんが危険ですので!?》
「む、ムッツリーニしっかりせい!?」
「…………問題ない、続けろ(ボタボタボタ)」
「ええぃやかましいぞ外野共っ!つーか翔子、そんなに呼んでも一体しか出ねぇよ!?」
「……だったら吉井。吉井の持ってる同時召喚できる白金の腕輪貸して」

皆で雄二と霧島さんの文字通りの夫婦漫才を愉しく観戦していると、霧島さんが僕にそう頼んできた。ん?白金の腕輪を……?ああ、なるほど。僕の持ってる白金の腕輪ってもう一体召喚獣を呼べるやつだもんね。

「うん、いいよー霧島さん。すぐに貸してあげるからちょっと待っててねー」
「……ありがとう、吉井はやっぱりいい人」
「バカ久やめろや!?つーかそれはお前専用の腕輪なんだから翔子には使えねーだろが!」
「まあ、そうなるねぇ。使用者登録しているから白金・黒金の腕輪はそれぞれ月野・吉井・坂本しか使えないようになっているよ、残念ながらね」

懐から白金の腕輪を取り出していると、慌てて雄二がそんなことを言いながら僕を止め、おまけにババァ長もそんな説明をする。チッ……そっか使えないのか……

「だってさ……ゴメンね霧島さん。これ霧島さんじゃ使用できないみたいだね」
「……残念。でも仕方ない」
「うん。残念だけど仕方ないね」
「何が残念で仕方ないだバカ共……テメェらの頭ん中が残念で仕方ないわ……と言うかバカ久、テメェ何で翔子に肩入れしてやがんだ畜生め……」

何でって……そりゃ決まっている。霧島さんにはちょくちょくお世話になっているし、それに何より———雄二の不幸でご飯が美味い。雄二が慌てふためく姿を見られるなら、僕は霧島さんへの協力は惜しまないよ。

《おとーさんどうしたのー?ぽんぽんいたいー?だいじょうぶー?》
「……雄二(おとうさん)、子ども心配させちゃダメ」
「誰がお父さんだ!?翔子もそのルビ振り止めろや!?あーもう!再設定(リセット)だ再設定(リセット)!」

そんな絶賛取り乱し中の雄二を心配して、二人の子ども召喚獣と霧島さんが雄二に駆け寄ってそんな優しいことを言って来る。にも拘らず耐えきれなかったのか雄二が慌てて黒金の腕輪を使って子ども召喚獣を消すなんて横暴なことをする。あーあ、酷いなぁ雄二は。

「……雄二それ酷い」
「坂本君……あの子折角坂本君を心配していましたのに……」
「坂本、アンタちょっと反省しなさいよ」
「うんうん、今のはちょっとナイ気がするナー」
「そうよね……坂本君。今の子にちゃんと謝るためにももう一度召喚しなさいよね。あとその腕輪没収よ」
「ああもう喧しいっ!今日のお前らは一体何なんだよ!?何でそこまで俺が責められにゃならんのだ!?」

子ども召喚獣を強制的に消したことで、女性陣に怒られる雄二。霧島さんは勿論、この場にいる女性陣(え?ババァ長も女性?ははっ!妖怪はカウントしないよ)って皆子ども好きだからね。どうやら誰も雄二の味方はいないようだ。

《お疲れ様ですゆーさん。まあ今日は皆さんの母性本能がフルに働いているようですからね》
「じゃのう。いつも以上にテンションMaxじゃし、大人しくこやつらが気が済むまで付き合うか逃げるしかあるまいて」
「…………逃げられればいいがな」
「なるほどなるほど。雄二が逃げられるなんて微塵も思えないし、つまり霧島さんの気が済むまで付き合えってことになるね」
「勘弁してくれ……」

と、そんな疲労困憊気味の雄二を見て英気を養っていたところで、こっそりと僕の背後で動く気配———ん、これは……

「隙ありです明久君っ!試獣召(サモ)———」
「ふふん、甘い甘い瑞希っ!(ササッ)」
「———喚(ン)……?あれ?」


ポンッ!


