二次創作小説(紙ほか)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜 ( No.14 )
- 日時: 2015/08/05 11:33
- 名前: cinnamon (ID: 76LSjzh0)
(今日は、甘酸っぱい苺のロールケーキにしようっと)
あかりは、ケーキ屋への道を、いつになく楽しげに歩いている。
今日は、あかりの隣に、蒼太がいるから…
(望月君がいるから、こんなに楽しいの…かな…)
蒼太とは前にもケーキ屋に行った。
あの時のあかりは気づかなかったが、蒼太は、あかりを、暗い思考から救ってくれたのだった。
(望月君は、本当に優しいなぁ)
一緒にいると、夏樹と美桜が隣にいる時のような、安心感を感じる。
そう、きっと、この想いは___
あかりはまだ、その答えに蓋をして、ケーキ屋の扉を開けた。
甘い香りに包まれた店内は、あかり達を優しく向かい入れてくれるようだった。
☆ ☆ ☆
(あー…やっぱりまたモンブランにしとけば良かったかな…)
蒼太は今、目の前のショートケーキと格闘している真っ最中だった。
ちょうど店のオススメ商品だったので、試してみたのだが、意外と大きくて蒼太は晩ご飯の分の余裕を保つのに必死なのだ。
(あかりんは、苺のロールケーキなんだな)
ふと、あかりのケーキが気になって、前の席のあかりへと視線を向ける。
あかりはその時、まさに至福の瞬間だった。
ロールケーキの頂点に立っていた苺と、対面を果たしている。
苺を豪快に一口で頬張り、顔に笑顔を浮かべてフォークを握りしめて感動しているあかりは、蒼太にとって、まさに天使だった。
(ほわぁぁ…あかりん、マジ可愛すぎるでしょ…)
アイスティーを飲んで、熱を持った顔を冷やそうとするも、全く冷えることはなく、寧ろどんどん熱くなっていくようだ。
(アイスティー、お代わりしないと落ち着かないな)
ケーキ屋に行くまでのあかりとの会話で、蒼太が慌てる事は無かった。
ただ、それでも顔の赤面注意報は消えそうにない。
「望月君、大丈夫?熱でもあるの?」
アイスティーのお代わりを、一気飲みのように飲み干す蒼太に、あかりが声をかけた。
いつの間にか、あかりのケーキはなくなっており、そろそろミルクティーのカップの底とも対面を果たしそうだ。
「う、ううん!僕は大丈夫。いやぁ、ずっと部室にいたからまだ体が暑いのかな〜」
(本当の理由なんて、死んでも言えないだろ……あかりんには悪いけど…)
あかりは、なんだか納得のいかない表情だが、この話を区切って、違う話題を口にする。
「そういえば望月君、実は、お願いっていうか、その、お知らせっていうか…」
「つまり、何か用事があるんだね」
「そう!で、その用事、なんだけど…」
蒼太は、期待と不安の目であかりを見る。
あかりはそっと目を伏せた後、満面の笑顔で、
「今度の土曜日に、みんなでテレビ局に行こ〜う大作戦!」
「…はい?」
未だ満面の笑顔を見せるあかりに対して、蒼太が発したのは、それが精一杯だった。
空は青く澄み渡り、雲一つ無い。
まるで、蒼太達の幸せを、映しているかのように___