二次創作小説(紙ほか)

彼と彼女とある日の出来事〜雄二と翔子編〜前編 ( No.366 )
日時: 2016/03/25 21:23
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

雄二Side


あの地獄の窯を思わせる、闇鍋騒動の帰り道。俺と翔子は二人で帰路についていた。……一応言っておくが、帰り道が同じだけでそれ以上の意味は何一つ無いからな?

「……雄二」
「あ?何だ翔子」

と、俺の隣を歩いていた翔子は突然立ち止まりそうポツリと話し始める。

「……今日の闇鍋、楽しかった」
「そうか。そりゃ良かったな———だが、くっちゃべってないでちゃんと足動かせ。そろそろ帰らないとマズいだろ。結構遅くなっちまったからな」
「……待って、雄二」
「なんだ、忘れもんか?」
「……ううん」

その場から動こうとしない翔子。仕方なく俺も一度立ち止まることに。

「じゃあなんだ。さっきも言ったがこんなところで話をしている暇は———」
「……私……今夜は帰りたくない……」

…………は?

「何言ってんだ翔子?」
「……私……今夜は、帰りたくないの雄二……」

まるでドラマのワンシーンのようにそんな事を言い始める翔子。

「…………本気か、翔子?」
「……本気」
「そう、か……帰りたくないか……」
「……うん」
「それじゃあ……」

期待するような目を俺に向けながら、次の言葉を待つ翔子。そんな翔子に対しての俺の返答は———

「じゃあ、俺の家は向こうだからこの辺で」
「……」

———さっと手を挙げで、そのまま別れることに。あ?今の流れは翔子を家に泊めてやるだろうだと?ふざけんな、何で俺がんなことせにゃならん。さっさと帰る俺に対して、翔子は無言のままおもむろに持っていたトートバッグの中から携帯を取り出し誰かにかけ始める。あ?何してんだアイツ……?

「……もしもしお義母さん」
「ぶふっ!?」
『あら、翔子ちゃん。どうだった?雄二、OKしてくれた?』
「……駄目でした」
『えぇ!?も〜!雄二ったら何やってるのよ!』
「…………オイ待てや」

翔子の携帯から聞こえてくる、毎日聞いているおふくろの声。何やってやがんだコラ。

『仕方ないわねぇ……ゴメンね翔子ちゃん。雄二に代わってくれる?』
「……はい。雄二、お義母さんから」
「…………」

今すぐ翔子の携帯を投げ捨てたい衝動を必死堪えながら、翔子から電話を代わる俺。

「…………もしもし」
『ダメじゃないの雄二!女の子に恥かかせるなんて最低よ!折角お母さんが翔子ちゃんに良い雰囲気になったらアタックしてねって色々アドバイスしたのに、これじゃお母さんの気遣いまで無駄にしちゃっているじゃないの!』
「やっぱりアンタが黒幕か……っ!」

今更言う事じゃないかもしれないが、俺の外堀が完全に埋まりつつある気がしてならない……

『もっとちゃんと女の子の気持ちをわかってあげなきゃダメよ雄二。———と言うわけで翔子ちゃん、今日も勿論お泊りオッケーよ♪待ってるからね〜(ピッ!)』
「あ、コラ待ておふくろ!まだ話は———ちぃ、もう切ってやがる……」

くそ……まあいい。とりあえず帰ったらおふくろに説教するとして、だ。

「……と言うわけで雄二、今日は帰りたくないの」
「…………へいへい。ったく、最初から俺に選択肢なんてねぇじゃねえか……」

結局どう転んでも翔子が家に泊まるのは確定していたようだ。盛大にため息を吐きながら、翔子に携帯を返して不貞腐れながらも歩き出すことに。

「つーか翔子、おふくろに泊まっていいって確認してるなら俺に泊めてと頼み込む必要なんざ全くねぇだろ……」
「……こういうのは雄二本人からOK貰えた方が嬉しい。お義母さんの言う通り雄二は女心を学ぶべき」
「それこそ学ぶ必要なんざ全くねぇしな」
「……産まれてくるこの子が女の子だったらどうするの雄二?娘に嫌われるお父さんって辛いよ?」
「うぉい待てや!?愛おしげに腹に手を当てんなバカ!子どもなんざいるわけねえだろが!?」

近所迷惑になりかける一歩手前で思わずツッコミを入れてしまう俺。こいつが言うとシャレにならんからマジで止めろや……!?

