二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.115 )
- 日時: 2016/08/12 20:57
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
第十九話 飛行訓練術
「上がれ!」
ライリーとハーマイオニーが喧嘩してしばらく経った。ハリーが一番楽しみにしていた授業の一つである『飛行訓練術』の授業がようやく始まった。
担当の先生はマダム・フーチといって、ツンツン立った銀髪と黄色い瞳が特徴的な、厳しいけれどスネイプなんかに比べれば神様に見える先生だ。
そしてライリーは予想通り、「上がれ!」と言って箒をつかむという作業にかなり苦戦していた。ライリーの周りで箒がきちんと上がったのなんてハリーとドラコくらいだ。
ロンもライリーも上がったと言えば上がったのだが——
「イタッ!こらなにすんだよお前!」
ロンは額に箒が激突し、
「ちょちょ、ちょっとー!?どこ行くのー!」
ライリーは箒が何処かにすっ飛んで行ってしまう有様だ。
「もう君たち、何やってるんだよ」
箒を引っ掴んだハリーがニヤニヤしながら二人を見ている。くっそう、と言いながらロンは「上がってこいよー」と言ったが勿論、上がってこない。幸いにも額に激突はしなかったが、ごろごろと転がる程度だ。
「どうしてかしら!本で勉強はしたのに」
『飛行訓練術』の一週間ほど前から、熱心に図書館に通いつめ、本を読み漁っていたハーマイオニーは不貞腐れている。
こればっかりは、努力ではどうにもならないらしい。
「でもいいじゃん、ハーマイオニー。私なんかさっき吹っ飛んで行ったんだよ、マダム・フーチがいなかったら今頃……」
「あら、『アークロイドさん』、私言わなかったかしら?」
ハーマイオニーが、恐ろしい声音で言う。
「私、謝られても許すつもりないの。ネビルを通じて言ったはずよ?だから貴方に謝られても無視してたの。それでも気づかないかしら?」
「だ、だって……ハーマイオニーからは言われてないもん!」
「じゃあ今言うわ。『謝られても許さない』し、『貴方なんて大嫌い』よ。——不注意で薬を被ったのは『当然の報い』よ!」
ライリーは、さっとハーマイオニーから遠ざかった。泣くのを必死に堪える。ハーマイオニーなんて大っ嫌いだ。最低だ。もう、友達じゃない。
「ライリー、落ち着くんだ。ほら、きっと、箒で飛ぶのはとっても楽しいよ!一緒に飛ぼうよ、君が着いて来れるか分かんないけどね」
「そうだよライリー。あんなのの事なんか忘れっちまえ!第一君があんなのに拘ってた時点でマーリンの……」
「髭だよね、髭。もう、友達じゃないもん」
乾いた笑みを浮かべて、ライリーは箒を持ち直した。——だって私は悪くないもん。でも、どれだけそう自分に言い聞かせても、心の奥の方の幾つものもやもやとしたどす黒い塊は、消えなかった。
