二次創作小説(紙ほか)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.78 )
- 日時: 2015/09/25 22:22
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
ひな様からのリクエスト作品
【花畑〜始まった恋〜】
春。
今年の桜は、どうしてもいつもと違うように感じてしまう。
それもそのはず、今年は高校生最後の年だ。
受験や部活など、今までとは桁違いの、多忙な毎日を送ることになるだろう。
美桜は、桜を見上げながら、花が風に舞う様子の美しさと、これからの毎日への不安と、それぞれの意味で溜め息をつく。
受験の事も気にかかるが、それよりも不安な事があったからだ。
(今年は、ちゃんと自分に素直になれるのかな…)
芹沢春樹。
初めてその名前を知った時から、何となく気になって。
気付けば、相手から話しかけてくれて、待ち合わせもしていないのに毎日一緒に帰る仲になっていた。
話してみれば、意外と共通点があることも分かって、知らず知らずの内に、彼と一緒に帰るのが楽しみになっていた自分がいた。
(最初は、良い友達が出来た、なんて思ってたけど……やっぱり違ったんだよね)
彼と目が合う度に。
彼と話す度に。
彼の笑顔を見る度に。
心臓が、今まで経験したことのない速さで鼓動を打ち鳴らす。
別れる時には胸が痛んで、会えばまた鼓動がうるさくなって…
それが『初恋』だと気づいたのは、本当に最近の事だった。
(今日は、公園の花壇の花を、久しぶりに描こうかな)
色とりどりの花たちに、自分の見つけた新しい楽しみを重ねて……
青空に桜の花びらが舞い、沢山の花が花開く中、一人の少女の恋心も花開いた。
将来、決して枯れることの無い花が__
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.79 )
- 日時: 2015/09/26 04:24
- 名前: ひな (ID: Xc5HYuu9)
わーい(о´∀`о)
美桜ちゃん出てきたぁ(*ノ▽ノ)
決して枯れることの無い花かぁ(´・ω・`)ナケルネ
次は、春樹くんかな?(///ω///)
シナモン、次も頑張ってね♪(*´∇`*)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.80 )
- 日時: 2015/09/27 19:06
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
ひな≫
了解です!☆〜(ゝ。∂)
次も頑張るね〜o(`ω´ )o
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.81 )
- 日時: 2015/09/27 19:28
- 名前: ヒメカ (ID: lQjP23yG)
頑張って!私、応援してますんで!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.82 )
- 日時: 2015/09/30 00:25
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
ヒメカさん!≫
ありがとうございます!
ただ、私の学校は明後日に体育大会なんで、ちょっと明日、明後日は更新無理そうです…(つД`)ノ
出来たらしますが…
いつも応援のコメント、本当にありがとうございますっヽ(;▽;)ノ
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.83 )
- 日時: 2015/09/30 01:10
- 名前: SUZU (ID: sz87LS1t)
やばい、シナモン…どうした?
ちょっと見ぬ間になんという革命が起こった…?
あぁぁぁぁぁぁぁぁあっっ恋雪くぅぅぅぅっん!!!((
本編終わって、あぁ…良かったなって一息ついたと思えばすぐにリク作品つくるしさぁ…ほんと、シナモン先輩だわ。うん。
こうしんがんばってね、ふぁーいとっ
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.84 )
- 日時: 2015/10/03 00:29
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
すみませんっ!
全然来れませんでしたっ!
いやぁ、体育大会のダメージやばくて…(泣)
雨降ってんのにやってたし、びしょ濡れだし、次の日普通に授業あるし(泣)
…普通だろってつっこまないで下さいね∑(゜Д゜)
まずはコメ返し!
☆SUZU!
うん!ますます駄作に磨きがかかって、もう革命的な駄作になったよ!
恋雪くんLoveだね(#^.^#)
私も相変わらず虎太郎くん一筋でs((
いやぁ、だいぶ前からリクもらってたからね…
本編終わって即実行!((
あ、良ければSUZUもリクお願いしますっ!