「……お父さんは冷たいね、しょうゆ」
「まるで俺を子どもを認知したがらない極悪非道の男のように言うな!?あと、その名前だけはやめておけと言ったろうが!?」
「……わかった、なら今夜は雄二の部屋で子どもの名前一緒に考えよう」
「家に泊めるのは認めても、俺の部屋には絶対入れんからな……っ!」

外堀はもうどうしようもないわけだしな、せめて俺の唯一のオアシスたる自分の部屋だけは何が何でも死守せねば。今になって、期末試験時に明久が姉である玲さんを追い出すために必死になって勉強していた気持ちがよく分かるぜ全く……

「……どうして?夫婦は一緒の部屋で寝るものなのに」
「誰と誰が夫婦だ。つーか、何だ急に。今日はいつも以上に攻めてくるなお前」
「……だって」
「だって、何だ?」

どうせいつもの妙な妄言だろうと、話半分で聞く俺。

「……だって、この前キスしてくれたから子どもも二人目が出来るだろうし、もっと進展したいなって思って」
「★の※っ△■♪ぺ◎に〒●ゃ!?!?!?」
「……落ち着いて雄二。国語が———というか言語が不自由になってる」

……誰の……せいだと……!?一旦心臓が落ち着くまで深呼吸を繰り返す俺。しばらくすると心配そうに俺を見ている翔子に対して———

「アホか!?デコにキスしたくらいで子どもなんざ出来るか!お前はもっと常識ってモンを勉強してこいや学年主席!?」

———近所迷惑なんざ知ったことかと言わんばかりのツッコミをすることに。……ちなみに、このバカの言っているキスがどうとかの話は……体育祭の際、俺のミスで翔子を傷つけちまった件に対する妥協に妥協を重ねた最大限の俺なりの詫びの事。色んな意味で、あの時の俺を殴りに行きたいぜ畜生め……

彼と彼女とある日の出来事〜雄二と翔子編〜前編 ( No.367 )
日時: 2016/03/25 21:24
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「…………はぁ……」
「おい翔子、テメェ……なんだその、『雄二は何もわかっていないわ』的な溜息は……!」
「……現に雄二が国語どころか何もわかってないから。これじゃ溜息の一つも出る。そんなんじゃ現代国語が得意科目の娘の造に笑われる」
「いいや、間違いなく造は泣くぞ」

一応年上の男子なのに勝手に俺らの娘扱いされりゃ、泣くに決まってるからな。と、それはともかくだ。

「で、俺が何をわかっていないと?説明してみろや」
「……特別に一つ大事な事教えてあげる。世の中には———“想像妊娠”という言葉がある」
「違うからな!?それは胸張って言えるような言葉じゃないからな!?」

つーか、愛の力で何もしていないのに子どもが出来た、なんて話は美談じゃねぇんだぞ翔子……

「……違うの?」
「違うわバカ!?」
「…………ならやっぱり、ここは同棲をしてちゃんとした既成事実を———」

なんて恐ろしい計画立てようとしてんだこのバカは……と言うかちゃんとした既成事実って一体なんだ……お前の方こそ国語が駄目になってきてねぇか……?ああ、いかん。頭がおかしくなりそうだ……

「大体なぁ……前にも言ったかもしれんが高校生で同棲していやがる連中なんざいねぇだろが」
「……うん。残念ながらまだ見つからない。見つかりさえすれば気兼ねなく同棲できるのに」
「そうだなー見つかればいいなー(棒)」

もう敢えて言う気はないが、こいつにいつ気兼ねと言うものがあったのか非常に疑問だな。ああ、ちなみにコイツの言っているのは———夏休み辺りに、もし文月学園の生徒同士で同棲しているヤツらがいるなら同棲することも考えてやらんでもない———なんて俺の適当な話の事。ま、んな奴ら存在するわけが無いからそんな適当な口約束をしたわけだがな。

「……同棲が出来れば造の妹とか弟いっぱい作らないと。目指せ40人の子ども」
「お前の目指す先は一体全体どこなんだろうな……」
「……そんなの、決まってる」

と、俺の家が見えてきた辺りで、先に歩いていた翔子は振り返って一言。

「……目指す先は———雄二と一緒の幸せな未来」

……なんて、のたまいながら翔子のヤツは俺の家に上がっていった。


———次の日の朝:雄二の部屋———


ピピピッ!ピピピッ!


