二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.114 )
日時: 2016/08/11 21:22
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 「『アロホモーラ』!——開いたわ、早く入って!」
 「誰かがここにいたのか?おいで」

 ——フィルチが行った。
 三人は安心してほっと胸を撫でおろし、ロンはハーマイオニーの呪文を復唱し、ハーマイオニーは「基本呪文集第七章よ」と説明した。
 
 「それどころじゃないよ二人とも……」
 「「「ぎゃあああああああああああ!」」」

 ハリーの言葉で前を向くと……目の前にはなんと、今にも三人を食べてしまいそうな、三つもの頭を持つ大犬が——足元には扉がある——三人の目の前に迫ってきている。

 「押せ、押すんだ!」
 「分かってるわよ!」

 それから三人の力を振り絞ってようやく扉を閉めると、三人は誰にも見つからないように急いで寮まで戻った。——その間、誰も一度も口を開かなかった。
 そして寮に着いた頃、ロンがまるで、「マーリンの髭がすっかり抜けきった様な」表情でこう言った。

 「一体何考えてるんだよ!?学校にあんな化け物閉じ込めておくなんて!安心して授業を受けられもしないよ!」
 「ええ、どうせ貴方はそうでなくったって授業を真面目に受けはしないでしょうけど。いったいどこを見ていたの?足元に扉があったわ。きっと何かを守っているのよ。先生方が意味もなくあんな危険な生物を黙って閉じ込めておくはずないもの」

 「君こそいったいどこを見ていたんだ!?」とロンは再びまるで「マーリンの髭がすっかり抜けきった様な」表情で悲鳴をあげ、ハリーはハーマイオニーの言葉を復唱した——「何かを守ってる?」

 「ええ、その通りよ。じゃあもう失礼していいかしら?貴方たちと付き合ってたら命を落としかねないもの。もっと悪くすれば退学よ!」

 そう言ってハーマイオニーはバタンと女子寮に続く扉を閉めた。——まるで、死ぬより退学が悪いかのような、ザ・優等生の言い分にロンはあきれたように肩をすくめ、こう言った。

 「死ぬより退学の方が悪いのかよ」
 「死を恐れないって、相当勇気がいる事だよね」

 ハリー達は男子寮に続く扉を開け、誰にも気づかれないようにそーっと忍び足でベッドまで向かった。