って、先輩はSUZUだよ!?((((;゜Д゜)))))))
私はSUZUの小説見て、それがきっかけでカキコに来たんだよ(・ω・)ノ
更新頑張りまっす、SUZU先輩っ!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.85 )
- 日時: 2015/10/03 09:19
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
【花畑〜始まった恋〜】第一章
それは、突然やってきた。
美桜はどう思っているかは分からないが、春樹にとってはまさに最悪だった。
いつものように、三人で部室に来たのは、およそ一時間前。
美桜も夏樹達と一緒に部活に行くはずだが、ここ数日は一人で遅れていくことが多いのだ。
『待ち合わせ』__つまり告白があるからだ。
春樹には知らされていなかったが、実は二年生の頃にも、数回の告白をされるようなことが美桜にあったそうだ。
夏樹によれば、この現象は漫画等でもよく言う「モテ期」そのものだと言う。
同じ部活の親友である早坂あかりにも匹敵するほどの告白の多さに、美桜はかなり戸惑っているようだった。
それが災いしているのか、最近は全くと言っていいほど、美桜は春樹と一緒に帰らなくなっている。
窓の下から見える、色とりどりの花を眺め、春樹は溜め息をついた。
(なんで俺が溜め息ついてんだよ、ってもう何回この疑問呟いたんだよ…)
溜め息をつくのは美桜の方だ。
毎日、とまではいかないが、日を追うごとに確実に告白の数は増えている。
それだけの人数からの想いを、全て一人で受け止めなければならないのだから、美桜はきっと疲れているに違いない。
(というより、完璧にあれは疲れてるな)
廊下を歩いている姿一つ取っても、美桜の姿はどこか元気がない。
まるで、水がなくなって萎れた花のように。
(俺も、ここまで分かってんなら美桜に声くらいかけねーとダメなのにな…)
何処かで、美桜に会ってはいけないと、異議を唱える自分がいるのだ。
今このタイミングで美桜と一緒にいれば、確実に周囲から『勘違い』されると。
美桜と春樹が、放課後一緒に帰るようになって間もない頃。
黒板にはカラフルな色で、二人への冷やかしの言葉が書かれていた。
あの時の美桜は、まだ鞄を手に持っていたから、おそらく登校してすぐに現場に出くわしたのだろう。
春樹が、その場も冷たくやり過ごしていたからか、夏休みが明ける頃には誰も何も言わなくなっていたし、今後もその話題が誰かの口から話されることはほぼ無かった。
(また、あんな事が起こったら…)
間違いなく、美桜は傷つく。
しかも、この告白ラッシュの差中、『勘違い』が広まれば、周囲の傍観者の美桜に対する反応も変わってしまうかもしれない。
それだけは、何としても避けたい。
(だから、今はまだ待つよ)
寂しくない訳ではないが、自分のせいで美桜が傷付くなど、想像しただけでも鳥肌ものだ。
実際に起こってしまえば、春樹はしばらく立ち直れないかもしれない。
(俺って、小さいよなぁ…)
「そんなに小さくなってないで、こっち来て考えたら?」
「はぁ!?」
まるで春樹の心に答えたようなタイミングで、蒼太が声をかけてきた。
感じの悪い対応をしたと後悔したが、もう遅い。
「ど、どうしたの?何か今日ずっと春樹らしくないし…さっきも、優があんだけ声かけてたのに、全く気付いてなさそうだったし」
「そうなのか?」
春樹には心当たりがないから、首を傾げて聞き返すしか出来ない。
その反応に、「やっぱり気付いてなかったんだ」と苦笑が返ってくる。
「で、優は何しに行ったんだ?」
「僕らの水分調達だよ。ほら、昼飯以降、僕達水分取ってなかったし」