「…………ん……?」

———日曜だと言うのに枕もとで鳴り響く、騒々しいアラーム音。その音に俺の眠っていた意識は強制的に覚醒させられる。……ったく。何で休みだってのにお前は俺を起こすんだ目覚まし時計……

「あー……しくった。いつもの癖でセットしてたのか。何やってんだよ昨日の俺……」

そう独り言を呟きながら、バンッと目覚ましを叩いて止めることに。まあ、昨日は闇鍋だの翔子が泊まるだの色々騒動があったからな……ついうっかりするのも仕方のない事だろうが。さて、これからどうしたもんか。腹も若干減ってるし普通にそのまま飯食いに行っても良いが……

「…………そういや、昨日から翔子の奴うちに泊まってやがんだよな……」

もしこのまま起きたら———間違いなくアイツやおふくろにツッコミを入れるだけで一日が終わってしまうだろう。……良く考えろ俺。折角の貴重な休日を、そんな無駄に過ごしても良いのか……?否、休日こそ有効に使うべきだよな。…………ふむ。ならばやることは一つだな。

「寝るか」

今日は日曜。ならばこそ明日に備えつつ普段の疲れを癒すためにも惰眠を十分取るべきだな!いや、別に翔子やおふくろと一緒にいたくないわけじゃねぇからな?そう思いながらベッドに戻って布団をかぶり再び夢の中へと戻ることを決める俺。

「鍵は……よし、ちゃんとかけてるな」

念の為今一度鍵をかけていることを確認。以前アルバイトをして購入した内鍵を部屋に取り付けているからヤツやおふくろが俺の部屋に侵入することは決して無い、つまり部屋から出なければ安全ってことだ。ははっ!二度寝最高だな!後は目を閉じてゆっくりと寝るだけ———

「……雄二、ご飯できたよ(ポンポン)」

……そう、目を閉じてゆっくりと寝るだけ———

「……?雄二、まだ眠い?でもそろそろ起きないとご飯冷める(ゆさゆさ)」

…………め、目を閉じてゆっくりと寝るだ……け————

「……困った、雄二起きない。なら仕方ないし———ここは目覚めのキスを」
「させるかぁ!」

目を閉じてゆっくりとキスをしようとしやがるバカをかわすべく、ベッドを転げ落ちる勢いで離れる俺。っぶねぇ……!?

「……(チッ)コホン、おはよう雄二」
「オイ、今舌打ちしやがったなテメェ」
「……何のことかわからない」
「今の気持ちを5字以内で簡潔に言ってみろ翔子」
「……おしい」

何がおしいだこの野郎……と言うか……と言うかだ……っ!

「何でお前がここにいるんだよ!?」

また扉を見てみると……ちゃんと内鍵が扉を閉ざしている———にも拘らず、どういうわけか今現在俺の目の前に、俺の部屋に佇んでいやがるバカが一人。何でだ……どういう原理だ翔子……!?

