二次創作小説(紙ほか)

第1話:救世の媒体(4) ( No.7 )
日時: 2015/09/15 14:04
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: JPHNpDb7)

 和巳は気がつくと、ゲームに出てきそうな建物の一室にいた。厳かで重厚な雰囲気が流れている。
「ふむ、そなたが和巳だな」
 和巳は目の前の兜を被っている女性に声をかけられる。顔は見えないが、声や体つきが女性であることを示していた。
「む、申し遅れたな。私は《聖鎧亜クイーン・アルカディアス》。クイーンと呼んでくれ」
 そう言って先程の女性、クイーンは和巳に一礼する。クイーンとだけあって様になっており、その流麗さに和巳は息を飲む。その様子を見ていたエリスは和巳を小突き、クイーンに話の続きを促す。

「さて、ある程度は理解していると思うが、私もクリーチャーだ。さしずめ、ここはクリーチャーの住む世界といったところだな」
 クイーンは話を再開する。クリーチャーの住む世界、それはフィクションではないのか、和巳は自らのほほをつねる。しかし痛い。夢ではないのか、和巳は疑心暗鬼になる。
「まあ、飲み込むにはそれなりに自身がかかるだろう、案ずるな」
 そういうとクイーンは言葉を止める。そして、和巳を見つめてから口にする。
「まだ事態は飲み込めていないようだが、事態は一刻を争う。習うより慣れろだ。和巳、これから戦場に出てもらうぞ、その姿で戦場に向かわせられないからな」
 クイーンがそういうと同時に、和巳の周りを光が包む。光が止むと和巳は黄金の鎧と青いスカーフを身に付けていた。

「……!」
 和巳の姿を見たクイーンは驚いた様子で和巳に声をかける。
「その鎧はキングの一張羅、滅多に着ることのない取って置きだった……」
 懐かしむような声で、クイーンは鎧をまとった和巳をみている。
「似合ってますよ、和巳さん」
 和巳はエリスに声をかけられ、エリスの方を見る。いつの間に着替えたのだろうか、エリスは先程までのエプロン姿ではなく、水色のドレスを着ており、ガラスの靴を履いていた。
「あ、ありがとうな……」
 和巳はむずがゆい感情を覚えながら、エリスに返答する。その様子をみて、クイーンは咳払いののち、和巳に何かの束を渡す。
「ここはクリーチャーの住む世界、直接戦うことの出来ないそなたにはエリスとその配下の指揮をとってもらう。そなたの世界における我々のように、このデッキを使ってくれ」
 和巳がクイーンから差し出されたデッキを受けとると、そのデッキの上にエリスが手をおく。
「和巳さん、私もあなたにこのデッキやみんなを託しますから」
 エリスは和巳にそういうと、カードの姿へ変化してデッキに加わった。
「それでは出撃の刻だな、そなたのよりよい報告を待っているぞ和巳」
 刹那、和巳はクイーンによって戦場へと飛ばされたのだった。