「え、ちょっと……?瑞希どうしたのよ、もしかしてアタシとの子ども見たかったの?」
「わ、わわわ……違うんです優子ちゃん!?誤解です、明久君が逃げちゃうから……!」

こっそりと僕に触れて召喚しようとしていた瑞希の気配をいち早く察知して余裕をもってかわす僕。その瑞希の手は僕の前で造や秀吉と話をしていた木下さんに触れて召喚してしまう。さて、今度は瑞希と木下さんの子どもかぁ……どうしよう、全然想像できない。一体どんな子なんだろうか……?

《こんにちは!いいおてんきですねっ!》
「普通だ……」
「普通じゃ……」
「…………正常」
「さっきの造と秀吉の子ども並に害が無さげな普通のヤツだな……」
《え、そうなんですか?》

現れたのは普通に可愛らしい女の子の召喚獣。全体的に瑞希に似ているけどシャキッとしているところは木下さん似かな。僕と雄二、鉄人と高橋先生、そしてムッツリーニと工藤さんの召喚した召喚獣みたいなインパクトのある召喚獣を見てきたせいで、この子がすっごく普通に見える。うんうん、やっぱりこういうのでなくっちゃね。

《おにいさんたち、いっしょにあそんでくれるとうれしいですっ!》

見ているこっちまでもが楽しくなるような愛らしいニコニコ笑顔。これは思わずどんな頼み事でも聞いてあげたくなっちゃうなぁ。

召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その⑤ ( No.346 )
日時: 2016/03/18 21:11
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「うん、いいよ。一緒に遊ぼうか」
《わーい!ほんとうですかっ!やったー!》
《ふふっ♪それで、召喚獣さん。どんな遊びが良いですか?》

皆を代表して僕と造がこの子に話しかけてみる。するとこの子は花が咲いたような満開の笑顔で———

《すきなあそびはですねー!かわいいおとこのこたちをつかまえて、かわいくおけしょうさせてかわいいふくにきがえさせるおままごとですっ!》

「「「「《ごめんねー。お兄ちゃんたち、おままごとはとっても苦手なんだー》」」」」」

———そんな恐ろしいことを僕たちに言う。ホント、瑞希と木下さんが女の子同士で、子どもが出来ることが絶対になくて、本当に良かったよ……

《……流石優姉さんと姫路さんの子ども召喚獣ですね》
「2歳くらいですでにこんなことを考えるなんてね……成長したらそれはもう凄いことになってただろうね」
「今の姉上や姫路以上になるかもしれぬと思うとゾッとするのう」
「…………末恐ろしい」
「だよな……とりあえず一旦戻すぞ。これ以上これくらいの年の子にそう言う話をされるとこっちが頭痛くなる。と言うわけで———再設定(リセット)」

雄二の言う通りこれ以上は何だか邪悪な気配がするし、とりあえずこの子は雄二の腕輪で退場してもらうことに。いやはや危なかったね……見た目に騙されるところだったよ。

《それにしても……ホント色んな子がいますね》
「だよね。安全な子に危険な子に邪悪な子、どの子も個性あり過ぎちゃうよね」
《そのアレな分類はどうかと思いますけどアキさん……それにしてもちょっと残念ですねー》
「ん?何が残念なんだ造?」

と、ポツリと造がそんなことを言う。残念?一体何の話だろう?

《だって自分、結局自身の子ども召喚獣を見られないじゃないですか。期待半分不安半分ではありますが、自分のその召喚獣を見られなくて残念だなって思いまして》
「ああ、確かにのう。そう言う意味でもこれは造にとってはあまり楽しくない実験じゃろうて」
「…………自分だけ覚えていないのは面白くないだろうな」

なるほど。造の立場からしてみたら誰かと造の子ども召喚獣が召喚されている間は意識が飛んじゃうから、自分だけ自身の子どもが見れないんだよね。僕や雄二にとっては付き合っていられない実験ではあるけれど、造にとっては僕ら以上につまんない実験になっているってことか……

「それじゃこの実験って造にとっては何にも意味は無いよね。つまんない実験に付き合わされる上に仲間外れなんて嫌だよね」
「仲間外れなんて造に悪いよな。と言うわけで造。こんな下らん実験はこの辺にしてとっとと帰るとしようや」
《へっ?あ、あのお二人とも……?》
「そこのバカ2人待ちな。月野をダシにさり気なく逃げてんじゃないよ」
「あ!明久君、どこに行くんですか!」
「アキっ!まだ終わってないわよ!」
「…………雄二逃げるなんて男らしくない」