いつも昼食タイムに自販機に行く春樹はともかく、朝にきちんと買って放課後まで残しておく蒼太も、今日はもうなくなったらしい。
優はいつも、そうやって人の細かい部分まで気を配り、さり気なくサポートする。
考えのままに突っ走っていく春樹にとっては、優の繊細さにはただ感心するばかりだ。
「うわー…さすが優だな。ほんとよく人ん事見てるわ」
「だよね。もう僕らだけじゃなくて、映画研究部の母親って感じ」
「母親かー、うん、どうりであんなに怒る訳だ」
「【特技 説教】とかプロフィールにアリかもね」
「出たよ、ブラックもちた…」
いつものノリの会話が、この日はなぜか凄く心地良かった。
さっきまでの自嘲的な暗い思考が嘘のように吹き飛び、明るく笑える。
幼馴染の存在の大きさを感じながら、春樹は窓の側から離れる。
(ん?何だ、メール来てたのか)
春樹の視線の先に気付いた蒼太が、「あ、そうそう」と何故か笑顔を浮かべて話し出した。
「十分前くらいかな、なんかメールが来てたよ」
「一応確認するけどさ」
「僕も優も、ちゃんと声かけたからね」
「だよなー…」
自分はどれだけ、暗い思考の中でうずくまっていたのだろうか。
自分自身に呆れながら、春樹は携帯を手にする。
メールの差出人を見た瞬間、春樹は息が止まりそうになった。
窓際に移動し、メールを恐る恐る開く。
『今日、一緒に帰れますか?この前借りたDVD、もう返せるよ』
以前と何一つ変わらない、自然な会話。
ただそれだけで、春樹は胸がいっぱいになるのを感じる。
まだ震えが止まらない指で慌てて返事を打つ。
『うん、帰れる。また、映研の部室まで来てもらって良いか?』
(これで、いつもと同じ場所で、とか言えたらカッコいいんだろうけどな)
今の春樹には、これが精一杯だ。
またこうして、自然にメールが出来て、話す機会があることが嬉しくて。
空には雲一つ無く、春樹の心が映し出されるように青かった。
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.86 )
- 日時: 2015/10/03 10:57
- 名前: ヒメカ (ID: a0p/ia.h)
本当上手デスネ!友達になりませんか?
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.87 )
- 日時: 2015/10/03 21:45
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
おぉ、早速コメントが!ヽ(;▽;)ノ
コメント返しです!
ヒメカさん≫
またまたコメントありがとうございます!
友達!なりましょう♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪
むしろ、お願いします!
ってことで、私のことはこれから呼び捨て&タメ口でお願いします♪
更新頑張ります!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.88 )
- 日時: 2015/10/04 07:22
- 名前: ヒメカ (ID: XnbZDj7O)
ありがとー!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【 ついに本編完結!】 ( No.89 )
- 日時: 2015/10/04 16:33
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
「はぁあ…」
美桜以外に、誰もいない廊下に暗い溜め息が響く。
予想以上に声に疲れと暗さが滲み出ていて、美桜は慌てて口を閉じる。
(また溜め息ついちゃった…誰かに聞かれてないかな?)
