二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.13 )
- 日時: 2016/08/29 10:22
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
第三話 魔法の目覚め
「アイリスもエドモンドも、とっても素敵な魔法使いだったわ——さっきの話で言った通り。でも、悪い魔法使いもいる……アイリス達を殺したような。でも、アイリスやエドモンドみたいに良い魔法使いもいっぱいいるの」
「でも、悪い魔法使いもいるから嫌だよ!」
「こっちと一緒よ。良い人もいれば悪い人もいる」
「でも、私魔法なんて使えない!」
ライリーは、顔を真っ赤にして怒った。『魔法』は使えたらとっても素敵だろうけど、ライリーにはそんなものは使えないし、挙句行きたくもない場所に連れていかれるなんてさらさらごめんだ——。
「いい加減にして!」
その瞬間、ライリーは自分の中に得体のしれない大きな大きな力を感じた。そして、何かが割れた音が響いたが、ライリーは気にも留めなかった。
「きゃっ!」
おばさんが悲鳴を上げ、ライリーは一瞬にして我に返った。そして、周りを見ると、——叔母さんがよく使っていた皿が割れていた。
「ライリー、貴方が『いい加減にして!』って言ったとき、割れたのよ……この皿。それでも魔法なんか使えない、って言える?」
叔母さんは、自分の指についた血を見せた。——そんなのずるい。そんな事されると、ライリーはどうしていいか分からなくなってしまう。
まるで、叔母さんの言うことを何でも聞かなきゃいけないみたいな気持ちに——小さな傷なのに、そんな気持ちになってしまうのだ。
「これから、何度もそんな事があるかもしれない。今は皿が割れるだけで、少し指を切ったくらいで済んだ。けど、もしもっと酷い事があったらどうするの?皿が割れるくらいじゃ、指を切るくらいじゃ済まないかもしれないのよ!——魔法を知らなきゃ、これから何度もこんな事があるのよ!」
ライリーの気持ちは大きく揺らいだ。怒って、また人を傷つけてしまうのは嫌だ。もしイーディスやマリアまでを傷つけてしまったらどうしよう——、そう考えて、彼女は一秒もかからないうちに決断を下した。
「行くよ、魔法界」
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.14 )
- 日時: 2016/08/29 10:34
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
それから、それを黙って見ていた叔父さんがようやく声をあげた——「そうそう、一週間後にでっかいのが来るぞ。『ふくろう便』が間に合ったからな」
ライリーが全く分からない話をしているが、ライリーはもうどうでも良かった。まだ朝ご飯も食べてないうちに、すっかり疲れてしまったのだ。
「あ、そうだライリー。アイリスとエドモンドの話をしよう」
叔父さんがニコニコとしてそう言う。分かりやすいくらいの作り笑いだ——きっと、ライリーが魔法界にもホグワーツにも行きたくないと知って落ち込んでいるのだろう。
「叔母さんから聞いたよ」
「でも学校にいる時の事は聞いてないだろ?俺は知ってるぞ」
そういえば叔父さんも魔法使いだったな、とライリーは思い出しながら頷いた。幾らファンタジー映画の中の人だって言ったって、ママもパパも、唯一無二の存在だ。家族だし、聞きたいと思うのは不自然じゃない。
「エドモンドと俺は『ハッフルパフ』っていって、凄く感じの良い仲間思いな寮に入ってた。真面目で努力家で。アイリスは『スリザリン』って言って、物凄く感じ悪いやつらが多い寮に入ってたけど、アイリスだけは良い奴だった——」
それから叔父さんは、叔母さんとは全然違う、ママとパパの話をしてくれた。けれど、叔父さんが知っているママとパパは、五年生までだった。何と叔父さんは、ホグワーツを退学処分になったらしい。
しかも、それからあまり、魔法界にも出入りはしていないとも言っていた。
「家からも追い出されたけど、それだけは嬉しかった。だってあんなスリザリン気質の家なんか——この話はやめよう。そうだ、ホグワーツの話をいっぱいしようじゃないか!」
それから叔父さんは、またいろいろな話をしてくれた。ホグワーツの寮やいろんな部屋、それから先生。ライリーはじっと聞いて、——少しだけ、魔法界の事が嫌じゃなくなった。