二次創作小説(紙ほか)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜 ( No.37 )
- 日時: 2015/08/26 03:10
- 名前: cinnamon (ID: 76LSjzh0)
第三章
今日もまた、朝が来た。
何もかも焼き尽くしてしまうような太陽に道行く誰もが失望している中、成海聖奈は一人楽しそうに軽々と、人混みを歩いていた。
(ふふっ、楽しみだなぁ〜!まさかこんなに人が多いなんて♪)
ついに計画当日となった今日、待ち合わせ場所である桜丘高校へと向かう聖奈は、感動の溜息を漏らす。
中学時代からの友人である、早坂あかりに人を誘うようには頼んでおいたものの、人見知りな性格の彼女なら、誘える人の数もあまり期待出来ないかな、と少々不安だったのだが。
(あかりも変わったなぁ…いや、良い意味でなんだけどね)
人見知りで引っ込み思案な彼女に、こんなに知り合いが出来ていたことには、聖奈はただただ安心するし、素直に良かった、と思える。
メンバーには一部知らない人もいるが、あかりの友人なら大丈夫だと確信できる。
「あ、あかりお待たせ〜!早いね〜」
ようやく桜丘高校に着くと、そこにいたのはあかりと、見知らぬ男子一人だけだった。
「はじめまして〜えーっと…」
「あ、す、すみません!自己紹介もせずに…!僕は望月蒼太です。一部からはもちた、なんて呼ばれますけど…今日はよろしくお願いします」
「そっかぁ〜じゃあ、蒼太さん、よろしくお願いしますね♪
…で、あかりは蒼太さんと来たんだ?」
あかりが、美術部で知り合った仲間をきっかけに、映画研究部と親しくなったことは知っているが、このように…二人きりになるように親しい人がいたとは聞かされていなかった。
聖奈は興味津々、といった様子であかりに問いかける。
「うん。映画研究部のみんなを呼んでもらったのも、望月くんなんだよ〜」
「へぇ〜そうなんだ〜♪」
聖奈はあかりと蒼太を見比べながら、しきりに頷く。
蒼太は意味合いが分かったのか、顔をほんのり赤くしているが、あかりの方はまるで気付いていない。
あかりの鈍感さと、蒼太の鋭さのギャップに、聖奈は思わずくすりと微笑した。
「どうしたの?」
「あ、ううん、なんでもないよ〜いやぁ、あかりと蒼太さんのおかげで楽しくなるな〜ってね♪」
「うん!精一杯楽しもうね♪」
何も知らない美少女はきらきらと笑い、全てを知ってしまった少年はますます顔を赤らめる。
聖奈は、心の中で蒼太に謝りながら、話題を変えることにする。
「そういえば、他のメンバーはどんな人なのかな?」
「映画研究部メンバーは部長の瀬戸口優、芹沢春樹、僕の三人です。あと、男子メンバーは他にも、園芸部の綾瀬恋雪くんと、転校して来た濱中翠くん、サッカー部で一年生の榎本虎太郎くんがいますよ」
「へぇ〜!そうなんですね!」
蒼太のテキパキとした説明で、大体の人物は聖奈にも理解出来た。
ただ、『濱中翠』の名前になると、どうしても聖奈の鼓動が跳ねる。
そんな事は気にも留めずにその後の説明を、あかりが引き継ぐ。
「女子メンバーは、大きいお団子頭が可愛くて元気な榎本夏樹ちゃんと、猫っ毛がふわふわで可愛い、大人しめの合田美桜ちゃん、あとは私と、陸上部で瀬戸口くんの妹の雛ちゃんだよ〜」
「そっか〜あ、じゃあ、さっきの虎太郎くんは…」
「はい。夏樹の弟なんです。榎本家と瀬戸口家は家もかなり近いので、一緒に来るって言ってましたよ」
二人の説明を聴き終え、納得の面持ちの聖奈の前に、三人の高校生が現れる。
「よぉ、もちたーって早いなー」
「まぁね。っていうか春樹、その人が…」
蒼太が見慣れない男子が一人、春樹の横に並んでいる。
そう、彼が__
「おぉ、君が望月蒼太くんか!俺は濱中翠や、前が関西やし、関西弁抜けへんけどよろしくな!」
「はい!よろしくお願いします。僕のことは気軽に、何とでも呼んで下さいね」
「んじゃー俺ももちたでいくわ、よろしくなもちたー」
「おっ、またもちた仲間が増えた」
「春樹〜やめてよね、その呼び方。大体もちた仲間って、ネーミングそのままじゃん」
男子は芹沢春樹と濱中翠の登場で、一気に賑やかとなった中、女子陣は至って穏やかな会話が流れる。
「はじめまして〜合田美桜です、よろしくお願いします」
「よろしくね、えーっと、美桜ちゃんで良いかな?」
「はい!じゃあ、えーっと、私は…」
「私は聖奈ちゃんって呼んでるよ〜?」
「じゃあ私も…よろしくね、聖奈ちゃん!」
「あかりちゃん、なっちゃんはまだなんだね」
「うん。私と望月くんが来た時にはまだ誰もいなくて…」
「その後で私が来て、でその次が美桜ちゃん達なんだよ〜」
「そうなんだ〜じゃあ、あと少しで来るかな?」
会話している時も、聖奈の心臓は少しずつ早鐘を打ち始める。
しかしそれは、どのメンバーも同じだ。
黒髪の美少女を想う誠実な少年。
温厚な猫っ毛少女と気鋭の天才少年は想い合い、
金髪が輝く少女とすぐに周りに溶け込んだ笑顔の少年。
それぞれの鼓動は、ますます早まるばかり。
- HoneyWorks〜告白実行委員会〜 リク募集! ( No.38 )
- 日時: 2015/08/29 17:46
- 名前: cinnamon (ID: 76LSjzh0)
「「ゴーーーーールっ!」」
此方に向かって、全力疾走で来る二人の少女が、息をそろえて叫びながら止まった。
その少し後から、男子二人が呆れたようにして駆けてくる。
「ったく、夏樹…お前なぁ…」
「えっへへ〜でもさ優!ほら見て!ギリギリ待ち合わせの時間40秒前に着けたじゃん!」
「そうそう、なっちゃんの言うとおり〜♪」
「ギリギリまで履いてく靴悩んでたやつがよく言うわ…」
「なっ!虎太郎だって、忘れ物ないか、ずーっとキョロキョロしてたの、私知ってるよ〜♪」
「っ!雛!余計なこと言うな!」
足が止まった途端、まるでコントのように一斉に話し出す四人に、聖奈はただただ圧倒されるばかりだった。
そんな聖奈の状態を察して、蒼太が声をかける。
「もーしもーし、聞こえますかー」
「はーい!って聞こえるに決まってんじゃん」
「いや、夏樹達の状態見てると、誰だって聞こえないように思うよ」
「え…あ…あーっ!そっか、そういうことか、ごめーん!」
えへへ、と頼りなく笑う夏樹に従って、後の三人も決まり悪そうに縮こまる。
さっきと打って変わった四人の様子に、聖奈は思わず笑ってしまう。
「えーと、榎本夏樹ちゃん、瀬戸口優くん、瀬戸口雛ちゃんに榎本虎太郎くんだよね?成海聖奈です。よろしくお願いします♪」
順番に指差しながら名前を確認していく聖奈に、夏樹もさっと返す。
「うん、じゃあ聖奈ちゃん、よろしくね!」