二次創作小説(紙ほか)

118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.80 )
日時: 2015/08/23 21:20
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

明久Side


僕たちFクラス対鉄人たち教師の因縁の召喚野球大会決勝。一回の表は大波乱だったけど、今度は僕たちの攻撃の番だ。見てろよ……絶対に一泡吹かせてやる!

「んじゃ、行ってくる。一発でかいの打ってきてやる」
「頼んだよ、近藤君!」

こっちのトップバッターの近藤君が、張り切って打席に立つ。向こうは科目が化学なだけに、ピッチャーは化学の担当教師の布施先生。キャッチャーは鉄人と言う組み合わせだ。あ、ちなみに一回表で様々な意味で活躍(?)した高橋先生の守備位置はライト。あの点数じゃ流石にピッチャーは任せられなかったんだろうね。高橋先生と瑞希の存在が重なるのは気のせいではないだろう。

「高橋先生のいるライトに飛ばせれば、勝機があるかもしれないね」
《そうですね、まあただ、ライトに飛ばすだけの余裕は残念ながら今はなさそうですけど。超え難き点数差をどう攻略するか……ここはまだチャンスを待つしかないですかね。ねえ、ゆーさん》

そんな中霧島さんとの一件以来物凄く機嫌の悪い雄二をフォローするように造が話しかける。相変わらず造は気が回るなぁ〜……まあ、その本人はと言うと———

「ああ、そうかもな」

———ぶっきらぼうにそんな返事をするだけ。コイツ……全然機嫌直ってないな。全く、らしくないと言うか何と言うか……

「(ホント、この試合どうなるんだろうね?)」

雄二があんな感じだし、とりあえず皆に小声で相談する。下手に雄二を刺激したくないからね。

《(うーん……一応ゆーさんの『ストライクっ!』作戦では、終盤が『ストライク、ツー!』先生方に勝つ、唯一の鍵だって『ストライク!バッターアウト!』言ってましたよね?)》
「(…………序盤は点を取られないように『ストライク!』だけ、気を付けて『ストライク、ツー!』いればいいらしい)」
「(それにしても『ストライク!バッターアウト!』坂本があんな感じで『ストライク!』本当に何とかなるの?)」
「(私たちだけじゃ、先生方に勝つ方法なんて『ストライク、ツー!』わかりませんよね……)」
「(まあ、ここは一先ず皆で応援を『ストライク!バッターアウト!チェンジ!』———する前に、さあ守備だ。皆頑張ろう)」

「「「「(おー…………)」」」」

近藤君・横溝君・秀吉の全員が三球三振に倒れる。向こうに比べると戦力的にこっちの方が圧倒的に不利だってことくらい最初からわかっていたけど、なんて僕らの攻撃は短いんだろうか。

気を取り直して再び守備につく僕ら。科目は世界史ってことで、ピッチャーはまた僕がやる事になった。まあ、召喚大会や瑞希たちとの勉強会以来世界史と日本史は僕の得意教科だからね。ここは活躍できそうな場面だし、目的の一つであった教師共の鼻を明かすチャンスでもある。きっちり決めてやろうじゃないか。

「さぁ来いっ!今度はさっきまでのようにはいかないはずだっ!」

マウンドの上でバッターを待つ。さあ、次は誰だっ!どう料理して————

「ほう?随分威勢が良いな吉井」

————ヤバイ、コレどう考えても僕が料理される。いきなり鉄人とか、もう意欲が削がれまくりだよ……い、いや!鉄人は僕らFクラスの担任なんかしているわけだし、怖いところと言えばあの無尽蔵の体力と無敵の身体能力だけのはずだ!頭はそこまで良くないと


≪補習教師 西村宗一 世界史 741点≫
         VS
≪Fクラス 吉井明久 世界史 174点≫


《敬遠するぞ》
《OK雄二》

118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.81 )
日時: 2015/08/23 22:25
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

目を見るまでもなく雄二の考えが伝わってきた。あの化け物相手に真っ向から勝負なんて正気の沙汰じゃない。全くもって意味が分からないけど、この鉄人あれだけ武闘派なのにどうやら頭も良いらしい。ここは悔しいけれど大人しく塁に出すほかないだろう。

