二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.111 )
- 日時: 2016/08/11 18:28
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「——まさか君が、同い年の男の子の猛ダッシュに着いて来れただなんて」
ハリーが驚いたようにそう言った。
これ程までに凝り固まった、規則ばかりを重視する考え方のがり勉の優等生が、活発な男子二人に着いて来れるほどの運動能力があるだなんて、思いもしなかったのだ。
「言ったでしょ、校則違反は絶対止めるって」
漫画やドラマの世界で、「言っただろ、お前の悪事を絶対暴いてみせるって」とか言った類似の台詞を、ハリーは何度も聞いたことがあったが——これ程までに不快かつ、嫌な汗が背中を伝うものは初めてだ。
「だ、大体もとはトロフィー室の予定だったんだ!だからいいだろ!」
「逆に何でトロフィー室から変更したの!?トロフィー室でも十分な規則違反だけど、『禁じられた廊下』の方がもっと、もっと……凄い規則違反なのよ!貴方馬鹿なの?トロール並みよ!」
ロンがフォローのつもりで言った言葉は逆にハーマイオニーを爆発させる起爆剤となり——勿論ハリーも、ロンの言葉がどう転がったってフォローにならない事くらい分かっていたが——ロンはハーマイオニーの恐ろしい表情に「マーリンの髭!僕もう寝れないぞ!」と悲鳴を上げた。
「だ、だってマルフォイが『校則違反を恐れるのかい、ポッター、ウィーズリー……なんて情けない。勇猛果敢が聞いて呆れるね』って言ってきたから変更したんだ!ほーら、どうだ!同情の余地はあるだろう」
ロンが勝ち誇ったように笑みを浮かべると、これもまた第二の起爆剤となった。ハーマイオニーの額には青筋が浮かび、顔を真っ赤にしてぷるぷる震えている。
「——それで?挑発されて場所を変更したって、そういうわけね?ええ、貴方達の行動は決して勇猛果敢なんかじゃないわ!『無謀』よ、む・ぼ・う。今この場所を見渡して御覧なさい、何処にマルフォイがいるの?」
そう。
ハリーとロンはあの後すぐに猛ダッシュで禁じられた廊下まで向かい、ハーマイオニーも勿論着いてきたのだが——そんな三人が目にしたのは、だれ一人いない禁じられた廊下である。
「ハリー、ハーマイオニー。あんまり大きい声を出さないで、もしかしたらてっぺんハゲのいけ好かない『アイツ』がやってくるかもしれない……」
「フィルチ?」
「ああ、そうだ——ヤバい、マクゴナガルと友猫だと噂の『ミセス・ノリス』だ!フィルチの飼い猫だぞ、きっとすぐフィルチがやって来る——驚きすぎてマーリンの髭も全部抜けちまう!」
「ちょっと邪魔よ!退いて!」
ハーマイオニーが、杖を抜いた。