…………チッ、このババァ長余計な事を。ごく自然な流れで造と会話をしながらこの場から離れる完璧な作戦だったのに……

「まあ、そこのバカ2人は置いておくとしてだ。そうかい……コレ、つまらない実験かい月野?」
《えっ?い、いえ……ちょっと自分の子ども召喚獣が見れなくて残念だなーっとは思いましたけど皆さんの召喚獣を見ているだけでもとっても楽しいですし、つまらないなんてそんなことは一言も———》
「そうかいそうかい。そりゃあ悪かったねぇ。確かに月野が楽しめてなさそうなのも事実さね」
《いえ、ですから楽しめていないわけではなく———》
「だが安心しな月野。残念ながらアンタの意識を留めることは今の段階ではできないが、その代わりと言っちゃなんだがね。アンタにも楽しんでもらえるように一つサプライズを用意しておいたよ」
《あの、学園長?人の話聞いてます?》

造、この妖怪ババァ長自分の話に夢中で間違いなく君の発言は聞いてないと思うよ。そんな感じで造の発言は無視して聞いてもいないのにぺちゃくちゃと話し続けるババァ長。

「いやはや、さっきアンタらが吉井と坂本を連れ戻しに行っている間にこんなこともあろうかと呼んでおいて正解だったねぇ。退屈そうな月野の為に特別ゲストを呼んでおいたのさ。アイツなら月野の退屈さも吹き飛ばしてくれるだろうさね」
《いえ、ですから別に退屈もしてません……まあ、良いですけど。それで?特別ゲストって何のことですか?まさかとは思いますけど……サクヤさんや先生方を呼んだとかじゃないですよね……?》

何やら愉快そうな憎たらしい表情でそんな変な事をのたまうババァ長。……僕らは知っている。この妖怪ババァがこの表情を見せる時は、大抵碌な目に遭わないと言うことを。そんなババァ長に警戒を始めた造は、そう言って辺りを見回す。造にとっての天敵は先生たち(+ここにいる木下さん)。日高先生たちを呼ばれたら何が起こるかわからないから警戒するのも当然だろう。

「いや、日高先生や高橋先生だと点数が高すぎて召喚獣が万が一暴走されたら厄介だからねぇ。それ以上にあまりに興奮して本人たちが暴走する可能性が非常に高いから却下さね」
《あっ、あー……確かに》

そうだね。木下さん以上に興奮してとんでもない事に成りかねないし、流石にババァ長もその辺はわかっているようだ。でも造大好きな先生たちじゃないなら誰を呼んだと言うんだろうこのババァ長は?

《それにしても先生方でもない特別ゲスト……ですか?ならどの道自分は子ども召喚獣を見られないので、誰を呼んでも一緒なのでは———》


ガラッ


「失礼します。3年Aクラスの小暮葵です。学園長先生に呼ばれて来たのですが一体どんな御用でしょうか?」

そんな造のフラグ的なセリフと共に現れたのは、肝試しや召喚野球でも僕らを苦しめた策士であるちょぴりエロい三年生の着物先輩。

《…………(フルフルフルフル)》
「って、あら?どうして月野君は私の顔を見るなり全力で首を振ってイヤイヤしているんですか?」

忘れてた、そう言えばもう一人いたね造の天敵。造曰く造を弄ることに関していえばこの先輩はある意味あの先生たち以上に凄いとかなんとか。

召喚実験シリーズ:〜みんなの子どもシミュレーション〜その⑤ ( No.347 )
日時: 2016/03/18 21:13
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

《どうか勘弁してください学園長……っ!》
「何を言うんだい月野。誰が来ても一緒なんだろう?」
《このお方だけは別です……っ!と、言いますか小暮さんを呼ぶのは無しではないでしょうかね!?これのどこが楽しんでもらえるようなサプライズだと!?》
「何を言うんだい。月野の退屈は間違いなく吹き飛ぶだろうし、楽しいだろう———見ている分には」
《それは学園長が楽しいだけじゃないですかねっ!?》
「失礼さねぇ。少なくとも小暮は楽しくなるだろうに」
《少なくとも当事者である自分は楽しくないんですけど!?た、退避ぃ!》

