二次創作小説(紙ほか)
- 121時間目 雄二復活作戦始動〜これが勝利の方程式〜 ( No.98 )
- 日時: 2015/08/30 21:18
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
造Side
四回表を見事に抑えたゆーさん&アキさん。どうやら完全にエンジンが入ったゆーさんは皆さんを集めて円陣を組みます。
「おっしゃテメエらッ!こっちの攻撃はあと二回!きっちり点数もぎ取って、俺らのお宝を取り返すぞ!いいなっ!」
「「「おうっ!」」」
「向こうにゃ点では負けてるが、運動能力じゃ俺らは決して負けてねぇ!若さってもんを見せてやれっ!」
「「「おうっ!」」」
「今の今まで色々不甲斐ねぇとこ見せちまったが、こっから先は俺も全力を出すっ!だから……お前らも協力してくれっ!没収された、“大事な物”を取り戻す為に!合言葉は——」
「「Get back ERO−BOOK!!!」」」
「反撃、行くぞお前ら!」
「「「っしゃあああああああああああ!!!!」」」
ゆーさんの鼓舞にも、否が応にも力が入ります。良かった……いつものゆーさんに戻りましたね。いいえ、これはそれ以上ですか。それにしても『没収された、“大事な物”を取り戻す為』と来ましたか。やれやれ困りましたね。そんなこと言われたら……自分も全力で応えるしかないじゃないですか。
「近藤、横溝、秀吉!作戦だ。いいか?どうせこのまま、まともに向こうとやりあったところで勝ち目はねぇ。例え偶然フォアボールやポテンヒットが出ても、そこから点に繋げるようなことはまず今の俺らじゃ無理だ」
この回の最初の打者である三人にゆーさんが作戦を指示します。確かにゆーさんの言ったように、守備では対抗出来ても攻撃に関してはまだまだ対応できそうにありません。ですから————
「だから、その後の“例の作戦”に全てを賭ける。その為にもお前らは、なんとか時間を稼いでくれ」
「うむ。了解じゃ」
「エロほ———参考書の為だ。時間稼ぎくらいいくらでもやってやるさ」
「その代わり、次の回はしくじんなよ坂本」
三人は首を縦に振り、快く作戦を承諾して下さりました。本来ここは折角活躍できるチャンスですが、時間稼ぎを引き受けてくれるあたり皆さんの結束の堅さが窺えますね。
『エロ本、エロ本、エロ本……』
『抱き枕、水着写真、シャワーカーテン……』
…………結束……ですよね?近藤くんと横溝くんがそうブツブツと呟いて気合いを入れます。いや、これも自由奔放なFクラスらしい結束という事なんでしょう。……多分ですが。
「……ワシ、別にそういう物の為に頑張っておるわけではないのじゃがのう。微妙に気が抜けるのう……」
《あはは……まあ、気合の入れ方や結束の仕方は人それぞれなので。ともかく……ヒデさん、頼みました》
「うむ、わかっておる。雄二と霧島があんなことになったのじゃ……負けられんからの」
ヒデさんとお互いの拳をコツンと当てて、自分たちは自分たちなりのやり方で気合を入れます。ヒデさん……頼みます。ご自身の為にもクラスの為にも———そして大事な仲間のゆーさん、霧島さんの為にも。
『プレイッ!』
バッターボックスに入るまでの時間を反則にならないギリギリまで引き延ばし、一番打者の近藤くんが召喚獣に構えを取れせます。バットを短く持ち、カットさせて時間を延ばすつもりみたいですね。そう……アレが来るまでは。
と、さっきまで慌ただしく皆さんに指示を飛ばしてきたゆーさんが、一息ついてベンチに座ります。前の回までのゆーさんとは別人の如く、活き活きとしている良い表情を見せてくれます。
《ゆーさんお疲れ様。タオルどうぞです。濡れたままじゃ風邪ひきますし。……それと改めて。ゴメンなさい、突然あんなことをして》
そんなゆーさんにタオルを渡しながら頭を下げることに。何せ、熱くなったゆーさんにバケツの水をかけると言う、とんでもないことをしちゃいましたからね……人の事言えないってこの事ですね。小暮さんと文さんから事情を聞いて居ても立っても居られなくなりあんなことを———ゆーさんだけじゃなくて自分もちょっと熱くなっていましたものね。
- 121時間目 雄二復活作戦始動〜これが勝利の方程式〜 ( No.99 )
- 日時: 2015/08/30 21:20
