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それからしばらくして、それぞれ歌う曲が決まった。

夏樹は、一番乗りに決めた、『告白予行練習』と『病名恋ワズライ』の二曲に、優は、『告白予行練習-another story-』と『テレカクシ思春期』という二曲の選択だ。

（まさか、僕が、僕の選んだ曲があかりんと同じなんてなーーー！）

蒼太は、謎のテンションで手に持っている紙を見る。
二曲目は何にしようか、必死に考えたものの、ヤキモチの答えに敵う曲は見つからず、結局蒼太は、ヤキモチの答えのみだ。

対するあかりも、蒼太と同じく、ピンと来る曲がなかったようで、『ヤキモチの答え-another story-』のみだった。

そして先ほど、-another story-（アナザーストーリー）とは、もうひとつの物語、という意味であり、似たメロディーや似た歌詞がよくあると聖奈から説明を受けた時は、蒼太はまさに夢見ごこちだった。

（あかりんと同じかぁ…セッションとか出来るかなぁ〜〜…する勇気なんてないけど…）

夢見ごこちから一転し、一気にネガティブになる蒼太に、あかりが声をかける。

「望月君、私のおんなじ曲なら、良ければ一緒に歌ってみませんか？」

上目遣いでこちらを見上げてくる彼女の瞳は、どこか悪戯っ子のような光を讃えている。

ズルい。
可愛すぎる。
あんまりだ。
こんな上目遣いで見上げてくるなんて。

先ほどの謎のテンションが蘇り、頭にも次々と謎のテンションから生まれた言葉が浮かび上がる。

「は、はいっ！ぜひ！」