二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】バナナの皮には気をつけろ【トリップ】 ( No.2 )
日時: 2015/09/05 12:09
名前: はなむら (ID: D7i.SwLm)

 学校行くじゃん?
 廊下歩くじゃん?
 バナナの皮落ちてるじゃん?
 踏むじゃん?
 滑って転ぶじゃん?
 頭打って気絶するじゃん?
 目が覚めたら知らない場所にいるじゃん?

 ………………じゃん?



 第一訓/バナナとゴリラ





「おお!目が覚めたか!」


 さっきまで学校にいたはずなのに、目が覚めたら見知らぬ場所にいて、至近距離にゴリラの顔があったときの私の心情を35文字以内で答えよ。


「————こっんのクソゴリラがぁ!!あのバナナはテメェの仕業かゴルァァァァァ!!?」


 ちなみに今のは36文字。これが国語のテストだったら完璧にバツですね。
 でも今はそんなのどうでもいい!


「ここはどこ!私は高橋瞳子タカハシトウコ!貴方は誰ですか!ワッツユアネーーーム!!?」


 ゴリラの胸ぐらを掴み、思いっきり前後に揺する。

 こんな状況でも自分から名乗ることを忘れない私は偉いと思いませんか!?

 え、胸ぐら掴んでる時点で偉くないって?
 それは今は言っちゃダメ!!

 私混乱中だから!苦手な英語が口から飛び出すくらい混乱してるから!


「ちょ、首!首絞まってるゥゥゥ……ぐえっ」(ガクッ)

「局長ォォォォォォォォ!!!」

「テメェ!局長に何しやがる!!」


 完全に落ちてしまったゴリラさんから視線を外すと、今にも抜刀しそうな男の人たちが私をまーるく取り囲んでいた。

 え、なにこれ怖い!
 女子高生相手に刀なんか持ち出さないでくれませんかねコノヤロー!


「あああああの、わわわわわ私は別に、ああああ怪しい者じゃなななくてですね!」

「十分怪しいだろーが」

「たたたた高橋瞳子、17才!こ、高校生です!商業高校に通ってます!血液型はO型で、たたっ誕生日は5月18日ですぅぅぅ!!」


 人相の悪い人が出した低いひくーい声にビビりながらも、怪しい者ではないことを伝えるために思い付いた情報を叫んでみる。

 ちょっと噛みまくっちゃったけど、それは仕方ないよね!
 だって、この人思いっきり瞳孔開いてるんだもん!怖いんだもん!怖いんだもん!!

 大事なことなので二回言いました!


「まあまあ、悪人には見えないし刀を下ろしてやれ」


 たった今復活したらしいゴリラさんが私を援護してくれる。

 が、私を囲んでいる人たちは「でも局長!」とか「許せねえよ!」とか叫んでいる。
 どうやらこのゴリラさん、相当みんなから慕われているらしい。


「……トシ、コイツらなんとかしてくれ」

「近藤さん……ハア、分かったよ。下ろせ」


 ゴリラさん改め近藤さんの言葉に従わなかった男たちは、瞳孔開いた人が溜め息混じりに命じると渋々といった様子で刀を下ろした。

 それにホッと安堵の息を吐いて近藤さんに向き直り、しっかりと頭を下げる。


「あの、さっきはすみませんでした……ちょっと混乱してたみたいで……」

「いきなりこんな場所に連れてこられたんだ、無理もないだろう」

「うわっ!」


 豪快に笑いながら、私の頭を近藤さんが撫でてくれる。
 髪がぐしゃぐしゃになるくらい強い力で撫で回されたけど、なんだか心地がいい。大きくてあったかい手だ。


「ところでなんで屯所の前に倒れてたんだ?」

「倒れてた?」

「ああ、屯所の前で気絶していたのをうちの隊士が拾ってきた。なあ総悟」

「なんだか妙な格好をしてたもんで、攘夷浪士かと思ったんですがねィ……どうやら違うみてーだ」


 総悟と呼ばれた甘いマスクの男の人に顔を向けるとこっちへ歩いてくる姿が目に映った。

 私の目の前まで来ると、なぜか総悟さんはしゃがんで目線を合わせてくる。そして、じーっと見つめられる。
 ………………なんで?


「こんなアホ面した奴が戦えるわけねぇ」

「アホっ!?」


 アホ呼ばわりされたことにショックを受けていたら、総悟さんから高橋と名前を呼ばれる。

 顔を上げると、存外真面目な顔をした総悟さんの目と私の目が合った。
 全てを見透かすことができそうな、強い眼差し。赤色の瞳が私の正体を暴こうとしている————。


「なんであんな場所にいたんでィ。……いや、違う」


 ゆるゆると首を降った沖田さんは、訝しげに眉をひそめていた。






「————お前どこから来た?」