二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】バナナの皮には気をつけろ【トリップ】 ( No.6 )
日時: 2015/09/06 19:11
名前: はなむら (ID: D7i.SwLm)


 あのあと、酔い潰れた隊士に布団をかけて回っていたら山崎さんに話しかけられた。


「黄色い悪魔って誰のこと?」


 これ答えなきゃダメ?
 別にいいよね。よし、無視しよう。


「え、ちょっ、無視ィィィ!!?」



 第四訓/お化け屋敷でキャーとか叫ぶ女は信用ならない



 さてさて、そんなこんなで真選組に拾われてから早一週間。

 隊士の肩を揉んであげたり、沖田さんにパシられたり、土方さんの書類仕事を手伝ったりと忙しいけどなんだかんだ楽しくやっている。


 最初は近藤さんの首を落としたガキ……みたいな感じでちょっと距離を置かれてたんだけど、酒飲んで酔っぱらったら忘れてしまったらしく。

 その日のうちにみんなが瞳子、瞳子と構ってくれるようになった。


 二日目、セーラー服のままじゃ目立つだろうからと近藤さんがお金をくれて、私は萌木色の浴衣と下駄を買った。
 余ったお金で隊士のみんなに団子を買っていったら「全部使ってよかったのに」と言われた。初めに言ってよ。


 三日目、土方スペシャルを食べさせられそうになった。あれ漫画と実物とじゃ全然違うね、ちょっとトラウマになった。しばらくマヨネーズは見たくない。


 四日目、山崎さんとミントンをした。
 サーブができなくて悔しがっていたら、たまたま通りかかった隊士の一人に飴をもらった。なんか私が妹さんに似ているらしい。ちなみに妹さん10才だって。解せぬ。


 五日目、パトカーに乗せてもらった。土方さんが運転席、沖田さんが助手席、私が後部座席だ。
 途中で攘夷浪士を見つけて沖田さんのバズーカが火を噴いた。あれはヤバイ。


 六日目、沖田さんのバズーカの餌食になった。初めて人に殺意を覚えた。あの人いつかぶん殴る。



 そして、七日目である今日は朝から買い物に行く予定だ。
 みんなから頼まれたものを書き留めたメモを手に大江戸スーパーまで行ってきます。


「山崎さーん。今からおつかい行ってくるんですけどほしいものあります?」

「んー、ないかな」


 ちょうどラケットを振っていた山崎さんに尋ねると、ゆるゆると首を振られた。
 それに「へい」とか「ほい」とか適当に返事をして門の方へと歩いていく。



 私がこの世界に来て、今日でちょうど一週間。
 ここに倒れていたんだよなぁと思いながら門を潜る。今日も江戸の空は晴天だ。私が来た日もいい天気だった。

 鼻唄を歌いながら、敷居を跨いで地面に足を下ろす。
 ふみっ。


「ふぐうっ!」


 ……なんだこれ、デジャヴ?

 恐る恐る視線を下げて、目の前に広がる光景にぽかんとしてしまった。そこに居たのは——。


「——人?」

「……い」

「へ?」

「……お、もい」


 慌てて足を退けると、うつ伏せに倒れていたその人が顔を上げた。そして目が合う。

 ぎろりと私を見上げる目。

 目の下にある真っ黒なクマ

 血色の悪そうな白い顔。

 鳥の巣みたいなボサボサ頭。

 薄汚れてボロボロになった着物。

 そして、それらにベッタリとついた血、血、血……。


「血ィ!!?」

「——…し……ぬ…」








「お、落武者だァァァァァ!!!!山崎さ、いや誰でもいいから早く来てェェェ!!」


 ホラー映画さながらの人物から逃げるように、元来た道を猛ダッシュする。
 私、超がんばった。たぶん私史上一番の速さだ。

 だってホラーもスプラッタも大っっっ嫌いなんだよぉぉぉ!!!