ガタガタ震え必死で逃げ出そうとする造。割と素直にババァ長のいう事を聞く造がここまで動揺するなんて珍しいね。と、そんな造の逃走をぼんやり眺めていると。


ガシィ×3


「葵先輩!何も聞かずに今すぐ月野君に触ったまま召喚してみてくれませんかっ!」
「葵先輩なら絶対楽しんでもらえると思います!さあ早く先輩!」
「……きっと喜んでもらえる。先輩お願いします」

どういうわけか瑞希と美波と霧島さんが造の逃亡を阻止した挙句羽交い絞めにして、捕えた造を着物先輩に献上する。何の経緯があったのか僕は知らないけど、どうも瑞希たちはこの着物先輩を慕っているっぽいんだよね。

《ちょ、ちょっとぉ!?姫路さんに島田さんに霧島さんっ!?な、何するんですかっ!?あ、アキさんにゆーさんお願いします3人を止めてください!たすけてくださ———》

「「…………(ササッ)」」

《———って、何で目をそらすんですかお二人とも!?》

後ゴメン造、今日の瑞希たちは止められないし止まらないから僕ら無力なんだ……僕らに出来ることなんて何もないんだよホントゴメンね。そう思いながら下手に3人に目を付けられないように必死に目をそらす僕と雄二。

「ふむ……事情はよくわかりませんが、瑞希さん達がそう仰るのでしたら……では月野君、失礼して(ペタ)試獣召喚(サモン)です」
《や、止めて下さ……!?い、いしきがまた———》


ボンッ!


造のささやかな抵抗むなしく、召喚音と共にさっき秀吉とやった時ように造の身体が変化していく。そして現れたのは———

《葵お母様。今日はどのように造お父様を弄って遊びますか?》
「???……えっと?これは一体……?」

———現れたのは幼いながらも妖艶な、成長したらどんな男も堕とせそうなポテンシャルと妙な色気秘めている可愛いと言うより綺麗な造と着物先輩の子ども召喚獣。う、うわぁ……想像以上に凄い子が出たなぁ……そして想像以上に凄い第一声を上げてるなぁ……自分のお母さん(いやお父さん?)弄って遊ぶってどういうこと……?

「アンタを呼び出したのはコレの為でねぇ。二人一組で召喚するとその二人の子どもがシミュレーションできるって言う召喚システムの実験中だったのさ」
「つまりこの子は先輩と月野君の子どもってことなんですよ!」
「あらあら。私と……月野君の子ども、ですか?それはまた……」
「それにしても……流石に葵先輩のお子さんなだけあって綺麗よね」
「……美人さん」

意味がわかっていない先輩にババァ長たちが説明する。その説明を聞いた着物先輩は改めて自身と造の子ども召喚獣に向き合うことに。

「それでは貴女が私と月野君の子ども、と言うことでよろしいのですか?」
《ええ、当たり前ですよお母様。それよりお母様どうします?》
「?どうしますとは何がですか?」
《今日はお父様をどのように弄りますか?優おばさま(ちょっ!?だ、誰がおばよ誰が!? By木下さん)から頂いた洋服を着せて撮影会をするも良いですし、チクチクと言葉攻めをするのも良いと思うのですが……》

……設定上二歳程度の子どもなハズなのに、この子はなんてとんでもない事を口走っているのだろうか。気のせいじゃないならある意味さっきのムッツリーニ&工藤さんの子どもよりアレ過ぎない?一体何をどう育てたらこうなるのかな……?