キョロキョロと周りを見渡すけれど、人影は見えないし、走り去るような足音も聞こえない。
美桜は、ようやく誰もいないと確信し、ホッと息をつく。
「美桜せんぱーい?」
「ふぇえ!?だ、誰、です、か…?」
タイミングを見計らったような声に、美桜の心臓は大きく跳ねた。
どこかで聞いた事のある声だが、なかなか思い出せない。
(でも、声がすごく高いから…)
美桜は、意を決して心当たりのある、唯一の人物の名前を恐る恐る口にする。
「ひ、雛ちゃん…?」
「せいかーいでーす!瀬戸口雛です!」
ひょこっと、美桜の目の前の柱の影から、美桜の予想通りに瀬戸口優の妹__瀬戸口雛が現れた。
「い、いつからいたの?」
「えーっと、確か、30分くらい前から…」
「えっ!そんなに前からいたの?大丈夫?」
「はい。あの…私も、『待ち合わせ』だったので…」
少し恥ずかしそうに俯く雛の様子から、雛も告白されて来たのだと分かる。
自分と同じだと分かると、美桜はどっと気が抜けた。
「そうだったんだ〜…実は私も…」
「先輩も、告白されたんですね。やっぱり」
「ふぇえ!?や、やっぱりって?」
「だって、あんなに顔を赤くして溜め息ついてるんですもん。分かりますよ」
笑いながらも冷静な雛のツッコミに、美桜は顔を赤く染める。
雛には、幸い告白された現場は見られなかったようだが、その後のことはバッチリ見られていたようだ。
「わ、私、そんな酷い顔してたんだね…」
ついに雛の顔も見られなくなり、美桜は俯いてしまう。
自分で顔を見なくとも、その頃の顔の酷さくらい分かる。
おまけに、今こうして俯いている間も、顔の赤さは消えないどころか、増しているだろう。
「…酷い顔なんかじゃ、ないですよ…」
しばらくの沈黙の後、雛のかすれた声が空気を震わせた。
かすかな声でも、向かい合っている美桜の耳にははっきりと聞こえた。
「…そうかな」
「はい。だって、私も…」
そう言いかけて、雛は再び口を閉ざした。
言おうか迷っているのか、それともやっぱり言えないようなことなのか…
美桜は、聞き返したい気持ちを抑えて、顔を上げた。
まだ顔は赤いだろうけれど、雛に軽く微笑んでみせる。
雛は、急に顔を上げた美桜に驚いたのか、一瞬目を見開いた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「…私も、同じですから」
そう告げた雛も、笑顔を見せた。
初めて会った時のように、明るく元気ではない、また違った…
(恋してる、笑顔だ…)
「…そっか、雛ちゃんも、なんだ」
気づくと、無意識にそう応えていた。
敵味方、というわけではないが、仲間同士、自分の気持ちに素直になれて雛も美桜も、どこかスッキリとした顔をしていた。
「ありがとう。話してくれて」
そう伝えると今度は、いつもの笑顔で雛も応じてくれた。
(うん、やっぱり雛ちゃんはタンポポみたいに強くて明るい笑顔が良いなぁ)
この時、ふと思いついた。
次に描く絵に、新たな花を加えることを。
(私も、タンポポみたいになれるかな…)
明るく周囲を照らして、強く、強く咲いていく。
そんな、強さが今の美桜に足りないものだ。
(でも、今日は…)
先ほど、意を決して春樹にメールを送ったところだ。
数々の想いに耐えられなくて、春樹と会うのも、何だか恥ずかしくて。
そんな、今さらのような思いは捨てて、強くなるのだ。
今日こそは。
どこまでも高く青い空に、蒲公英の黄色い花びらが、風に舞って浮かぶ。
黄色い花びらを含んだ風は、柔らかな猫っ毛を、小さく揺らしていった。
*・゜゜・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゜・*
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.90 )
- 日時: 2015/10/04 16:38
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
コメント返し!
ヒメカさん≫
いえいえ!こちらこそ(=´∀`)人(´∀`=)
あ、ヒメカさんは呼び捨て&タメ口OKですか?
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.91 )
- 日時: 2015/10/04 20:42
- 名前: マナカ (ID: 4u1FJvtb)
こんにちは!!初めてここのスレッド(?)にきて、シナモンさんの小説にどハマリし、一気読みしてしまった者です!
