二次創作小説(紙ほか)

番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.77 )
日時: 2015/08/22 21:57
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

問1 次の野球用語について説明しなさい。
『タッチアップ』


坂本雄二の答え
『フライがあがった時に走者がその打球の行方を見守ること。捕球後は進塁することができる』

教師のコメント
その通りです。


姫路瑞希の答え
『痴漢をする』

教師のコメント
野球のタッチアップを知らないのに英語の touch up のそんな訳まで知っているとは、流石に先生も驚きました。英語を訳す上では正解ですが、野球用語としては残念ですが間違いですね。


土屋康太の答え
『フライがあがった時に走者が打球とチアリーダーのスコートを確認すること。捕球後は痴漢しに行くことができる』

教師のコメント
落ち着いて下さい。正しい知識といやらしい願望が混ざっています。


霧島翔子の答え
『フライがあがった時に夫(ゆうじ)をチアリーダーとしてコスプレさせること。捕獲後は夫(ゆうじ)を痴漢しに行くことができる』

教師のコメント
霧島さんも落ち着いて下さい。と、言いますか色々とツッコミどころが多すぎてどれからツッコむべきかわかりません。

坂本雄二のコメント
と言うか、翔子は自重しろ!?つーか、それはまさかお前の願望なのか!?



問2 ヒットエンドランとは、どのような連携でしょうか?


吉井明久の答え
『ピッチャーがボールを投げると同時に走者が次の塁に走って、バッターもボールを打つ連携のこと』

教師のコメント
その通りです。ちなみに余談ですがヒットエンドランは、打者の打撃方法や走者の走行タイミングなどでいくつかの応用戦術があります。バントエンドランやバスターエンドランなどがいい例ですかね。


姫路瑞希の答え
『当て逃げ』

教師のコメント
えっと、確かに hit‐and‐run accident で当て逃げ事故と言う意味ですが、野球用語としての問題ですので不正解ですね。

月野造のコメント
……いえ。姫路さんや高橋先生レベルの打球の威力は当て逃げ以上の破壊力ですし、ある意味合っているのかもしれませんよ先生……


須川亮の答え
『hit=撃つ,end=終わる,run=逃げる つまり異端者共を撃ってその対象の命を終わらせてから、速やかに逃げ去ること』

教師のコメント
貴方はゴ〇ゴか何かですか。



〜解答終了後:Fクラス教室〜


「うぅ……」
「ん?どうしました姫路さん?帰らないのですか?それに何やら落ち込んでいるようですけど……」
「あ、月野君……えっと、さっきの野球のミニテストの結果でちょっと落ち込んじゃいまして……これ見て貰えますか?」
「ふむ……あらら。ひょっとして姫路さん野球はあまり得意じゃないのですか?」
「その、恥ずかしながら私野球だけじゃなくて他のスポーツもあまり得意じゃなくて……難しいんですね野球のルールって」
「ああ、大丈夫ですよ姫路さん。誰でも最初は初心者ですし、わからなくても恥ではありませんよ」
「でも……もうすぐ召喚野球大会があるのに、私何もわからなくて……このままじゃダメだなぁって思っていまして」
「あ、それでしたら———折角の機会です。召喚野球の前に姫路さんは放課後にでもアキさんやゆーさんたちに野球のルールを教わってはいかがでしょうか?」
「え?明久君たちに……ですか?」

番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.78 )
日時: 2015/08/22 21:19
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

———体育祭兼召喚野球大会前のとある放課後の教室にて————


「———と言うわけで、数日後に召喚野球大会を控えているわけなんだが……野球をほとんど知らない姫路に、簡単に野球のルールについて説明をしようと思う」
「あはは♪僕らが教えるなんて、いつもとは逆の立場だね瑞希」
「よ、宜しくお願いしますね皆さん!」
「姫路さん、そう緊張なさらずに。楽しく覚えていきましょうね」

先日のちょっとした野球に関する問題で、野球の事があまり理解出来ていないようであった瑞希の為に、明久と雄二と造が一通りの野球についての知識を教えることとなった。

「今回は……そうだな。“ボーク”などの反則行為について学んでいこうか」
「ボーク、ですか?」
「そうだ。これはピッチャーの投球や送球における反則行為の一つなんだがな」
「反則ですか。具体的にはどういうものなんですか?」
「その辺は明久に造、説明を頼む。俺は要点を黒板に書いておく」