「……あれ?」

と、雄二はキャッチャーミットをストライクゾーンの外に構える。……え、嘘立ち上がらないの?ああ、もしかして雄二の事だし、敬遠すると見せかけて三振狙いとかか……?いくらなんでも立ち上がるのが面倒だったってことは……流石にないと思うし。

多少疑問に思いつつも、一先ず雄二の指示通りにボールを投げることに。

『ボール!』

一球目は鉄人は眉を顰めながらも見逃す。何かえらく不服そうな顔で雄二と僕を眺める鉄人。雄二も雄二だけど鉄人も鉄人で一体どうしたんだろ?敬遠されるってことが腹立たしいのかな?

『……これは、まさか坂本の指示か?』
『そうだが、何か?』
『……そうか』

何だか不機嫌そうに低い声で雄二にそんな事を言う鉄人。鉄人もしかして正々堂々やれって言いたいの?まさか敬遠が汚いなんて言うつもりなんだろうか?いやでも敬遠だって立派な作戦の一つなのになぁ……

『やれやれ……お前たちは勉強が苦手でも、こういったことはわかっているものだと思っていたんだがな……まだまだ教育が必要だということか』
『? 何を言ってるんだ?敬遠くらい、勝負の世界では常識だろう。この程度のことで文句を言うとは———』
『いいや。そういうことを言っているんじゃない……いいか、坂本。教師として一つ言っておく』

何だかよくわからないけど、とりあえず雄二の指示通りボールを投げる。会話の途中だったみたいだけど、どうせ敬遠なら別に———

『———何事も、やるならば徹底的にやれ!』


ガギン!


「「なっ!?」」

物凄く豪快な音が響き、ミットに向かっていたはずのボールがかき消えた!?ば、バカなっ!?ひょっとしてこれ敬遠球を打たれたの!?

慌てて後ろを振り返るも、ボールはどこにも見えない……フィールドにないってことは……くそっ!ホームランか!?

『……ふっ、月野に救われたな』

と、そう言って鉄人はニッと笑うと、何故か一塁には行かずに再びバッターボックスに戻る。あ、あれ?どうして……?

『ファール!』

「「……え?」」

鉄人がバッターボックスに戻ると同時に審判がファールと宣言する。ど、どう言うこと?ファールって……今の軌道なら、明らかにホームランじゃ?それに鉄人が言っている“月野に救われたな”って一体……?

『た、タイムじゃ!造、しっかりするのじゃ!?』

と、突然に秀吉がタイムを取る。秀吉の声のした方向を見ると……

《た、たはは……流石西村せんせですね……点数約半分……使っても……ボールの軌道を変えるだけで、精一杯……でしたよ》


≪Fクラス 月野造 世界史 451点 →Fクラス 月野造 世界史 203点≫


造が息を切らしてかなり辛そうにしている姿があった。点数もごっそりと削られているところを見ると……ま、まさかアレを止めようとしたの!?僕も、そして雄二も慌てて造の元に駆け寄る。

「つ、造ゴメン……まさか打たれるなんて……」
《あはは……大丈夫ですよ。それにしても警戒してて正解でしたね。さすが西村せんせです……》

造は打たれた事を気にしていないように僕に笑顔で答えてくれる。相変わらず何て無茶するんだ!?僕と造にとって、召喚獣の点数は言わば体力ゲージに相当する。一応フィードバックが全部返ってくるわけじゃないけど、それでも当然点数が半分になれば体力も半分になるって事とほぼ同義なのに……

118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.82 )
日時: 2015/08/23 21:38
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

「悪い……甘かった……」
「そうじゃ雄二よ!あの例の腕輪で造の点を戻せぬか?どの道半分も削れておるのじゃ。今点を回復させておけば次の造の打席で戦えるじゃろ」

あっ、そうか!雄二にはあの点数回復の黒金の腕輪があるんだったね。それなら造の点も回復するだろうし、体力だって回復するはず。雄二も秀吉の提案に慌てて懐から腕輪を取り出し始める。

「そ、そうだな……なら待ってろ、今すぐ腕輪の能力を《ゆーさん、腕輪使うのは無理ですよね?》———は?」

と、造は腕輪を出している雄二にやんわりと首を横に振る。使うのは無理?造は何が言いたいのだろうか。回復すれば辛くないだろうに?