私は春カップルが好きなんで、今書かれてる小説読んで本気で発狂してましたw
すっごくいいです。ほんとに面白いです。
これからも楽しみにしてます!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.92 )
- 日時: 2015/10/04 23:09
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
(あぁ、まだ10分しか経ってねぇのか…)
美桜とのメールのやり取りを終え、いつも通り部活を始めてから、春樹にとってはもう30分経った感覚だったが、実際に時計を見てみればまだ10分が経過したばかりだった。
ぼんやりと時計を眺めている春樹を見かねて、優が声をかけてくる。
「どうした?今見る所は時計じゃなくて脚本だろ?」
「…あぁ、悪い」
そう言って、のろのろと視線を手元に戻す。
視線は脚本に戻したものの、頭の中はそう簡単に部活モードに戻らない。
春樹は、頭の中の思考を無理やり追い出そうと、水を手に取った。
その時、部室のドアが遠慮がちにノックされた。
(もう来たのか。まぁ、部活にも身が入んないし、助かったけど…)
春樹は、ドアに近づき騒音を立てながらドアを開ける。
目の前には、スケッチブックを抱えた美桜が立っていた。
「部活もう終わったんだな」
「うん。今日は、描きたいものがあるから、部活には、絵の具と筆を取りに行っただけなの」
(あれ、今日は美桜どうしたんだ?)
いつもは、外に出ず、黙々と室内で作業するタイプの美桜が、描きたいものがあるから外に出るというのは珍しい。
それに、いつもよりも瞳が輝いて見える。
(ここまで美桜がやる気を人前に見せてるの、初めてじゃないか?)
春樹は詳しく聞こうとしたが、蒼太の声に遮られた。
「合田さん、良かったら部室の中に入ったらどうですか?さすがにそこで立ち話っていうのもアレですし」
美桜は、少し考えた後、「じゃあ、少しだけ…」と遠慮がちに入ってきた。
(もちたの奴、ほんっとこういうの真面目だよなぁ…)
春樹は普段通り、どっかりと椅子に座り、美桜は優に促されてようやく椅子にちょこんと腰掛けた。
「で、描きたいものって何なんだ?」
「おいおい春樹、その前に俺たちにも説明してくれよなー」
間髪を入れずにつっこんでくる優に、美桜が律儀に答える。
「さっき、私が描きたいものがあるって行ったんです。今まで私は美術室にこもって作業することが多かったから、たまには外で描こうかなって」
「あぁ、なるほど」
優は納得し、春樹へと視線を送る。
美桜も軽く春樹に頷き、再び口を開く。
「私、花の絵が描きたくて、それで電車で二駅行ったところに綺麗な花畑があるって、顧問の先生に教えてもらって…それで、今日はそこを見てみようかなと思って」
花の絵が描きたい__
美桜は風景画も人物画もよく描くが、どうやら今回は花をテーマにした風景画のようだ。
さらに、今からそこへ向かうと言うのも、春樹にとってはかなり衝撃的だった。
(美桜、なんか変わったな…)
「だから、春樹くんと一緒に、駅まででも帰ろうかなと思って…」
「でも、花畑なら、今度撮る場面にも使えるかもしれないね」
またまた蒼太が、美桜の言葉を遮るように口を開いた。
しかし今度は、視線がしっかりと春樹に向けられている。
蒼太の視線が何を訴えているか、幼なじみの勘で理解した。
(まぁ?俺も最初からそうするつもりだったけどな)
「花畑か…うん。それなら、脚本が行き詰まってんのも、何とかなるかもな〜」
ニヤニヤと蒼太を見返すと、蒼太は急に小さくなって視線を春樹から外した。
今回の脚本は、蒼太中心で考えていたから無理もない。
「なら、お二人も来られるんですか?」
美桜は小首を傾げて、優と蒼太の顔を見上げる。
そのポーズが何とも愛らしくて、可愛くて、春樹は思わず目を逸らす。
(本人は完全に無自覚だけど、こんなポーズされたら、男子はほぼ全員イチコロだろうなー…)
こんなところを見てしまえば、逆に美桜が今まで何故モテなかったのかが不思議になってくる。
優と蒼太は、お互い好きな人がいるから、きっとこの美桜の姿に動揺するなんてことはないだろう。
(って、ヤバい、俺何考えてんだ…)
さっきのダメージで、もう自分は相当おかしくなっている。
おかしな思考を振り切るように、春樹は自分の太ももを掴んだ。
痛みで、少しずつ正気が戻り、やっと春樹は前を向いた。
美桜は、優と蒼太と話していて、春樹の言動には気づかない。
