二次創作小説(紙ほか)

プロローグ:王の煙 ( No.1 )
日時: 2015/11/13 09:54
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: MXjP8emX)

 あるお城の一室、1人の鎧をかぶった男が眠っている。その男の手を取る女性に気配に気が付いたのか、男は女性に話しかける。
「クイーン……」
「あなた、目が覚めたのかい、医者を呼んでくるよ」
 男からクイーンと呼ばれた女性は、男のもとを離れようとするが、男はそれを呼びとめる。そして、男は口を開く。
「俺には、プレミアムな呪いがかかっている。恐らくは、もう……」
 男はせき込みながら、クイーンに耳を近づけてもらい、頼みを話す。

 そして、それが彼の遺言となった。

 《聖鎧亜キング・アルカディアス》、多色を絶対とするこの国の王が天に召された。そして、彼の死は、新たなる炎を呼び起こすことになる。

「Duerm@sters -Arcadias Knights-」

「王は天に召されました。しかし、私は王家を守り抜いてみせますわ」
 民の前に現れたクイーンは、力強く宣言する。しかし、あらゆる伝統を失わせて、国の統治者になれたのは、クイーンよりもキングの力によるところが大きかったのだ。

「ネロ、なぜ裏切ったのだ……!」
 王の死から数か月、城の一室にて、クイーンはいらだつ様子でつぶやく。王都から離れた田舎町では、すでに革命派がいくつかの町を占領し始めていたのだ。彼らのリーダーはネロ・グリフィス。王国の騎士団長にして、宰相。夫婦に次ぐナンバー3の地位にいる男である。彼は有能な右腕として王国の絶対王政を支えてきた。しかし、王の死がもたらした絶対王政の揺らぎ、伝統回帰の運動、王という地位への野望、それらが国への忠誠を誓った天使を闇へと堕としていった。

 ネロ率いる革命派とクイーンを支持する保守派の戦いは激しさを増していき、かつて理想郷と謳われた王国は次第に衰退する。そんな国の危機に、更なる刺客の影が忍び寄っていた……。

 これまで、王国に大きく国力で劣っていた単色諸国。キングによって制圧され、クイーンとともに支配されてきた彼らは、キングの死によって揺らいだ絶対王政から、遂にクリーチャーの自由を回復、王国への復讐をもくろんでいた
 そんな彼らだが、今まで文明ごとの考え方や利益が災いし、結束することができなかった。しかし、あるカリスマによって結束し、王国に向けて侵略してきた。その英雄はすべての文明と伝統を新旧問わずに縛る力で、龍の魂を持った武具を持った騎士団を率いたのだ。

 隆盛を極めた王国は3つ巴の戦いですっかりと荒廃していく。その姿を単色連合軍のカリスマ、マナロックはこう評した。
「いかなる超大国といえども、長期にわたって安泰であり続けることは出来ない。国外に敵を持たなくなっても、国内に敵を持つようになる。外からの敵は寄せ付けない頑健そのものの肉体でも、身体の内部の疾患に苦しまされることがあるのと似ている。そして、今我々は国外から王国を侵略しようとしている」

 革命、侵略、新たなる力に苦しめられた王国は、キングの遺言に残された力を解放しようとする。御伽の主人公が持つ変数と抵抗の力「レジスタ」を……。