《ねえ、ゆーさん……その腕輪を使用する際の条件、覚えていらっしゃいますか?》
「は?いや、それは……お前や明久の腕輪のようにキーワードを言うことだろ?俺の場合は『再設定(リセット)』って言わないと———」
《……違います。ゆーさんの腕輪を使用するにはもう一つ条件がいるハズだったでしょう?ご自身で言ってたじゃないですか“面倒な腕輪だ”ってね。ある条件、つまり———“あらかじめ張られているフィールドに『設定(セット)』のキーワードを唱えてその腕輪に場の状況を覚え込ませる事”が条件だったでしょう?》
「っ!?」

……そ、そう言えば造と雄二がEクラス戦の時に雄二の腕輪の説明でそんなことを言ってたよね。ま、まさかだけど雄二……お前っ!?

《ゆーさんこの回、『設定(セット)』を使ってないでしょ》
「…………すまん」

やっぱりそうか……そんな単純なミスするなんて、いつもの雄二では考えられない。そもそも腕輪を使って出し抜くって作戦は、雄二が何よりも誰よりも得意としていたのに腕輪の存在すら忘れているなんてらしくないにも程がある。さっきの鉄人の件と言い、初回の高橋先生のプッシュバントの件と言い、悪知恵だけがウリの雄二がこんな調子じゃ……

《自分の事はどうでもいいですが……とりあえずちゃんと立って、西村せんせは歩かせる事にしましょう。ゆーさん。ご自身が一番わかっていらっしゃると思いますが———ここは気持ちを切り替えてくださいね》
「…………ああ、すまなかった」

そう言うと、雄二は踵を返しキャッチャーボックスに戻って行った。

「「《…………ハァ》」」

残った僕と秀吉と造は顔を見合わせて、同時に溜息を吐く。ダメだ……あんな状態の雄二に試合なんて任せてたら、とてもじゃないけど先生たちに勝つなんて夢のまた夢だ。

《……とりあえず、今は“あのゆーさん”に任せて、どうしようもなければ自分がキャッチャーになります。アキさん。それまでは大変かもしれませんが、どうかゆーさんをお願いします》
「……そうじゃの。本人も本調子ではないことくらいわかっておるようじゃが、このままではコールド負けも考えられるぞい」
「……あのバカ……まあ、霧島さんの事で悩むのはわかるけど、それとこれとは別なのに……」

……とりあえず鉄人は歩かせて次から勝負をする事に。諦める気はさらさら無いけど、雄二があのまま腑抜けているようなら……この勝負、絶対に勝てないと僕らは心の中でそう考えていた。


〜試合再開〜


現在得点は【2 — 0】しかもツーアウト満塁のピンチ。あの後、一応鉄人を歩かせたんだけど……鉄人ほどではなくてももう一人の超人:大島先生がホームランを放ちこんな結果になっている。大島先生は保険体育の教師だし野球もお手のものだってこと、それに僕の球が打たれやすいってこともあるだろうけど、それよりも最大の原因は雄二の指示がかなり雑になってきたところを狙われたからだって感じがする。正直2点も入れられたのは痛すぎる……これ以上点が離されたら、本気で追いつけないね。

迎える打者は一巡して、再び一番の布施先生。ちぃ……そろそろこの野球に慣れてきている頃だろうし、一回のような先生のミスを待つなんて無駄だろう。困ったね、この流れはどう考えても教師たちに分がある……と、どうやって勝負するか悩んでいると、僕の視界の隅で秀吉が手を上げて何かを訴えてくる。ん?どしたんだろ?

《明久よ。牽制球を頼む》

そうアイコンタクトを送る秀吉。……ふむ?もしかしてちょっと落ち着けってことかな?この嫌な流れを払拭すべく、一先ず秀吉の言う通り一塁に向かってボールを投げる。


パシン!