そう言って黒板の前に立って要点をまとめ始める雄二。バトンタッチされた明久と造が瑞希にその内容を説明し始めることに。

「オッケー。ふむ、例えばそうだね……プレートに足を着けた状態で一塁に牽制球を投げるフリをして、実際には投げないとかがボークの例にあたるかな」
「ピッチャーというボールを投げるポジションの人がいますよね。その人が走者という塁に出ている人を騙して盗塁とかヒットエンドランを阻むことが無いようにするルールですね」
「……?当て逃げを防止するんですか?」
「……はい?」
「OK、とりあえず瑞希はヒットエンドランを当て逃げと結びつけないようにする事から始めようか」

雄二は黒板に要点を書きつつ、明久や造は瑞希に具体的な説明を瑞希にする。造はともかく残りの二人はこういうことがちゃんと出来るなら、普段の授業も真面目に受ければいいのに……

「「それは全力で断る!」」

「???えっと……二人とも、突然どうしたんですか?」
「ああ、すまん。気にしないでくれ。ボークに関しては二人の言った通りの事だな。他に例を上げるならつま先を打者方向に向けたままでの牽制球とか」
「そうそう、あとは二段モーションって言って———投球動作中に少しでも全身の動きが止まったりすると、これも反則になるんだよ」
「ええと、つま先を打者に向けての牽制球に、二段モーション……」

瑞希が一生懸命ノートにメモを取る。流石に真面目な子なだけあって、真剣に理解しようと頑張っているようだ。

「姫路さん、そう深く考えなくていいですよ。要するにピッチャーがボールを投げる時には、走者やバッターに対して【紛らわしい・思わせぶり】と取られるような行動をしちゃいけないってことです」
「そゆこと。バッターが『来る!』と思っていたら牽制球だったり、『来ない』と思っていたらいきなり投げてこられたり、なんてされたら大変でしょ?簡単に言っちゃえばその防止のためのルールなんだよ」

そんな瑞希の授業態度に苦笑いをしながら、明久たちは朗らかに説明する。その説明を受け、瑞希はポンッ!と手を叩き納得した面持ちでこう返す。

「なるほど……【紛らわしい事・思わせぶり】な行動はボーク、ですね!」
「ああ。大まかにはそう考えてもらって構わない」
「つまりボークとは———明久君みたいな人の事を言うんですね」

「「「…………へ?」」」

ここで何やらよくわからないことを言いだす瑞希。これには教師役のこの三人も意味がわからないと言う顔で頭に疑問符をつけてしまう。

「え、えっと……何でボークが僕?」
「……姫路、ちゃんと意味わかっているのか?つか、お前が何をどう捉えたのか俺にはわからんのだが」
「じ、自分もです……姫路さん、どういう意味ですそれ?」
「違うんですか?紛らわしくて思わせぶりな反則行為———つまり明久君ってことですよね?」

その瑞希の言葉は明久は未だに理解できていない様子だが、その他の二人は何となく理解できたようで。

「あー、そう捉えたか。まあ、大体合ってるかもな」
「……あ、ああそう言う事ですか。ルール的には理解してもらったか微妙ですが……ニュアンス的にはあっている……のではないでしょうか」
「わかりました!明久君、ボークは反則ですから今後は気を付けてくださいね!」
「何が!?何が合ってるのさ!?一体何の話してんの!?」

恋愛面に関して常日頃から非常に紛らわしい行動を起こしまくり、思わせぶりな行動で瑞希や美波、玲さんや葉月ちゃんや久保君や玉野さんたちをも誑かす吉井明久と言うこの男。ある意味存在自体がボークと言っても問題ないのかもしれない。

番外編:覚えよう野球のルール〜スクイズしてください!〜 ( No.79 )
日時: 2015/08/22 21:29
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

———これまたとある放課後の職員室にて————


「高橋先生。頼まれていた資料を持ってきました」
「ありがとうございます姫路さん」
「いいえ。えっと、ここに置いておきますね」

瑞希が野球の勉強を始め出した次の日。高橋先生に頼まれごとされた瑞希は職員室に高橋先生と共にしていた。

《大日本高校、1点を追う状況でバッターは山根。ここまでの打率は———》

「あれ?高校野球のラジオですか?」
「はい。どうにも私は野球に疎いようなので、勉強も兼ねて聞いていました」

と、瑞希に貰った資料に目を通しながらも高橋先生は苦笑い混じりにそう言ってくる。

「勉強ですか。高橋先生は勤勉ですね」
「いえいえ。わからないことは勉強しておく必要がありますから」
「そうですよね。私も頑張らないと……」
「おや?姫路さんも苦手なのですか。では一緒に頑張りましょうか、姫路さん」
「はい!頑張ります!」

