二次創作小説(紙ほか)
- 109時間目 生贄?懐柔?突破口は〜どうして貴女がここに?〜 ( No.37 )
- 日時: 2015/08/01 21:20
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
クラスメイトからの(恨みと嫉妬がコラボレーションした)私刑と、自身の(興奮して鼻血の出し過ぎによる)大量出血で瀕死のアキさんを何とか目覚めさせて、再び召喚野球に戻った自分たち。
2回戦は結局3−E対3−Fの試合は決着がつかなかったので、幸運なことに自分たちの不戦勝となりました。そして次は……
「いよいよ次は準決勝なわけだが」
「確か、相手は3−Aだっけ?」
「あはは♪図らずも向こうからしてみればこの前の肝試しのリベンジマッチってことになりますね。最近何かと3年生と競い合う事が多いですよね」
召喚野球会場に向かいながら皆さんと準決勝について話ます。相手はツネとナツたち。清涼祭の時と言い肝試しの時と言い、本当に何かと縁がありますね。
「んむ?ということは、2−Aは負けたということじゃな?」
「そうなるな」
「負けたって、あの霧島さんがいるのに?」
……ふむ。姫路さん以上の実力を持つ霧島さんや、高い実力の優姉さんたちがいて2−Aが負けたと言うことは、
「ん〜……まぁ、姫路ほどじゃないが、アイツも野球には詳しくねえからな」
「ふむ……それに、三年にも霧島クラスがおったのかもしれんしの」
あー……確かに三年生にはツネやナツのような実力者もいて、おまけに学年、いや学園の首席であるタカさんや参謀役の小暮さんがいますからね。タカさんと小暮さん———自分にとっては特に小暮さんが非常に厄介。はてさてどう戦うべきか……
「……もし3年生が本気で来るなら、自分らも覚悟しておかないといけないでしょうね。この前の肝試しでは三年生は手加減していましたし。元クラスメイトの自分が自信をもって言えます———相当手強い相手と思って戦わないといけませんよゆーさん」
「その辺は頭に入れておくとすっか。……さて、こんなとこでごちゃごちゃ考えても仕方ないし、さっさとグラウンドへ行くぞ」
「それもそっか。まあ、試合になればわかるだろうし。……ん?ところで雄二?」
「なんだ明久?」
「もし2−Aが勝ち上がってきた場合はどうするつもりだったの?」
あ、それはちょっと気になりますね。負けたとはいえ2−Aはウチにとって最大の目標でもあるんですし。ゆーさんの策って何だったんでしょうか?
「そんなもん決まってんだろ。久保や木下姉を懐柔して11対7で勝負するつもりだった。あれだけデカい弱点抱えてるなら、そこ攻めるに決まってるだろうが」
「「「…………」」」
それは……まさかとは思いますが、自分とヒデさんを優姉さんに売り渡すって意味じゃないですよね……?もしそうなら今後はちょっぴりゆーさんの事を警戒せざるを得ないことになりますが。———って待った、何故に懐柔する対象に久保くんが入っているのでしょうか?
「あの、ゆーさん。優姉さんはともかく久保くんを懐柔する気だったって……それは無理なのではないでしょうか」
「そうだよね。確かに11対7とかが出来るなら成績差なんて跳ね返せるだろうけど、あの真面目な久保君がそんな汚い行為に手を染めるはずがないじゃないか」
と、アキさんと二人で頭にクエスチョンマークを浮かべていると……
「……そうか。そう思っていられるのなら、お前らはその方が幸せかもしれないな……」
「…………知らぬが仏」
「……造は渡さぬ……」
全員が何やら物凄く妙な反応を。一体どう言う意味なんでしょうか……?