軽く投げられたボールは、秀吉の召喚獣のグローブに収まったけど……勿論ランナーはアウトになるわけもなく、悠々と塁上に立っている。まあ、多少これで落ち着けたかな?と、秀吉にボールを戻して貰おうと手を上げると、

『……むぅ。タイムじゃ』

何やら心配そうに顔を歪ませてタイムを宣言する秀吉。あれ?何か僕の投球で悪いところでもあったのだろうか?そのまま秀吉と秀吉の召喚獣は僕のところにやってくる。

「?どしたの秀吉?」
「……いやなに。ちょっと仕掛けをじゃな。造!すまぬが来てくれぬか?」

秀吉は僕のところに来ると、ついでに造も呼びだした。んー……ひょっとして雄二の件で何か相談したいのかな?造もトコトコやって来たけど……

118時間目 不調の雄二と波乱の決勝〜隠し玉にご用心〜 ( No.83 )
日時: 2015/08/23 22:04
名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)

《ふふっ♪……ヒデさん、“アレ”やりますか?》
「うむ、ワシらも活躍せねばな」

???何だか秀吉と造、先に二人で会話してるみたいだけど……“アレ”って?出来れば僕にも教えて欲しいんだけどな?

「えっと……二人とも?」
「おお、すまん明久。実はの———」
《ふふっ♪自分たち実は———》

と、二人は僕に近づき、耳打ちするように小声で囁く。あ、ちなみに言うまでもないけど造が召喚獣になっているから秀吉が造を持ち上げて二人で耳打ちすると言う、中々シュールな絵になっている。

「えっと、実は何かな?」

「《実は、自分たち(ワシら)この試合が終わったら……お風呂に入りたいんです(入りたいのじゃ)》」

「—————はぁ!?」

ちょ!?ななな、何を言っているんだこの二人は!?この状況で僕を惑わせてどうしようって言うんだ!?女の子二人がお風呂に入りたいって……こう言う時、どう反応すればいいのさ!?

「それだけじゃ。邪魔したの。造、後はタイミングを」
《はいです♪任せてください、ではアキさん失礼しますね》

二人とも、何か企んでいるように小悪魔的な笑みを残してお互いの守備位置に戻る。その一方で、僕はまだ混乱の極みになっていた。ど、どう反応すればいいのだろうか?お風呂?何?ひょっとして『だからお風呂を沸かして欲しい』って言う事なのかな?それともやっぱりそのままの意味で『お風呂に一緒に入って』ってこと……?あまつさえその背中を流したりその他諸々の———ど、どうしよう?ここは瑞希と美波に頼んで造たちをお風呂に入れてもらうしか……いや、そんなこと二人には頼めないだろうし、姉さんにでも頼むか?いやいや、それだと不純異性行為がどうのこうのと————

『プレイッ!…………あれ?あのー、吉井君?聞こえていますかー?』

「ふえっ!?あ、はいっ!聞こえます!」

未だに混乱している僕に構わず、審判の先生が試合再開を高らかに宣言する。し、仕方ない……二人の言った意味はわからないけど、ここはちゃんと抑えてから後で二人を説得するとしよう。年頃の女の子がそう言うことを男の子に言っちゃいけませんって!

そう気を取り直して投球を始めようとすると……

「ってあれ?ボールが……ない?」

どう言うわけか、僕の召喚獣はボールを持っていなかった。あれ?さっき確か秀吉の召喚獣がボールを持ってきたと思ったんだけど……あ、もしかして貰ってなかったのかな?そう思って秀吉の方を見るけど……んん?秀吉の召喚獣もボールを持ってない?どう言うこと?じゃあボールはどこに……?ボールの行方を捜そうとあたりを見回すと、

《船越せーんせい♪》
『はい!何でしょうか造くん♪』


ポスッ!


《ふふっ♪ごめんなさい、タッチアウトです》
『……あら?』

……何故か二塁の方向でそんな声が。造?え?タッチアウトって……?僕の手元にも、そして秀吉の手元にもボールが無く代わりに———造のグローブの中にボールが握られていた。そしてそのまま造は二塁にいた船越先生にグローブを当ててニッコリ笑っているけど———これってまさか、隠し球!?いつの間に……!?

