二次創作小説(紙ほか)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【復活宣言!】 ( No.199 )
- 日時: 2016/04/10 16:01
- 名前: cinnamon (ID: VQ5Z3lvG)
*・゜゜・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゜・*
神様は、本当に私達人間を見ているのだろうか。
そもそも、神様なんているのだろうか。
どんな時も夏樹たちを支えてくれたママが、突然病気を患って。
その病はママの笑顔を、声を、そしてついには存在までもを消していった。
その時夏樹は、一生分の涙を流したと思うくらい泣き続けたのだが、夏樹の涙を生む不幸はこれを皮切りに次々と起こったのだ。
一つは、家族のように接してきた幼馴染の優との、突然の別れ。
夏樹は、いつからか分からなくなるくらい、ずっと優に片想いを続けてきた。
優はママのように突然いなくなることはきっとない。一緒の日々をこれからも変わらずに過ごしていける。そう思い込んでいた。
それなのに。
夏樹が朝起きて、いつも通りに遊ぼうと家を訪ねた時にはすでに、優の家族は姿を消していた。
理由も何も聞かされていなくて、今までのことが全部幻のような気がして。
走馬灯のように頭を駆け巡る優との思い出と、何年も好きで好きでたまらなかった想いが平行して夏樹の胸を締め付けた。
初恋は無惨に終わり、その記憶は到底受け止めきれない、黒く歪んだ形になって夏樹の胸の片隅に、今も刺さり続けている。
さらに優との別れから数年が過ぎた頃、今度はパパの存在が消えてしまった。
夏樹のことを考えて、新しい家族で、新しい記憶をつくろう、と言ってくれたパパが、誰よりもその新たな幸せを夢見ていたパパが、夏樹に笑顔を見せることも、その声を聞かせてくれることも二度と出来なくなってしまった。
優との別れ、両親の死。
夏樹はあまりにも残酷な自分の道に、いつか自分も……と不安を感じたが、そんな時はいつも、楽しかった記憶の中から、懐かしい声が聞こえてくる。
『夏樹はいつも元気で笑顔だから、どんなことがあってもきっと大丈夫だと思うけどね………いい、夏樹?どんなときも、勇気と優しさだけは持っていてね』
自分の笑顔を誰よりも見ていてくれた、信じてくれた、ママの分を生きていけるのは、自分しかいない。
この言葉を聞いた時に、夏樹の頭に浮かんだのは戦いを止める勇気と、戦いにならないようにする優しさ……などの戦争のようなもので、良い言葉だけど身近に感じることはなかった。
それが今となっては、こんなにも夏樹の心の支えになっている。
(………大丈夫、こんなにヤなことあったんだもん!今度は20倍ぐらいの良いことがあるって!)
そう自分に言い聞かせて、夏樹はこれからの不幸と向き合う覚悟を決めた………
はずだった。