二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.149 )
- 日時: 2016/08/18 17:08
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「カップケーキは完成だが……問題は仮装だ」
フレッドとジョージが、珍しくパーシーの様に真面目に考え込んでいるが、何せテーマがテーマなので、やっぱりこの二人がパーシーの様になることは一生ないんだろうとライリーは思った。
「——テーマが決まれば後は『ちょちょいのちょい』なんだけどなぁ……」
「ああ、何せ屋敷しもべ妖精が全面協力してくれるんだから……」
ミニーは瞳をキラキラと輝かせて「何なりと!」と言っている。やっぱり、悪い人じゃないんだな、とライリーは思う。
しっかし、とライリーも真面目に考える——ハーマイオニーを驚かせるにはどんな仮装が一番いいだろうか。
「よーし決まった!俺とフレッドは吸血鬼!ドラキュラだ!」
「じゃあチビリーはどうすんだ?」
「セクシー系にゃん……」
「えーと、本格的に殺してやろうかジョージ」
「冗談だって、かぼちゃとかで良いんじゃないか?」
ジョージの言葉の続きは置いておくとして——かぼちゃ!?ライリーは吃驚した。だって、ハロウィンの仮装と言えばもうちょっと、もうちょーっとカッコイイのをイメージしていたのだ。
「せめてさ、せめて二人と同じ吸血鬼とか!ゴーストとか……あの、なんだっけ?『ほとんど首なしニック』とか……なんか、ご馳走の時に首ぽっきりやったらしいけどさ……」
「いやいや、ライリーがゴーストやっても迫力ないしなあ、フレッド」
「ああ。チビリーが吸血鬼やっても半ばギャグだしなあ」
そんな二人の言葉にむう、と膨れながら渋々、ライリーは『かぼちゃ』の仮装をすることにした。——確かに、吸血鬼やゴーストで笑われるよりはかぼちゃで笑われる方がマシだ。
そして暫くカップケーキの飾り付けをしたりして待っていると……とうとう出来た、何がって、勿論衣装がだ。
「おっ、良い出来栄えじゃないか!」
「イケメン吸血鬼に早変わりさ!」
「さっすがホグワーツの屋敷しもべ!」
二人は吸血鬼衣装に着替えて満足そうだったが……かぼちゃも、あまり良くは無い方の意味で、無駄に綺麗に細かく作られていた。
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.150 )
- 日時: 2016/12/04 14:55
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「……本物のかぼちゃが服着て歩いてるようにしか見えないぜ、こりゃ」
ジョージが笑いながら言う。確かに、もう少し帽子が大きければ(元々はライリーの頭がすっぽり収まるサイズだったのだが、あんまりにも本物に見えて逆に気味が悪いのでかぼちゃの帽子をフレッドが縮ませたのだ)完全に服を着たかぼちゃだ。
「しかもこの服もいい味出してるぜ。オレンジはかぼちゃで黒はハロウィンの感じが出てる。しかも良い感じの色合いだ!よーし、寮までレッツゴーさ!あっ、決まり文句は覚えてるな?」
フレッドがにやりとしてそう言ったので、ライリーたちもにやりとしてこう言った。「トリック・アンド・トリート!——悪戯もするしお菓子も寄こせ!」絶対ロンには一番酷い悪戯をしてやる、とライリーは意気込んだ。
「じゃあ行くぞ!」
それから屋敷しもべ妖精たちに何だか不思議な魔法——どうやら姿が見えなくなるらしい、ライリーは仮装の意味がないと思った——を掛けてもらい、寮まで急いだ。勿論、リー用の仮装も持って。
そして寮に着くと、談話室の椅子で寝ていたリーを、フレッドがそーっとつっつき、耳元で「おいリー、フレッドだ、今は魔法で透明になってる……今カップケーキを渡す」と言ってカップケーキを渡した。
「あ、フレッド……カップケーキも魔法にかかってるんじゃ……」
「いや、屋敷しもべが言うには人に渡すと魔法が解けるらしい。だから……ほら」
確かに、リーに透明だったカップケーキを渡すと今はきちんとカップケーキの姿が見えるようになっている。そして、リーはにやりとして親指を立てた——「解毒剤は飲んであるぜ!」
「げげげ、解毒剤って?」
「リーが渡す時、悪戯だと疑われて、『食べろ』って言われるだろ?」
「それで食べても、リーは大丈夫なようにそれを飲むんだよ」
それからリーは「自称ホグワーツ一の実況者」に見合うだけの素晴らしい大声を出して皆を集めた——大広間でもやるらしい。
「あと残りのカップケーキは持ってるな、相棒?」
「ああ勿論だぜ。これを箒に乗って大広間中にばら撒くんだからな」
二人はごつんと拳を合わせた(と言っても見えないのだが)。そして三人は、これからの計画を話しあった。
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.151 )
- 日時: 2016/08/19 11:19
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「——ハロウィンの悪戯カップケーキだって?」