「あら、あらあらあら♪とても気が合いますね。流石は私の子。そうですね……他には月野君の目の前で、日高先生や義姉さんから借りた月野君の学生時代の活動ビデオを観賞すると言うのも面白いかもしれませんね」
《なるほど……!お父様の恥ずかしがる姿を堪能でき、且つお父様の学生時代の輝かしき栄光を映像で堪能できると言うまさに一石二鳥———流石ですお母様》
「ふふっ♪そうですか?そんなに褒められると照れちゃいますね」

「「「「「…………おおぅ」」」」」

すっかり意気投合して造をどうやって弄るかという話題で盛り上がる着物先輩と召喚獣。造が涙目になっている姿を想像しているのかうっとりと悦に浸っているようだ。造曰くちょっぴりSらしいこの先輩はそのSっぷりを全力で発揮しているね。そんな二人に若干引いてしまう男子陣と木下さん。

「この子葵先輩によく似てますよね」
「そうね、外見も中身も月野より先輩似みたいね」
「……先輩みたいにお茶目な子」
「え、えっと……お茶目と言うより過激じゃないカナ……?」
「造くんはこんなこと言わないわ……造くん要素はどこよ……!と言うか何で二歳程度の子どもなのに胸もかなりあるのよ……!や、やっぱりこの先輩アタシ苦手だわ……」

それにしても瑞希たちの言う通り、あの子ども召喚獣って着物先輩の性格が色濃く出過ぎな気がする。造成分ってどこに行ったのだろうか……?小さいってところの他に何かないのかな?

「あとは……そうですね。転んだ振りをして抱き付いてみたり、月野君が帰ってくるタイミングでお着替えを始めたり、それから月野君が入っているお風呂に気付かない振りをして二人で突撃したり———」
《〜〜〜〜〜〜っ!?!?!?!?》
「……ん?どうかしましたか?」
《…………お母様ダイタンです……アタクシも早くお母様の様になれたらどんなに……そう、どんなに良いか……っ!》
「あら?意外ですね。まだこういうことには早すぎましたか?」

…………あった。多分これが造成分だ。着物先輩の過激な発言に、意外にもそのエロい見た目に反して顔を赤らめてモジモジする子ども召喚獣。どうやらそっち関連の話の耐性の無さは造譲りのようだね。

「も、もういいでしょう!?満足しましたよね!?ホラ、そろそろ造くん戻しましょうよっ!」
「あら、優義姉さんいらしていたのですね。まあまあそう言わずに義姉さんも姪とお話しましょうよ。この子も義姉さんとお喋りするの好きそうですから、ね?」
《ええそうですね。優おばさま、いつも父に可愛らしい服を作って頂きありがとうございます。おばさまのお陰で毎日父の恥ずかしがる姿を楽しめていますよ。本当に感謝しています》
「誰が義姉よ!?誰がおばよ!?さ、坂本君っ!良いから戻して今すぐにっ!」
「お、おう……再設定(リセット)」

流石に見てて耐えられなくなったのか、造大好きな木下さんがストップをかけるも木下さんまで弄られる始末。少し涙目になりつつ声を荒げながら詰め寄る勢いで造を戻すよう頼む木下さんにせがまれて、慌てて雄二が黒金の腕輪で元に戻すと———


キィイイイイイイイイイイン ボンッ!


《…………うぅ……あ、あれ……?》

———お馴染みの召喚音と共に、造が召喚獣状態で戻って来た。

「つ、造くん大丈夫!?」
《…………え、あ……はい優姉さん。さっきと違って身体は正常のようです……が》
「ですが!?な、何!?何かあったの!?」
《……その。何も覚えていないハズなのに……非常に辱めを受けた気分です……》
「あ、ああ……うん。そうでしょうね……」

例え覚えていなくても何か感じるものがあるのだろう。造はとても微妙そうな反応だ。

「いやはや、とても楽しかったですね月野お父さん♪」
《小暮さん、何ですかその変な呼び方は。と言うか何があったと言うのですか?》
「あら?もしかして月野君はさっきの出来事は覚えていないんですか?」
「ああ。システムの仕様で残念ながら月野はさっきまでの事は覚えていないよ」
「なるほど……ふふっ♪さぁ、何があったのでしょうねー?まあ安心してくださいな。月野お父さんは子どもにとっても愛されるお父さんになれると言うことがわかっただけですよ。それはもうご自身のお子さんのオモチャにされるくらい愛されちゃいますよ月野君は」
《皆さん!自分の意識がない間、ホントに何があったんですか!?》

「「「「「…………さあ?」」」」」

知らぬが仏で放っておこう。何があったのか知ったら造は泣くことになるだろうし、世の中知らないで良い事もいっぱいあるのだから。