- 109時間目 生贄?懐柔?突破口は〜どうして貴女がここに?〜 ( No.38 )
- 日時: 2015/08/01 21:26
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「???な、何ですか皆さん?急に変な目で自分らを見て……?」
「そ、そうだよ?てか前々から思ってたけど、どうして久保君の話をすると皆そんな慈愛に満ちた目で僕らを見るの?」
ヒデさんはちょっぴり黒いですし、ゆーさんとこーさんに至ってはどこか遠くに行ってしまう友人を見送る目で見ています。毎回気になっていましたが、久保くんの話になると皆さんが変な態度をとるのは一体なんですか……?そんな感じで混乱している自分とアキさんを無視して話を続けるお三方。
「して雄二。この試合はどんな作戦で行くのじゃ?」
「ああ。正直に言うといくら3−Aが相手とは言っても、翔子や久保や木下姉がいる2−Aが負けるとは思っていなかったからな。殆ど作戦なんてないんだが……」
「「「「ないんだが?」」」」
「……話を聞くに、どうやら三年にとっても造は知名度が高く人気がある。それならば造をちょいと生贄に捧げれば勝利は俺らの手に————」
「ちょっ!?売られる!?自分売られるんですか!?ドナドナ!?」
ゆ、ゆーさんが怖いっ!?やっぱりさっきの対Aクラス戦の策、本気だったんですか!?や、ヤバいこのままじゃリアルに売り飛ばされてしまう……しかも目的が成人指定の本を取り返すというしょうもない理由だけで……!?
「……雄二。お主覚悟はできて————」
「おっと秀吉に造、一応冗談だぞ。いくらなんでも流石にそれだけじゃ三年の連中は釣れんだろうさ」
せ、セーフでしょうかね……?全く、質の悪い冗談ですよ。一瞬本気かと思いましたもん。…………その。冗談、ですよねゆーさん?
「(まあ、最終手段として考えておくがな)一通りの策は一応考えてはいるんだが、基本は初戦のEクラスと同じだな」
「ん?って言うと雄二、どう言う意味さ?」
「決まってんだろ?またこれを使う。三年の連中に、これを俺に渡してしまった事を、後悔させてやるさ」
と、ゆーさんが対三年生との肝試しで手に入れた黒金の腕輪を見せながら言ってきます。おお……流石ゆーさんですね。もうすでにこの腕輪を手足のように使いこなしていますね。
「…………黒金の腕輪か」
「ってことは造がショートで守ってから、攻撃で回復するって作戦なんだね?」
「まあ、初戦と同じだな……そして今回は姫路が鍵となるだろう」
「「「「瑞希(姫路さん)が?」」」」
???一体どう言う作戦で行くのでしょうかね?
「正直に言うと、俺らがどう頑張っても3年との成績の差は歴然としている。だからこそこっちの最高成績保持者の姫路に頑張ってもらうのさ————アイツのポジションは投手(ピッチャー)だ」
おおぅ……ゆーさん、随分思い切りましたね。と、言いますかピッチャーって中々難しいポジションですが……
「ちょ、ちょっと!?それはいくらなんでも無謀じゃないかな!?瑞希まだ初心者だよ?」
「うむ。明久の言う通りじゃな。おまけにお主もEクラス戦の時に言っておったじゃろう?“姫路が投げても捕れる奴はいない”と。下手をすれば点が削れて戦死してしまうぞい?」
と、お二人が的確な事を言ってきます。ですよね……本当に大丈夫なんでしょうか?
「安心しろ、明久に秀吉。一回は姫路に慣れさせるために最初と同じく明久がピッチャーだ。そんで様子を見て姫路に変える」
「う、うーん……まあ、それなら良い……のかな」
「ではキャッチャーは?姫路さんの球を捕れる人って残念ながらこのクラスには一人も———」
「フッ……なーに言ってやがる。ちゃんと一人いるじゃねえか。俺の目の前に」
と、そう不遜に笑うゆーさんが指差す先にいるのは……えっ、嘘!?じ、自分ですか!?
- 109時間目 生贄?懐柔?突破口は〜どうして貴女がここに?〜 ( No.39 )
- 日時: 2015/08/01 21:33
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「造、お前なら操作技術もトップクラス。おまけに成績も姫路とも渡り合えるだろ。そうとくればキャッチャー造で決定だ。つーわけで期待してるぜ」
「え、えっと……流石に姫路さんレベルのボールを捕り続けるのは難しいかと思います。戦死は避けるつもりですが、それでも捕球だけで点数が削られかねませんよ……かなり無理があるかと」
何せただ捕るだけで点数がごっそり減らされそうですもんね。……ん?いや、待って下さい?———点数が、減らされる……?それにゆーさんの黒金の腕輪……ま、まさかゆーさんの作戦って!?
