二次創作小説(紙ほか)

第1話:救世の媒体(3) ( No.6 )
日時: 2015/09/15 14:08
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: JPHNpDb7)

「私はエリスです。よろしくお願いします」
 そういって、少女は和巳に頭を下げる。だが、和巳はいきなりの急展開についていけるはずもなく、少女に問いかける。
「えっと、君は一体、何者なのかな?」
「あ、少し待っててください、もうすぐできますので」
 少女がそういうと、フライパンを開ける。そこにはおいしそうな魚の蒸し焼きがあった。エリスと名乗った少女は、それにソースや野菜を添えて盛り付ける。
「さて、着替えてきてください。夕食にしますので」
 少女に誘導されるように、和巳は着替えて、久方ぶりの一人ではない夕食に向かった。

「いただきますは?」
 箸を取ろうとする和巳に、少女はダメ出しする。和巳は一瞬、苦虫をつぶしたような顔になる。しかし、目の前の少女の手前、食べるわけにもいかず。「いただきます」と口にするのだった。

「ごちそうさま」
 和巳と少女の夕食が終わる。少女はお皿を下げ、そのまま、皿を洗いはじめる。和巳はそれが終わるのを見計らって声をかける。
「うまかったよ、エリス……だっけか?」
「もう名前を覚えてくれたんですね、ありがとうございます。」
 エリスはそういって、頭を下げると、金髪が揺れる。エリスは頭を上げると、和巳に改めて自己紹介をする。
「私は《氷麗姫シンデレラ》、本名はエリスです」
 突然且つ謎の宣告に、和巳は一瞬冷めた表情をした後、スマートフォンを取り出す。だが、その時、再び、あの男の声がする。
「ダニの貴様には、話が分かりにくかったかな?」
「やめなさい、ゾルゲ」
 男の声が聞こえるのか? 確かにエリスはあの男の声と会話していた。もしかしたら、この子は何かを知っているのかもしれない。そう思ってるとエリスが口を開く。
「ごめんなさい、今の私のお供のゾルゲです。彼はこちらの世界には姿を現せなくて、でも直接脳内に語りかけてくれるので、そんなに気にしないでください。私には聞こえますし」

 ゾルゲ、確かにそのフレーズに記憶がある。だが、それはデュエルマスターズというカードゲームでの話だ。そんなことを和巳が思っているとゾルゲは言う。
「今、貴様が思った通りだ。ダニのくせに少しは頭が回るな」
「とりあえず、話は後です」
 エリスがそういうと、和巳の手を取る。そして、エリスと和巳は部屋から消えた……。