「……何でって、昨日から私雄二の家に泊まってるし。もうご飯だからお義母さんに頼まれて雄二を起こしに」
「俺が聞いているのは“何故ここに”じゃなくて“どうやってここに”だバカ!?鍵は!?部屋には鍵ついてただろうが!?」

そう問い詰めると、窓を指差す翔子。……おい、まさかお前……

「……うん。鍵かかってて困ったから……窓空いてたし雨どいを伝って入った」
「お前は女ムッツリーニか!?ここ二階だろうが!何やってやがんだバカ野郎!?」
『翔子ちゃん、雄二は起きたかしら〜?あら?まだ鍵が……』
「……はい、お義母さん。今開けますね」

俺の渾身のツッコミもスルーして、内鍵を開ける翔子。扉は無情にも開かれて、おふくろまで俺の部屋に入り込んできた。……ああ、さらば俺の安住の地。随分短い自由だったなオイ……

彼と彼女とある日の出来事〜雄二と翔子編〜前編 ( No.368 )
日時: 2016/03/25 21:24
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: 4.tSAP96)

「……お待たせしました」
「ん〜♪ありがと翔子ちゃん」
「おふくろ、そいつに礼なぞ言うな。このバカ窓から入りやがったんだぞ」
「ああ、そうみたいね。も〜ダメじゃないの!」

そうだ言ってやれおふくろ。翔子、お前は常識知らずだ、そんな非常識なこと止めろとな。

「翔子ちゃんが二階から落ちて怪我でもしたら大変じゃないの雄二。これに懲りたらちゃんと扉を開けていつでも翔子ちゃんが夜這いに来れるようにしておきなさい」
「それ以上に別の問題があるだろうが……!」

バカか?バカなのかこの二人は……!?

「それより早く着替えて降りてきなさい雄二。翔子ちゃんがね、美味しそうなご飯作ってくれたのよ〜♪」
「……冷めるし、雄二早く来て」
「…………ハァ」

俺の発言は一切聞かずに、さっさと一階に降りていくバカ2人。……そんなこんなで、盛大にため息を吐きながら俺の日曜日は始まった。


〜雄二着替え中〜


「———美味しい!さっすが翔子ちゃんね〜♪」
「……ありがとうございますお義母さん」

半ば強制的に食卓に座らされ、おふくろと翔子と共に翔子が作ったらしい朝食を三人で食べることに。無難に白米の飯に豆腐とワカメの味噌汁に目玉焼きにサラダ付きと言うメニューだな。ちなみに味はと言うと……

「……どうかな、雄二」
「…………まあまあだ」
「……そっか。ありがとう褒めてくれて」

…………褒めてはねぇぞ。一応マズくはないとだけは言っておく。

「照れ隠しせずにもっとちゃんと褒めればいいのに、雄二ったら意地っ張りよね〜」
「……大丈夫です。雄二はこんな感じで褒めるってわかってきましたし」
「勝手な事言うなそこの二人っ!?」

こいつらの余計な一言さえなけりゃ、普通に上手いと感じられたかもな……あーくそ、何かまだ朝だってのにドッと疲れた気分だ……

「それにしてもホント、翔子ちゃん料理上手よね。作ってくれるたびに美味しくなるし、時々食べたことない珍しい料理も作ってくれるしお母さん感激だわ。絶対良いお嫁さんになるわよ翔子ちゃん」
「……花嫁修業してますし。けど雄二には負けます。雄二は料理上手で凄い」
「へいへい。お褒めの言葉どうも」
「……それにお義母さんの料理も凄い。私も今まで食べたことのない料理」
「翔子、そっちは褒めるな。おふくろが調子に乗る」

そりゃ今まで食べたことない料理だろうさ。ウニの代わりにタワシ。エビやカニの代わりに腐りかけたザリガニが出る食卓なんざ世界広しと言えどうちくらいなもんだろう。……まあ、そう言う意味じゃおふくろじゃなくて翔子が今朝の朝食を作ってくれたのは、一応感謝せんでもないが……

「酷いわね雄二は〜お母さんも頑張って今日はデザートを用意したのに」
「…………なんだと?」
「えっとね、昨日スーパーにお買い物に行ったら安かったんだけど———」

そう言って、このおふくろはニコニコしながら俺と翔子の前に冷蔵庫から取り出したものは———

「はい、二人とも。キウイみたいなのと栗みたいなものよ」
「…………“みたいなもの”じゃダメなんだよおふくろ……っ!」
「セットで食器用の洗剤もついてきた優れものなのよ〜」
「食器洗いとしては優秀だが、食い物としてはアウトだバカっ!?あんたはいい加減タワシを料理に使うなおふくろぉおおおおおおおおおお!」
「……うん、お義母さんの料理もやっぱり凄い」