『ランナーアウト、チェンジ!』

審判が攻守交代を告げる。う、嘘!?本当にこのピンチを切り抜けられたの!?

「造ちゃん、木下!ナイス!」
「隠し玉なんて、味な真似しやがって!流石だぜ!」
「…………グッジョブ」

僕らのベンチの中で、皆が秀吉と造を誉め称える。ホント助かったよ!もう一点は覚悟してたし。

「これでワシも少しは役に立てたかの。造、ナイスプレーじゃ!」
《ヒデさんもナイスです!何か合図してましたから、何かあるだろうと思いましたが隠し球とは……しかも一度ヒデさんがボールを持つことで、アキさん側や一塁側に注目させて油断を誘うなんて恐れ入りましたよ》

と、二人はお互いにハイタッチしながら喜んでいる。ああ、なるほど。さっきのはその為のタイムだったんだね。……ってことは、

「何だ、さっきの造と秀吉が言った『お風呂に入りたい』ってのはジョークか何かだったんだね?もう、ビックリさせないでよ〜思わず『一緒にお風呂に入りたい』的な話かと思って本気で混乱しちゃってさー」
「うむ。お主が混乱するのを逆手に取ったワシの———“一緒に風呂”じゃと?」
《ふふっ♪それこそヒデさんの作戦なんですよ———“一緒にお風呂”ですと?》

そうか、ビックリさせること自体が二人の作戦ってわけだったのか。敢えて僕に動揺させることで、先生たちに僕らが焦っているってことを印象付けて油断させると同時に、混乱して何か変な動きをしている僕に先生たちの意識を集中させてこんなトリックプレーをやったってことか。だから『お風呂に入りたい』なんてとんでもない事を言ったんだね。なるほど、流石は演劇部の秀吉と小さな策士の造だ。そういう演技はお手の物か。

《……い、いや待ってアキさん!そうです、お風呂自体は勿論入りたいです!そう、“皆さんと”一緒にね!ねえ、ヒデさん!》
「そ、そうじゃな!風呂じゃ!のう明久たちよ、この試合が終わったら是非ワシらと共に男湯へ———」


ガシッ!×2


「あらあら、ダメじゃない木下に月野。知らないの?お風呂は性別ごとに別れて入るものなのよ(させないわよ木下、月野!アキと一緒にお風呂なんて、ウチらもまだやってないのにっ!)」
「そうですよ木下君、月野君。もしお友達と一緒にと言うのなら、お風呂は後で私たちとゆっくり入りましょうね(美波ちゃんの言う通りですっ!明久君とお風呂に入るのは、私たちですらまだやってないんですよ!?)」

と、また何か言いたそうな造たちに、美波と瑞希が優しくそんな提案をしてくる。お風呂?……ああなるほど、今のトリックプレーの頑張りのご褒美にお風呂に入りたがっていた二人と一緒にお風呂に入ろうってことなんだろうね。

《んなっ!?ちょっと!?それは色々とマズイでしょう島田さんに姫路さんっ!?ですから自分らは男ですってば!?それに先に言っておきますが別にアキさんを誘惑とかそう言うことしようとしてるんじゃなくて、これを機にアキさんに自分たちが男であると言う証明をですね!?》
「そ、そうじゃぞ、島田に姫路!?落ち着くのじゃ!と言うかじゃな、お主らついにワシらと風呂に入るということにすら違和感を覚えなくなっておるのか!?それは女学生としてはアウトではないのか!?」

「「はいはい、わかったから後で二人は女子風呂に入りましょうねー」」

「《何もわかっていませんよね(おらぬじゃろ)!?》」

瑞希と美波は何かよくわからないことを叫んでいる造と秀吉の腕を抱えて、とてもにこやかに微笑みながら二人をベンチに連れていく。うんうん♪やっぱり女の子同士仲が良いのは絵になるなぁ〜

さてさて、造や秀吉のお陰でピンチは脱した。それじゃあ……盗られたものは物は取り返そうか。それは僕らの写真もエロ本も私物も————そしてこの回奪われた点もね。

「さぁ皆、今度はこっちの攻撃だよ!そろそろ流れを引き込もう!」

「「「おうっ!」」」