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「おお、すまんな使わせてもらうぞ。……それと、造は謝る必要なんかないさ。お陰で“目が覚めた”からな。寧ろ俺の方が正直本当に何て礼を言えば良いかわからん。助かったぞ造」
《いえいえ。それとその台詞はこの試合を勝ってから言ってください。っと言っても自分にではなくこの情報をくれた方に、ですが。さて……ゆーさん、勝ちましょうね》
「そうだな……絶対に勝たんとな……」
と、そう言いながら髪を拭きつつ、ゆーさんは目をギラギラ光らせます。その目だけで絶対に勝つという強い意思が伝わってきますね。
「まあ、こうなった以上は雄二は死んでも勝たなきゃいけないからね。それで雄二。肝心の仕込みはどう?上手くいってるの?」
「ふっ……おうよ、バッチリだ。クラスの連中にもきちんと指示は出してある」
「…………あとは、時機がくるのを待つだけか」
《その為にも……あの三人には頑張って頂かないと、ですね》
「ああ」
アキさんとこーさんも加わって、祈るように試合を見守ります。相手は召喚獣の扱いにも慣れた先生方。時間稼ぎすら許してくれないでしょうし……
『ストライッ!バッターアウト!』
『ぐ……!』
気が付けば近藤くんが粘りに粘ってくれましたが敢え無く三振。次のバッターである横溝くんもカウントをフルに使ってくれましたが打ち捕られてしまい、残るはヒデさんただ一人となってしまいました。
《くっ……まだ、来ませんね……》
「そろそろ、来てもいいと思うんだけど……」
「…………時間的には本当にもうすぐなハズ」
「そうだ……あと少しで始まる。それまではどうか頑張ってくれ秀吉……!」
『ファール!』
話している間も試合は続いていきます。ヒデさんはバットをコンパクトに振るよう召喚獣に指示し、必死で教師チームの豪速球に食らいついています。頑張ってヒデさん……!
『ファール!』
《……ヒデさん辛そうですね……》
「だな……くそっ。向こうもフォアボールくらい出してくれたらいいものを」
「相当慎重に投げてるよね。先生の性格かな」
ピッチャーは几帳面な英語W担当の山田先生ですからね。かなりコントロールがいい所を見ると、フォアボールは期待できません。おまけに打ったところで、ショートとセカンドは野球経験者且つ、運動神経の良い寺井先生と大島先生が守っているので抜けることはまずないでしょう。
『ファール!』
「まだか……まだか……」
「頼む秀吉……もう少しなんだ……!」
《頑張れヒデさん……頑張れ……!》
そろそろヒデさんの集中力も限界のハズ……見ているこっちにも背中に冷たい汗が流れます。きっとあと少し、あと少しなんです……どうかヒデさんそれまでは頑張ってっ!全員手に汗を握り、ベンチに乗り出してその瞬間を心から待っていると————
「…………来た」
「「《っ!》」」
不意にこーさんが呟き、全員は弾かれたように振り返って校舎に取り付けてあるスピーカーを見ます。
『——ジジ……ジ……!』
「来たかっ!」
ゆーさんが嬉しげに声を上げます。そして次の瞬間、
『——これより、中央グラウンドにて、借り物競争が始まります。出場選手の皆さんは、所定の場所に——』
「「「《来たああああああああああああああああああ!!!!》」」」
これです!これを待っていました!この放送にクラスの全員が声が重なりました。と、同時にヒデさんが打ち上げてアウトになりチェンジとなります。なりますが————
- 121時間目 雄二復活作戦始動〜これが勝利の方程式〜 ( No.100 )
- 日時: 2015/08/30 21:24
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
「やれやれ……どうやらうまくいったようじゃの……」
「ああ!本当によくやってくれた秀吉!近藤!横溝!」
《ヒデさん!それに近藤くんに横溝くん、お疲れ様です!そしてぐっじょぶです!》
「まあ、これでワシも少しは役に立てたじゃろうか?」
《当ったり前ですよ!ヒデさん、本当にありがとうです!》
そう言ってヒデさんとハイタッチ。ええ、勿論ですとも!ヒデさんたちもこの試合のヒーローです!本当によくやってくれました!