春樹が前を向いた事に気付いた優が、すかさず春樹に声をかける。
「じゃ、俺は悪いけどパスで。スケジュール組み立ててから、久々に後輩を見るから」
「だね。じゃあ僕もパス!明智先生にも、脚本の相談がしたいしね」
「ってことで、春樹監督。現場の下見お願いしまーす」
優は現場の下見、とぼかして言っているが、きっと蒼太と共謀して、美桜との距離を縮めようとしているのだろう。
脚本にそのような場面が出てくるのは嘘ではないが、実際はまだ、下見の段階どころか脚本すら形になっていない状態なのだ。
だからこそ、二人が上手く美桜に言い聞かせ、フォローしたのだと確信する。
「分かった。んじゃ美桜、行こうぜ」
「あ、うん!じゃあ、お邪魔しました…」
(二人で電車に乗って花畑…か)
美桜は絵を描くつもりだし、自分はこれでも一応現場の下見だ。
だが、シチュエーション上、どうしてもデートのように考えてしまう。
(…まぁでも、あいつらにもらった機会だし、楽しみますか)
この後のことを考えながら、どことなく嬉しそうな背中で幼なじみが映画研究部の部室を出て行ったのを、残された二人はしっかり見ていた。
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.93 )
- 日時: 2015/10/04 23:15
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
コメント返し!
マナカさん≫
はじめまして!
このような駄作を読んで下さりありがとうございますm(_ _)m
改めまして、cinnamonです(・ω・)ノ
春カップルがお好きなんですね!
私もこの二人は大好きです^ ^
どハマりですか!?∑(゜Д゜)
私はなかなか簡潔にまとめられないので、読んでいて時間の無駄ではありませんでしたか?(´・_・`)
楽しみにしてるだなんて、もうめちゃめちゃ嬉しいですっ!
ありがとうございます(=´∀`)人(´∀`=)更新頑張ります!
あ、ちなみにこれから私のことは、タメ口&呼び捨てでOKですよ^ ^
それと、マナカさんも、何かリクエストがあればぜひぜひお願いしますm(_ _)m
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.94 )
- 日時: 2015/10/05 02:20
- 名前: ひな (ID: Xc5HYuu9)
シナモン>>
さすが、もちたと優は気が利くね♪(*´∇`*)
美桜ちゃんは天使だね(*´ω`*)カワイイ
春樹くん、折角もちたと優が気が利くことしたんだから頑張れって応援したくなる(*´`)
シナモン、これからの更新楽しみにしてるよ(*ノ▽ノ)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集! ( No.95 )
- 日時: 2015/10/05 17:24
- 名前: ギューバッド (ID: bSLQhqZo)
最近来れなくてごめんね〜
おもしろい!やっぱ神だね!((紙とか言わないでよ!!
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.96 )
- 日時: 2015/10/05 19:04
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
コメント返し!
ひな≫
いやぁ、美桜ちゃんも可愛すぎるのに、原作ではあんまりもててる印象がないから…(._.)
もったいない!ってことで、ここでは美桜ちゃんをモテモテにしてみた☆〜(ゝ。∂)
もちたと優は気配り上手だからね!^ ^
こんな良い幼なじみがいて、春樹が羨ましいよ(._.)
ところで、この作品、ちゃんとひなのリクエスト通りになってるかな?
全然違うって思ったら、いつでも言ってね!
あと、この作品が終わったら、ひなももう一回リクエストしていいよ☆〜(ゝ。∂)
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.97 )
- 日時: 2015/10/05 19:07
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
またまたコメント返し!
ギューバット様!≫
おぉ〜(=´∀`)人(´∀`=)
ここにも来て下さったんですね^ ^
本当、ありがとうございますっ!