「おっ!その顔は気がついた顔だな造。そうだ、だからこそのこの腕輪の出番だ。点数を消費したらこれでまた回復すればいい。そうすりゃ姫路も全力で投げれるだろ?先に言っておくが、攻守の際の腕輪の使用は審判にも了承済みだ。安心して使わせて貰うさ」
「「「「…………」」」」
う、うわー……つまりまた騙し討ちする気満々ですねこのお方……Eクラス戦の時みたいに3年生に怒られないかすっごく心配ですよゆーさん……
「まあ、この作戦は姫路と造には……いや、今回は恐らく造がだろうが、かなり負担をかける。あらかじめ言っておくが、すまんな」
と、ゆーさんが自分に向かって頭を下げます。あらら……ゆーさんって、意外なところで律儀ですね。
「ま、まあ作戦内容はともかくそれに関しては大丈夫です。負担と言っても今回に関しては試召戦争のように戦うってわけじゃないですし。基本普通に野球をしている感覚と同じですからね」
「そうか……まあ、すまんな。助かる」
「そんな顔しないでください。……正直反則ギリギリではありますが、三年生相手に手段は選べないのも事実。こうなったらやるだけやってみましょうか。さあ、早く行って皆さんに作戦の説明とかしませんと、ね?」
「……そうだな。うっし、いっちょやったるかっ!」
「やれやれ。造よ、お主も無理だけはするでないぞ?」
「大丈夫ですよヒデさん、頑張りましょうね皆さん」
「そうだね。造に無理させない為にも、僕らも頑張らないと!」
「…………ああ、俺らには使命があるからな」
「「……えっ?使命?」」
「「「そう———戦友《エロ本》奪還という使命がっ!!!」」」
「「台無しですよ(じゃぞ)!?」」
迸る若き青少年たちが天高く拳を突き上げそう宣誓します。うぅ……折角やる気が出てきてましたのに……台無しですよ全く。
〜全員移動中〜
「……あ、そうそう。ついでに聞きたかったんだけどさ雄二」
「あん?明久、まだなんかあるのか?」
召喚野球準決勝の地に向かいながら、アキさんが歩きながら不思議そうにゆーさんに尋ねます。
「なんか今回の作戦ってさ、確かに腕輪とかを使うけど雄二にしては随分直線的じゃない?てっきり何か搦め手を仕込んでいるとばかり思っていたんだけど」
「おお、それはワシも気になっておったところじゃ。雄二らしくないと思うのじゃがのう」
アキさんに続き、ヒデさんも尋ねます。ああ、確かにゆーさんらしくないかもですね。ですが多分……
「……いやな。さっきも言ったが、俺も一応は策を一通りは考えついている————んだが、三年にはあの着物着てた妙に頭が回る先輩がいるだろ。正直あの先輩相手に小手先だけの作戦じゃ逆効果だと思ってな」
「あはは……ですよねー」
小暮さんや……それからゆーさんはまだ知らないでしょうが、三年生学年主席。髙城くんことタカさんに挑むのでしたら小手先の策だけで挑むのは無謀ですもんね。と言いますか下手をすれば作戦を逆に利用されかねませんし。流石ゆーさんです。相手の事をよくわかっていらっしゃいますね。
- 109時間目 生贄?懐柔?突破口は〜どうして貴女がここに?〜 ( No.40 )
- 日時: 2015/08/01 21:40
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「そう言えばあの着物を着た先輩にはかなり苦戦させられたよね。今度も皆が誘惑させられないか心配だよ」
「そうじゃのう……造よ、あの先輩の対抗策はないのかの?」
「た、対抗策……?小暮さんの……?いえ、寧ろこっちが聞きたいのですが」
もし彼女の対抗策及び弱点についてご存知の方がいらっしゃるなら、どうか自分、月野造に教えてくれると嬉しいです。いやホントに。
「ん?あれ、意外だね。知らないんだ。造ってあの着物先輩と知り合いじゃなかったっけ」
「確かに小暮さんとは友人ですし二年間同じクラスでしたが、あの人の弱点なんて一つも知りませんよ自分。逆に自分の弱点はあの方は完璧に知り尽くしているようですが……」
「やれやれ……そりゃ厄介なことで」
「…………あの先輩は色々危険」
小暮さんには去年から———いいえ、一年生の時からいっぱい弄られてきた自分ですからね。彼女に弱点は知り尽くされ、彼女の弱点は何一つ知らない自分。理不尽ですね……そうやっていつものメンバーと苦笑しながらも、ようやく野球会場に入ります。……ん?何だかFクラスの皆さんが騒いでますね?