「……お前ら、何をそんなに喜んでいるのかわからんが、とりあえずさっさと守備につけ。チェンジだろう?それともまた何か企んでいるのか?」
と、ここで訝しげに自分たちがはしゃいでいるのを横目で見つつ、西村先生が準備を促します。……先に謝ります。ごめんなさい西村先生。ちょっと卑怯な手かもしれませんが、今回は絶対に勝たなきゃいけないんです……
「わかってます。けど、ちょっと待って下さい」
「?何を待てと?」
「今にわかりますよ。そろそろ————来たっ!」
と、アキさんが嬉しそうに遠くを見つめます。その視線の先には……自分たちFクラスのクラスメイト3人が駆けてくる姿が見えます。
「なんだアイツらは。あんなに急いで……」
そんな姿を見て西村先生は疑問符を浮かべています。そんな中、クラスメイトの一人が野球場にいる次の科目の立会い予定の遠藤先生に大声で叫びます。
『遠藤先生!借り物競争です!すいませんが一緒に来てくださいっ!』
『えっ?でも私、今からここでリーディングの立ち会いを』
『いいから来て下さい!』
『で、でも私は———』
『なんと言おうとダメですよ!“今日は、野球よりも体育祭が優先される”んですから!』
『『『———っ!?』』』
先生方が目を見張ったのがよくわかります。そう、ルールで事前に決めてありました。“野球はあくまで交流が目的。優先されるのは体育祭の本種目”と。
『あ、えっと……すいませんっ。そういうわけで、ちょっと行っていますっ!』
『先生、急いで!』
『わ、わかりました。……その、ちなみにどんな内容の借り物競走ですか?』
『“月野造が大好きな先生”って内容ですよ。流石に試合に出ている高橋先生と船越先生や養護担当の日高先生は呼べないので、先生どうかお願いします!』
『!な、なるほど!それは私が行かなきゃいけませんね!さぁ、すぐに行きましょうね♪』
『(ふっ、ちょろいぜ……)』
立ち会いの遠藤先生が手を引かれて、グラウンドから去っていきます。
「それなら仕方がない。ベンチで待機している先生の科目で代わりを———」
『向井先生!来てください!』
『竹中先生、お願いします!』
ところがどっこい、残りのクラスメイトの二人が今度はベンチの二人の先生に声をかけます。これで立ち会いが行える先生がいらっしゃらなくなりましたね。
「……坂本。これは貴様の作戦か」
「さて。どうでしょうね?」
「とぼけるな。さっきからここに来ている生徒は全員Fクラスの人間だろうが」
「はは。偶然じゃないですか?何にしても———これで立ち会いの先生はいなくなったな、鉄人」
……まあ、勿論ですが偶然なんかではありません。ネタ晴らしすると非常に簡単。教師のオーダーが決まった時点で、ゆーさんはクラスメイトの皆さんに頼んで先生方を借り出して貰うよう連絡している、ただそれだけのこと。
「ならば仕方ない。さっきの回の立ち会いの先生にまた頼んで」
「おっと。それはルール違反だ。事前に決めただろう?『同じ科目は二度使わない』と」
「……ならばどうしろと言うんだ。立ち会いの教師は他にいない。試合に参加している教師は立ち会いができない。こっちのチームに八人でやれとでも言うのか?」
西村先生は自分たちを交互に睨みます。いや、ホントすみません先生。
「いやいや鉄じ———西村先生。まだ他に勝負できる科目があるでしょう?」
「何を言っている吉井。立ち会いの教師がいなければ……」
《あー……せんせ。野球の勝負が出来るものが一つありますよね?立ち会いの先生がいなくて、且つ召喚獣を使わない。それでいて“立派な授業科目”で“野球の”勝負が》
「……おい、まさか月野それは……」
そう、これこそゆーさんが召喚野球大会開催の時から考え出していた一つの解法。体育祭のプログラムとルールを使い自分たちに勝利をもたらす方程式。それは———
「五回の勝負は、体育の——実技で勝負といきましょう」
そう、実際に自分たちの身体を使う———つまり実技:体育の科目が残っています。これも立派な授業科目。西村先生はしてやられたと言う顔をしていますね。
「さあ全員、グローブをつけろ!五回の勝負はハードだぞ!」
「「「っしゃああああああああああああ!締まっていくぞ!」」
野球部から借りていたグローブを握りしめ、こうして迎える最終回。たった一回だけの教師と生徒による野球大会が幕を開けます。
- 121時間目 雄二復活作戦始動〜これが勝利の方程式〜 ( No.101 )
- 日時: 2015/08/30 21:30
- 名前: 糖分摂取魔 ◆YpycdMy5QU (ID: Thm8JZxN)
明久Side
最終回は、本当の野球の勝負。まあ、今の今までがあの妖怪ババァのわがままで、こっちが本来の体育祭のプログラムだったんだけどね。ピッチャーは再び僕、そしてキャッチャーは雄二に戻る。相手は二巡目の、7番バッターの長谷川先生の登場だ。
《外角 高め カーブ》
雄二に指示されたコース通りに投げる。まあ、ぶっちゃけて言うと草野球レベルのピッチングだけど———
ズバンッ!
「う……」
『ストライクっ!』
————悪いけど、運動不足な先生に打たれるほどへなちょこじゃないよ。その後も変化球や緩急つけたボールを駆使し、長谷川先生を追い詰める。
『ストライクっ!バッターアウトっ!』
これで一人目。次は氏家先生で、その次は山田先生か。———さっきまでは恐ろしい化け物のように見えたのに、今は何の恐怖も感じない。流石に鉄人や大島先生みたいな実技もリアルでヤバイ化け物共とはやり合いたくはないけど、それ以外の先生に打たれる気は全くしないね。その後も雄二の指示通り意地の悪い投球を繰り出して、そして……
『ストライクっ!バッターアウトっ!チェンジ!』
審判の攻守交替のコールが鳴り響く。よっし!難なく抑えられたっ!