と、笑い合う二人。生徒と教師という立場ではあるが、何だかんだでこの二人は気が合うのかもしれない。思えばこの二人、立ち位置も性格もかなり似ているようである。

「あ。わからないことと言えば。野球に関係あるかどうかはわからないんですけど……」
「?なんでしょうか姫路さん?」
「先生はスクイズって何のことだかご存じないですか?ここに来る前に、明久君と坂本君がそんな話をしていたの気になって。自分で調べたら良いのですけど……」
「いえ。気になったことを忘れないうちに確認するのも大事なことです。姫路さんは立派ですよ♪」
「あ、ありがとうございます♪」
「そうですね。スクイズ、ですか……」


※スクイズとは———野球で三塁走者と打者が示し合わせて、打者がバントをすることで走者を本塁に迎える連携プレーのこと


「あまり私も詳しくはありませんが……響きから察するに———『スクール水着』の略称か何かだと思います」
「あ、なるほど。そうなんですか。ありがとうございます」

…………ツッコミが……いないだと?この場に誰か一人でも常識人の教師がいれば、絶対にツッコまれていたであろう間違った知識を、何の違和感もなく頭の中に二人が入れ込んでいると。

《大日本高校、ここはきっちり“スクイズ”を決めてきましたね》
《そうですね。7番・山根権三郎くん、見事な“スクイズ”でした》

「「…………えっ?」」

———ラジオからそんな衝撃の解説の声が聞こえてくる。傍から聞いていれば何もおかしな解説ではないのだが、間違って理解しているこの二人にはさぞかしとんでもない解説に聞こえてきたであろう。

「……先生。高校野球って、スクール水着を着てやるものなんですか?」
「……わかりません。ですが……もしかしたら、暑さの厳しい地域の風習なのかもしれません」
「そ、そうですよね……(明久君のスクイズ……)」
「そ、そうなんでしょう……(造くんのスクイズ……)」

やはり完全に違う意味でスクイズの事を認識してしまった高橋先生と瑞希。そしてその最悪のタイミングで————

「失礼しまーす!あ、瑞希いたいた。今日の野球の授業は外でやるよー」
「失礼しますです。高橋先生、何か良くわかりませんが、サクヤさ———もとい日高先生が呼んでましたよ。保健室まで来てほしいとかなんとか」

————能天気にニコニコと笑いながら、この状況も自分たちがピンチだと言うことすらも理解していない最高の獲物(かも)がやってくる。

「「…………」」

そして高橋先生と瑞希はお互い顔を見合わせると……

「あ、明久君!スクイズしてくれませんか!?」
「つ、造くん!造くんもスクイズしてください!?」

「「…………へ?」」

「「スクイズです!スクイズをお願いします!!」」

「「???(スクイズって、お願いされるものなのかな?)」」

いきなりそんなことを言われて、造と明久は頭にクエスチョンマークを浮かべ首を傾げる。

「えっと……よくわかりませんが、つまりスクイズプレーをすればいいんですかね?」
「スクイズプレイ(=スク水プレイ)!?は、はいっ!恐らくはそれですっ!」
「んー……まあ、どの道今日は簡単に試合の流れを実際にグラウンドで教えようと思ってたし、僕らでいいならやって見せようか?雄二がピッチャーで僕が打者、造が三塁にいればギリギリできそうだし」
「本当ですかっ!?あ、ありがとうございます明久君!では————」

と、高橋先生と瑞希は嬉しそうに自分たちの鞄の中を探ると————

「「————では、早速お願いします!これに着替えてくださいっ!さあ!」」

「「…………ゑ?」」












————その日、涙目になりながらも必死で逃げる造と明久の後ろを、スクール水着(女子用)を片手に全力疾走で追いかける高橋先生と瑞希の姿が見られたとか。

「「二人とも待ってください!スクイズをしてください!」」

「瑞希、違うっ!多分君の思っているスクイズは色んな意味で違うんだよ!?説明を聞いてくれないかなぁっ!?」
「た、高橋先生も落ち着いてくださいっ!?貴女はとんでもない勘違いしているんです!とにかくちゃんと説明するので、お願いですから冷静になってくださいっ!?」

「「でしたら、その説明!是非こちらに着替えてからお願いしますっ!」」

「「そんなこと出来るかぁ!?」」

それにしても。どうしてピンポイントに高橋先生&瑞希はスク水なんか持っていたか……それはこの二人にしかわからない永遠の謎だろう。

「「いや!?というか、野球のルールの勉強はどこ行ったの(ですか)!?」」

「「これも立派な野球のルールの勉強ですっ!!」」