そんなわけで。姫路が生成したものとはまた違った意味で食えねぇものを目の当たりにして、朝っぱらから頭を抱えながらも世にも奇妙なタワシのデザート(?)を後処理をする羽目になった俺であった……


〜坂本家朝食中&雄二タワシ料理処理中:しばらくお待ちください〜


「…………頭痛ぇ」
「……雄二、風邪?大丈夫?」
「あらやだ気を付けなさい雄二。寒くなったものね。病院行く?」
「お前ら二人のせいだよ……っ!」

朝食後、そう嘆く俺と頭痛の原因である翔子とおふくろで皿を洗う。

「つか、俺よりもおふくろこそ病院行くべきだろうが」
「どうして?お母さんは健康そのものよ〜?」
「その手に持ってるタワシをキウイだの栗だのと見間違えるその眼はどう考えても異常だおふくろ。今すぐ眼科行ってこい。それと翔子もついでに病院行け」
「……嬉しい」
「言っておくが、お前の行くべき場所は産婦人科じゃねぇぞ……精神科だ」

……いかん、また頭痛が……折角の休日だってのに何でこうも俺がこうもツッコミで疲れなきゃならんのだ……

「こういう時に造あたりがいればな……」
「……?造に用事?造なら今頃優子と木下の家」

ポツリとこの二人に対する生贄———ではなく生粋のツッコミ役———もとい頼れる友人の名を呟くと、翔子がそう返してくる。あー……そういやそうだった。何でも造のおふくろさんと日高先生とその他で旅行に行ったらしく造の家は現在ほぼがら空き状態。で、暇だからと秀吉たちの家に泊まるとか造は言ってたな。

「つーちゃんのこと?そう言えば最近孫のつーちゃんに会ってないわね〜。元気かしら?また会いたいわ」
「……でしたら、今度一緒に連れてきますお義母さん」
「………翔子、止めてやれ。造泣くぞマジで」

冗談なのか本気なのか、よくわからんがこのバカ2人はどういうわけか造を俺と翔子の第一子———しかも長女としてカウントしていやがる。アイツは(一応)俺らより年上で男なんだがなぁ……

「翔子ちゃんありがと〜。楽しみにしておくわね。ところで話が変わるけど、今日の二人の予定はどんな感じかしら?もしかして……誰にも邪魔されずに、二人でイチャイチャかしら♪いいのよ、お母さんのことは気にしないで二人とも」
「俺は誰にも邪魔されずに、月曜が来るまで“一人で”寝ていたいんだがな……」
「……私は朝みたいにお昼ご飯作ります。後……明日の課題を———」

ほー?課題ねぇ……やれやれ学年主席様は生真面目なこって。俺なんか課題出されても提出する気は全くねぇんだがな。

「———雄二と一緒にします」
「って、待てや。何で俺までお前の課題をせにゃならん」
「……?私の出された課題はもう昨日のうちに終わらせてる。やるのは雄二に出された数学の課題」
「やるのは俺の課題かよ!?」

つかマジで待て!?何で他クラスの翔子が俺に出された課題の存在を知ってんだ!?

「……瑞希と美波に課題の事は聞いてる。それにさっき確認したけど、まだ雄二は課題を終わらせてない。雄二、課題はちゃんと出さないとダメ」
「何勝手に探ってる!?俺のプライバシーはどこ行ったんだ……!?」
「偉いわ翔子ちゃん。それにとっても気が利いてお母さん嬉しいわ♪雄二は出来たお嫁さんを貰えて本当に幸せものよね〜」
「んなお節介いらんわ!?」
「……さあ雄二、一緒にやろう。あ、お義母さん。お昼ご飯は課題終わってから作り始めますね」
「はーい。ごめんねぇ、何から何までありがと翔子ちゃん♪」
「ぐぉおおおおおおおっ!は、離せ翔子……!?」

そのまま翔子に問答無用で部屋に連れられる俺と俺らに手を振りながらのんきに茶なぞ飲むおふくろ。お、俺の休日を返してくれぇ……!