って、さすがギューバット様…
私の言い訳をちゃんと知ってらっしゃる∑(゜Д゜)
いや、言い訳じゃなくて、本当に駄作すぎるんだけどね。。
神はギューバット様ですよ(=´∀`)人(´∀`=)
また、ギューバット様の小説も見に行きます!!
- HoneyWorks〜告白実行委員会〜【ついに次回ラスト!】 ( No.98 )
- 日時: 2015/10/06 00:41
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
幸いにも、駅に行くまでの間に、桜丘高校の生徒に姿を見られることはなく、電車に乗り、席に座ってから、美桜はようやく安堵の息をついた。
すると、肩の力も抜けて一気に体が楽になる。
自分が思っているよりも、体は緊張していたようで、美桜は少し驚いた。
そんな美桜の行動を見ていた春樹から、不思議そうに声がかかる。
「どうした?」
「あ、ううん。大丈夫」
そこで美桜は、しまった、と後悔する。
大丈夫、と言ったということは、何かがあったということを表してしまうからだ。
美桜の予想通り、春樹は表情を暗くする。
「大丈夫じゃないだろ?なんか肩の力が一気に抜け__あぁ」
最後の方は、納得したような声色だった。
すぐに、電車の中をぐるりと見回す。
察しのいい春樹には、あっという間に気づかれてしまったようだ。
急に居心地が悪くなり、美桜はあいまいに苦笑を返す。
自分のせいで、また春樹に迷惑をかけてしまった。
美桜は、春樹に見られないように、そっと溜め息をつく。
(でもこれ、私、毎回同じこと考えてる気がするなぁ…)
こういう時に、夏樹や雛のような明るさがあればと、ついつい思ってしまう。
自分には無理だと分かっていても、うらやましい気持ちは止められない。
(こんなのじゃダメだよ、さっき私、雛ちゃんと話して分かったじゃない)
自分の他にも、ままならない想いを抱えている人がいる。
たとえその人が、普段どんなに強くても、儚くて可愛くて、恋しているのが一目で分かる。
(あの雛ちゃんの笑顔を見て、私も、私もいつか、あんな風に笑いたいって、そう思った)
自分にはまだ、強さがないから、『告白』なんて大それたことは出来ないけれど。
それでも、今はいい。
(私だって、笑いたい…じゃなくて、笑うんだ!うん、そう思えば、大丈夫!)
気合いを込めた目で、手元のスケッチブックを見つめる。
最近買い足したものだから、まだ真っ新で何も描かれていない。
これから、ここに数えられないくらいの花を描いていこう。
描いた時の自分の想いを、そして、今この瞬間も感じている想いをのせて。
「…美桜?」
「…」
「おーい、美桜、本気で大丈夫か?」
「…ふぇっ!?あ、は、春樹くん…」
自分で自分にけじめをつけて、気合いを入れていたのはいいが、美桜は今まさに春樹と一緒にいることを、完全に忘れていた。
(ど、どうしよう…わ、私、変なこと言ってなかったかな?顔も、変な顔してなかったかな?)
