二次創作小説(紙ほか)
- Re: 桜とハスキス ( No.2 )
- 日時: 2015/07/29 19:53
- 名前: ギューバッド (ID: bSLQhqZo)
2.夢魔学校
「いつまでも起きてないで、早く寝なさい!」
桜の母、富良野陽子の声が部屋中に響く。もうすぐ二年生になる、一年生の三学期。その頃の成績はひどく、体育以外は二重丸がついたことがなかった。桜は努力家で、クラスで一番頭のいい相原凜の五倍もの時間を勉強にささげていたが、成績はいっこうに伸びない。結局1日の勉強時間は、10時間をはるかに超えていた。
夜中は勉強してる、そんな普通の1日の夜だった。ふと、ゴミ箱の横を見てみると、一枚の小さな紙切れがあった。
『アナタヲムマガッコウニショウタイシマス。』
最初、意味が分からなかったが、とりあえず寝ることにした。目をつぶると、すぐに夢の世界に入っていった。
「ようこそ、夢魔学校入学生諸君。」
どうやらこの人が校長先生らしい。
「この学校の生徒たちには、米国の名前がつけられます。今年は実戦担当のシェイプ・ティアリー先生に名前をつけていただきます。」
すると、ティアリー先生は一歩前にでて、列の左から名前を言っていった。
「あなたは、ジョージ・ブルーム!」
盛大な拍手がわき起こる。
先生が他の皆の名前を言っている時、意識が飛びそうになった。
ついに桜の隣の男の子の番だ。
「あなたは、イーグル・ノーセス!」
拍手。その男の子は頬を赤く染めて、笑っている。いよいよ次は桜の番だ。
「あなたは…うーん。ハスキス・クローバー!」
先生、何で私の名前だけ迷うんですか?と心の中で叫びつつ、思った。隣を見てみると、その子がウィンクした。ハスキスは心が暖かくなったように感じた。
いつの間にか名前の発表が終わると、杖が渡された。杖には自分の名前がほってある。皆は、オレンジや水色などとてもシンプルな色だったが、ハスキスだけは透明それかな薄い桃色のうえに、金箔がかかっており、杖の先には水色の雪の結晶があった。さすがにみんなも驚いている。そこで、ティアリー先生が男の先生に呼ばれたようで、慌てた様子でその場をあとにした。
「どうも、お嬢様娘。」
派手な格好をしている女の子が言った。ハスキスには、それが嫌味に聞こえた。
「私はエリザベス・フラワー。名家に産まれたの。私の杖はこれよ!」
そして高々と挙げた自慢の杖を見て、ハスキスは吹き出しそうになった。なんと、その杖は、両脇に濃いピンクのフリルがついた、超ハデハデな杖だったからだ。
「何?なんか文句あるの?」
フラワーはドスの効いた声でハスキスを睨んだ。
「い、いや、なにも…」
「皆さん、早速魔法を一つ教えます。では、近くの人とペアを作ってお互いのパジャマに魔法をかけてください。呪文は『サザンカ』です。練習開始!」
いつの間にか戻ってきたティアリー先生が言った言葉でハスキスはやっと自分がパジャマ姿のことに気付いた。その時、
「すいません、クローバーさん。僕とペアを組んでくれませんか?」
さっき隣にいた男の子、イーグル・ノーセスがすまなそうにきいた。
「いいですよ。喜んで。」
他の皆に声をかけるのもなんなんで、イーグルの誘いを受けることにした。
「サザンカ!」
先にハスキスが試してみた。すると、イーグルの服が制服らしき服に変わった。
「すごい!」
イーグルが言った。
「クローバーさん、出来ているのは、どうやらあなただけのようです!」
「え?」
周りを見回してみると、出来ている人が他にだれもいない。ただ二人を除いては。
「ブルームとフラワー!」
と、叫びそうになったのをぐっとこらえた。
「次、僕の番です。サザンカ!」
ハスキスの服が制服に変わった。彼女は驚いた。
「ノーセスさんも出来ているよ!」
イーグルも驚いているみたいで、口をぽかんと開けている。
「やったじゃない!イーグルこそ、すごいよ!」
そして、ハスキスは言った。
「あと、ハスキスでいいよ!」
そして、二人は顔を見合わせてニコッと笑った。
「桜〜起きなさい!」
お母さんの声だ。夢だったんだ。枕元をみると、杖があった。まさか!とはおもったが、何度見ても同じだった。それからは、毎日、夢魔学校に行くようになった。
そんなことを思い出していると、なんだか眠くなった。そしてすぐ、桜は眠りについた。