二次創作小説(紙ほか)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 リク募集中!】 ( No.47 )
- 日時: 2015/09/06 11:26
- 名前: cinnamon (ID: 76LSjzh0)
青空の下、各ペアからは楽しそうであったり、ぎこちなかったりしながらも、声が聞こえてくる。
そんな中、明智咲は、一人静かに笑みをこぼす。
(ったく、君達の青春を充実させようっていう先生心が…俺って優しい人間だよ、ほんと)
高校生にもなると、誰もの人生の記憶に残るような、本格的な恋愛が幕を開ける。
実際、後ろの教え子達は只今青春真っ只中だ。
(……青春、いいね)
*・゜゜・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゜・*
「はーい!とうちゃーく♪」
聖奈は、ひらりと腕を回して、テレビ局の入り口を指す。
初めての光景に真っ先に声を上げたのは。
「「でっか!!」」
「ぷっ…ったく、榎本姉弟、仲良すぎだぞー」
「「なっ、仲良くなんかないし/
ねぇし!!」」
「それで否定できんのか?」
「「優、うっさい」」
「おー、夏樹こえー」
「なっ…もー虎太郎ーー!(泣)」
「はぁ!?なんで俺なんだよ!カブったのはそっちだろ!」
「はぁ?あたしがあんたとカブりたくてカブった訳ないじゃん」
「威張るな!」
兄弟…いや、姉弟のいない聖奈にとって、この掛け合いはとても眩しく見えた。
「良いなぁ兄弟って…」
「…私も、羨ましいんだよ。頼れるお姉ちゃんとか、しっかり者のお兄ちゃんとか」
いつの間にか横に来た美桜が、そう言って指をさす。
白く、華奢な指の先には、優の姿があった。
「虎太郎、その辺にしとけって」
「ったく、夏樹…」
「・・・」
「…はーあ、おい雛!」
さっきから仏頂面で無言な雛に向かって、ため息をつくと、虎太郎は叫ぶように雛を呼ぶ。
おかげで雛は、『あの人探し』を邪魔され、ますます仏頂面を深める。
「あいつなら、あそこだけど」
虎太郎の指の先は、目障りなアイツこと綾瀬恋雪だ。
最も、雛にそれが知れれば、怒りを思い切りぶつけられることになるだろうが。
「えっ…」
雛は、あんな近くに恋雪がいたのが意外なのか、虎太郎の発言が意外なのか、呆然と立ち尽くしている。
(そんなに探してんなら、早く行けよな…)
虎太郎は、呆れの色をした瞳で、雛を見下ろす。
雛はすぐに虎太郎の目線に気付き、やがて決心したように瞳を揺らす。
「…バカ」
「なんでだよ!…ったく…行くならさっさと行けよ…」
我ながら、最低な見送りだと思う。
ただ、今の虎太郎には、これが限界だった。
頭をブンブンと振り、暗い思考を消し去る。
(俺は、サンドバッグだからな!)
いつか、高見沢アリサに言われたことを思い出す。
『だーかーらー、瀬戸口さんには思いっきり八つ当たりできる人も必要だってこと!』
素直じゃない彼女の言葉に、あの時の虎太郎はどれだけ救われただろうか。
変に身構える必要がない、自分だけにしか出来ない役割がある、そう気づいたのはアリサの言葉があったからだった。
(なんか、テレビ局に成海聖奈の商品とか売ってないか?)
あんなに雑誌を熟読しているアリサなら、何を渡しても驚いたり、喜んだりしないかもしれない。
でも、伝えておきたかったのだ。
雛の中での虎太郎に居場所を与えてくれた、アリサに__
ありったけの『ありがとう』を___