二次創作小説(紙ほか)

第1話:救世の媒体(1) ( No.2 )
日時: 2015/09/15 14:11
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: JPHNpDb7)

 都内某所の高級マンション、学生服を着た一人の少年が家を出る。だが、それを見送る声はない。彼は1人暮らしで都内の高校に通っていた。名前は水川和巳みずかわかずみ、家が裕福なことを除けば、どこにでもいる高校1年生であった。
 ただ、1人暮らしということもあってか、その生活はお世辞にもいいとは言えず、不摂生にして不規則、自堕落と呼んで差し支えなかった。
「久しぶり、和巳」
 登校中の和巳に親しげに声をかけた一人の少年、同じ制服を着ており、彼に駆け寄ってくる。和巳は少年と並ぶと彼に返事をする。
「おす、隆夫」
 彼の名前は岡隆夫おかたかお、彼は軽音楽部に所属しており、バンド「night」でギターとボーカルを担当している。人当たりが良く、和巳とも仲が良かった。
「珍しいな、和巳がこんな時間に来るなんて」
「ああ、今日は日直だからな」
 隆夫はそういって、和巳の朝の登校を珍しがる。和巳は自堕落な生活故に遅刻や欠席も多く、校内では問題児扱いされていた。しかし、日直をサボるのは和巳も気が引けたようで早めに来ている。そして二人はクラスが違うので、登下校時を除けば、なかなか話す機会がなかった。
 二人はそのままたわいもない話しをながら登校する。昇降口で上履きに履きかえると、職員室に向かう和巳を隆夫は見送って教室に向かう。そして、教室に向かう階段でつぶやく。

「和巳……。どうしたら、君は立ち直れるんだ?」