『『『うぉおおおぉぉっ!眼福っ!まさに眼福じゃあああああああああああ!!!』』』
何だか皆さんめちゃくちゃ歓声をあげて盛り上がっています。と言いますか、ちょっぴり怖いです。3年生の皆さんが少しばかり脅えて(引いて?)いますし……
「???何なのじゃあやつらは?」
「?まるで何かを囲むように集っていますね……?トラブルですか?」
皆さん一斉に集っているので、人垣が出来ていて何が起こっているのかわかりません。……べ、別に背が低くて何が起こっているのか見えないわけではないですらねっ!?ま、まあそれはともかく、どうやら皆さん誰かに向かってLOVEコールしているみたいですが、一体誰に……
『『『小暮先輩!今日は一段とお綺麗ですよ!!最高ですっ!!!』』』
あらら……噂をすれば何とやら。どうやら皆さん小暮さんの方に集っているようですね。
「ああ、さっき言ってた先輩がいるんだね。皆だからあんなに集まっているのか」
「そのようだな。ったく、アイツらは……あの着物先輩に早速惑わされてるが、この先大丈夫なのかね?」
「…………あの先輩は校内の美人ランキングの上位者。アイツらがこうなるのは、ある意味仕方がない」
「まあ、確かに随分色香のある先輩じゃからの」
「ですね、小暮さんお綺麗ですし」
皆さんと苦笑いをしながら先にベンチに向かう事に。それにしても小暮さんがいるってことはやっぱり3−A攻略は難し—————
『『『造ちゃんも今日はいつも以上に可愛らしいよ!お兄さんたちが可愛がってあげるねっ!!!』』』
「「「「「…………え?」」」」」
—————あ、あれ?今自分を呼びましたか?それにしては皆さん、こちらを向いていませんが……?
「……おい造?今お前アイツらに呼ばれなかったか?」
「じ、自分も呼ばれた気がするんですが、何で皆さん向こうを向いているんでしょうか?」
皆さんも自分も首を傾げて、再び皆さんが集まっている人垣の方を見ます。すると今度はこんなとんでもないセリフが聞こえてきました。
『造ちゃんいいね〜その服!また先生と木下さんに着替えさせて貰ったの?』
『造ちゃん、チア服可愛いよ!物凄く似合ってるね!』
『小暮先輩もです!いやはや、僕はこんなに素晴らしい光景を見れるなんて思っていなかった!造ちゃんの可愛らしさと先輩のエロ————じゃなかった、セクシーさが二段コンボでゴチになりますっ!』
!?ち、チア服ですと!?そんなの着た覚えはありませんよ!?一体何がどうなっているんですか!?
「つ、造?どういうことなのさ?」
「自分にもわかりませんよ!?ちょ、ちょっと確認してきますっ!?」
とりあえず状況確認の為にも、慌てて自分も皆さんが集まる人垣の中に入る事に。どうしてでしょうか……非常に嫌な予感がします……
必死に人波を掻き分け(だから別に小さいからってわけではないですよ!?)自分の目に飛び込んできたのは————
「あら♪月野君、ようやく来ましたね。“妹さん”が探していましたよ」
————皆さんに囲まれているにもかかわらず相変わらずマイペースな小暮さん(チアガール姿)と、
「ホラ、“文さん”♪“お兄さん”がおいでになられましたよ」
「…………何で、貴女がここにいるんですか……?」
…………どう考えてもここにはいないハズの彼女、
《ワーイ♪ ツクル 文は ツクルを 応援に キタヨー♪》
……文月学園の召喚システム《文さん》が、何故か小暮さんに寄り添っていました。……こっちもチアガール姿でねっ!?な、なんてことですか……!なまじ自分とそっくりな彼女のせいで自分がチアガール服を着ていると勘違いされて……いかん。今すぐにでも校内の皆さんに弁解しないとまた妙な噂が———
———と言いますか、それ以上に何でこんなところにいるんですか文さんっ!?