「…ど、どうしたの?」
「ぷっ…はははは!」
「ふぇぇえ!?ちょっ、ちょっと春樹くん!?何笑って…」
不安と動揺を隠せずに、質問したのがおかしかったのか。
とにかく盛大に、しかも突然笑われて、美桜はただただ戸惑うばかりだ。
「ごめんな」と謝りながら、美桜に向けられた顔には、目尻にじんわりと涙が浮かんでいる。
「そ、そんなに私、おかしなことした…?」
「いや、違うって!これはその、美桜は別に…」
いつもハッキリものを言う彼が、珍しく語尾を濁した。
美桜は、それだけでますます不安になり、そっとスケッチブックを抱える。
その様子を見た春樹は、なぜか慌てて言う。
「別に美桜がおかしいとか、そんなんじゃなくて!俺が…ちょっと…まぁ、なりゆきで…」
何のなりゆきかは不明だが、どうやら、原因は春樹にあるらしい。
なら、自分のせいではないのだと、美桜は少し安心した。
「なら、私は大丈夫だったんだ、良かった〜」
「あ、駅着いたみたいだぜ」
さっきの焦った顔はどこへやら、春樹はいつも通りの優しい笑顔を見せる。
美桜も、春樹に頷き返して荷物をまとめる。
抜けるような青空の下__
色とりどりの花たちが、彼女たちを待っている。
- Re: HoneyWorks〜告白実行委員会〜【リク大募集!】 ( No.99 )
- 日時: 2015/10/06 23:48
- 名前: cinnamon (ID: X9/tG6Az)
エピローグ
花畑には、春樹たち以外には誰もおらず、貸し切り状態となっている。
青空には夕陽の色が滲み出てきて、そろそろ辺りが夕焼けになりそうだ。
(あーあ、時間が止まればいいんだけどなー…)
そう思ってから、我ながら幼稚な発想だなと、自分自身に苦笑する。
美桜は、真剣にキャンバスに向き合い、筆の動きは止まることがない。
次々と生み出されていく絵は、どれも美桜独自の世界観に溢れていて、いつまで見たって飽きることがない。
美桜は、夏樹のように元気いっぱいな作品ではない代わりに、緻密で繊細で穏やかな、そんな世界観の絵を描く。
春樹は、そんな彼女特有の、彼女だけが生み出せる絵を、もう何時間と座って眺めている。
それだけで、春樹は楽しかった。
特に会話をすることもなく、眺めているうちに、春樹はふと気づく。
(そういえば、美桜に言えてなかったよな…)
それは、先ほど映研の部室で話を聞いた時に思ったことだった。
茜色に染まっていく空が、その光を惜しげも無く花畑に降り注いでいる。
そんな花たちと向かい合っている彼女もまた、夕陽に照らされていて、一枚の絵のように自然に、周りに溶け込んでいるのが感じられる。
「美桜」
名前を呼べば、やや間があってから振り返る。
「何か、変わったな。美桜は」
そう笑顔で告げれば、美桜は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの優しい笑顔に変わる。
「ありがとう。でも、春樹くんだって、変わったよ?」
美桜は、そう言って、再びキャンバスに向き直る。
春樹も、美桜にあいまいに笑い返してから、再び花畑へと目をやる。
美桜は変わったと言ってくれたが、春樹自身は、自分が全く変われなくて焦っているくらいだ。
(俺が、自分から変われたって堂々と言えたら…)
その時に初めて、美桜との心の距離を縮めるための第一歩を踏み出せるのかもしれない。
弱さを捨てて、『自分』を持った姿で。
茜色の空を駆ける風は、暖かく二つの恋の蕾を見守った___
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「うわぁ、これが新しい美桜の絵かぁ…」
「何だか、見ててあったかくなる絵だね!それに、この花畑もすっごく綺麗!」
三年生の教室のある、三階の通路の壁にかけられた絵の前で、あかりと夏樹が感嘆のため息をつく。
あの日見た花畑をモデルに描いた絵が、コンクールで見事、最優秀賞を取り、こうして生徒の目にかかることになったのだ。
瀬戸口雛や夏樹の明るい笑顔のような蒲公英や、あかりのような眩しい輝きを放つ向日葵。
そして、美桜自身をイメージした、アスターの花も描かれている。
アスターの花言葉は、『信じる恋』。
例え、夏樹や雛のように周囲を明るく照らせなくても。
例え、あかりや春樹のように天才的な眩しい才能がなくても。
美桜は、自分自身の想いの強さを信じて、想いから逃げないと決めた。
(私はもう、自分を見捨てない)
絵の中の花たちに込められた想いは、美桜の中で、今日も蕾を膨らませている。
いつか想いが相手に届く、その日まで__
リクエスト小説
【花畑〜始まった恋〜】 終