「アキ!カッコ良かったわよ!ナイスピッチ!」
「明久君素敵です!三人もアウトにするなんて!」
「あはは、ありがと二人とも。まあ、鉄じ———西村先生とか大島先生じゃ無かったからね。何とか抑えられたよ」
自陣に戻りつつ、僕に駆け寄って褒めてくれた美波と瑞希に話をする。いや、何度も言うけどホントにあの二人が相手じゃなくて良かった……恐らくだけど、召喚獣での戦い以上に脅威となってしまうだろう。
「…………本来はあの二人にも借り物競走で排除したかったが」
「あはは……人の良い遠藤先生たちならともかく、用心深い西村せんせや大島先生はきっと『怪しい、書かれた紙を見せろ』って言ってくるでしょうからね」
「そうじゃの。そうでなくともワシらは基本、あの二人に目を付けられておるしの」
と、召喚獣から元に戻った造と秀吉たちが話に加わる。……確かに造たちの言う通りだ。鉄人たちを排除することは無理だってことくらいは僕もわかる。下手に疑われたらこの作戦はお釈迦になっちゃうし、最低限の危険性は受け入れざる負えない。
そんな話をしながら、全員がベンチに戻ってくるのを待つ。そしてメンバー全員が集まった所で、雄二は僕らの顔を見回しながら話を始めた。
「さて……これで残すところ俺たちの攻撃だけとなった」
現在の状況は変わらず0対2で、雄二の言う通り今は最終回。そう、僕らに残されたたった一回の攻撃チャンスだ。
「同点じゃダメだ。追いつくだけじゃ意味は無い。ここで逆転出来なきゃ、俺らは負ける。延長戦に入れば俺らに勝ち目はねぇ」
そう……もし延長戦にでもなれば、借り物競走に連れ出された先生たちが戻ってくるだろう。そうなればまたもやテストを使った勝負に戻り、僕らが勝つ可能性は万に一つもないだろう。
「この一回が、俺たちの正念場だ!何がなんでも3点もぎ取れ!いいかっ!絶対勝つぞ!」
「「「おうっ!」」」
気合いも十分、勝つ為の糸口も見えた。後は前に進むだけだっ!そう意気込んでいると……
「それじゃ、ウチは土屋に交代してもらおうかな」
「え?」
こちらのトップバッターを務めるはずの美波が、突然そんなことを言い出した。あれ?何で……?
「どしたの美波?自信がないの?」
「そりゃまぁ、ね。いくらなんでも、ウチだって男子と同じレベルで野球なんてできないもの。体力もそうだけど、経験でも敵わないし」
「あ、そっか……確かに女の子だと、あんまり野球ってやらないもんね」
僕たちFクラス男子一同は休み時間とか、その他にも余り褒められることじゃないけどたまにつまんない授業を抜け出してまで野球をやっているわけだし、野球に触れている時間の差があるのは仕方ないだろう。
「そ。だから、土屋と交代。きっとウチよりうまくやってくれるだろうし、それに———」
「それに、どしたの美波?」
「———こういう時ってさ、男の子が頑張るからカッコ良いんじゃない」
……そう言って、美波は楽しそうに笑った。……ヤバイ、ちょっと(いや、本当は物凄く)ドキッとしてしまう。こういう時の美波はすっごく可愛い顔をする。いつもは『ウチに女の子らしいのは似合わない』ってよく言うけど、本当は誰よりも女の子らしいってことを僕は知っている。ふと、美波の笑顔を見て、そんなことを思った。
「…………行ってくる」
と、そんなことを考えている間に、美波と交代したムッツリーニがバットを担いで打席に向かう。そして審判に交代の意思を告げて、バッターボックスへ。
『プレイ!』
審判が五回裏の開始を宣言する。さあ行くぞっ!……泣いても笑っても、これが正真正銘最後のチャンス!絶対勝利を掴んで見せるっ!
『あ、そうだ造ちゃん。大丈夫なの?』
『つ、造“ちゃん”付けは止めてくださいね?で、一体何が大丈夫って意味です?君島くん』
『いや、確か造ちゃんって6番バッターだよね?島田もムッツリーニと変わったし、何なら俺も代わろうか?造ちゃんは野球を俺らより経験ないだろうしって思ってね』
『(ちゃん付けは止めてくれないんですね……)ああ、なるほどその件ですか。……うーん、多分ですけど大丈夫だと思いますよ』
『え?ホント?まあ、造ちゃんが大丈夫って言うならそれでいいけど……』
『ええ、まかせてください。何せ昔から自分、野球では———“秘密兵器”って言われてましたし』
『…………秘密兵器?』