「ああ。リーが配ってるらしい……多分フレッドとジョージも、一枚噛んでるぜ……いや、一枚どころか百枚だな」
大広間で、ハリーとロンはご馳走にかぶりつきながら、悪戯カップケーキに関する話をしていた。多分ライリーも仲間だ、とハリーは思った。きっと、ライリーの事だからハーマイオニーと仲直りしようとそのくらいするはずだ。
そして——ロンが大きいチキンにかぶり付いた瞬間、それは起こった。大きな花火の音が聞こえた後、カラフルな花火が大広間に入ってきたのだ。
「う、うわっ、なんだこりゃ!?ん、——間違って食べても安心百味ビーンズ味の花火、『ゾンコ』製——だって、ゾンコって、フレッドとジョージ御用達の店だぜ?こりゃあやっぱり百枚噛んでるぜ」
ロンがため息をつきながら大きいチキンにかぶりついて、それからもごもごと、こう言った。
「ハロウィンは、……ふぁふぃふぃふぇふぉ、えんふぇんふぃふぁふぁふぁふぃふぁ……ハロウィンの日は、何をしても減点されないんだ」
「へえ……だからこんなに凄い事出来ちゃうんだね」
二人が驚きながら花火を見たり食べたり——勿論二人だけではないが——していると、「イエエエエエエイヒャッホォォォ!」という声が聞こえて、大広間中が今度は何だ、という顔をした。
「ピーブズの声だ!」
「……いや、あの中にウィーズリーの双子の声も混じってたぞ!」
そして大広間に入ってきたのは——箒に乗った、吸血鬼の仮装をした双子、ピーブズ、それからかぼちゃの仮装をしたライリーだった。
「うわっ、美味しそうなカップケーキだ!」
「ぎゃあっ、辛い!?あれ、口の中で何かが爆発してる!?」
「解毒剤が欲しけりゃ俺たちにお菓子を寄こせー!」
「そうだそうだー!お菓子だお菓子だスイーツだ!ほら、ライリー」
「トリック・オア・トリートだ!」
すると、大広間中のお菓子を食べてしまった生徒達(勿論リーがあげた生徒もだ)が友達とのハロウィン用に用意していたお菓子を箒に向かって投げつけ始めた。フレッドとライリーがそれを大きな袋で回収する。
「解毒剤は!?」——誰かが叫んだ。
「うっ、うわ!?ネビル、なんでそのカップケーキを食べたんだ!君、蜘蛛になっちゃってるー!ハリー助けて、助けてくれよー」
「はっはっは、そんな簡単に解毒剤が手に入れられると思うなよ!」
ピーブズが叫んだ。——「トリック・アンド・トリート!悪戯もするしお菓子も寄こせ!だ!解毒剤が欲しかったら捕まえて見ろ」
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.152 )
- 日時: 2016/08/18 20:47
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「——ライリー、此処で離脱だな」
「ああ。行って来いよ、ミス大鍋のところに」
「いっちょドカンと噛ましてこーい!ひゃっほぉぉぉぅ!ってな!」
フレッドとジョージ、それからピーブズに背中を押され、ライリーは駆けだした。勿論、ハーマイオニーを探しに、だ。
「きっと大広間にはいないぜ——多分どっかで泣いてる。今日のロンの件、グリフィンドール内で広まってんだよ、ロンがミス大鍋とライリーを泣かせた挙句、ライリーの教科書でぶっ叩かれたってさ。あとこれ、持ってけよ。ミス大鍋に悪戯して来い」
そう言って、フレッドは何かのお菓子をライリーに渡した。
ライリーはいったん止まって、フレッドに「ありがとう」と叫んでから、ライリーはまた駆け出した。まずは部屋からだ。ハロウィン・パーティー中だからきっと、誰も部屋には戻ってないはずだ。
その途中、ライリーは銀色に透き通る幽霊らしき人——時々廊下で歩いているのを見る——にあった。
「ねえ貴方!えっと、幽霊さん?」
「ええ、可愛らしいお坊ちゃん。何ですか?」
「私、お嬢さんだよ。ハーマイオニー・グレンジャーを見なかった?」
「ああ覚えています——私に『ほとんど首なしニック』の理由を聞いた、あの利発でハキハキとした聡明なお嬢さんですね」
幽霊さんというか——『ほとんど首なしニック』ことニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿(本人はサー・ニコラスと呼びたがっている)はグリフィンドール寮憑きのゴーストで、スリザリン寮憑きのゴーストである『血みどろ男爵』(ピーブズが唯一恐れている)と仲が良い。
……という事を、サー・ニコラスの事をよく知らないライリーに、サー・ニコラス本人が簡潔に話してくれた。
「ええと……で、サー・ニコラス。ハーマイオニーが何処にいるか分かる?私、ハーマイオニーを探してるんだ。大事な用事があるから」
ライリーがやっと本題に入ると、サー・ニコラスもようやく本題に入った。
「すみません、残念ながら私は見ていないのでね……他のゴーストなら知っているかもしれません。『血みどろ男爵』ならスリザリン寮の前、——彼はあまり騒ぐのが好きじゃないもので。『太った修道士』なら大広間、『灰色のレディ』なら廊下を散歩しているかもしれません。では、貴方が用事を伝えられるように祈っています」
サー・ニコラスはそう言うと、丁寧にお辞儀をして去って行った。ライリーは「ありがとう、サー・ニコラス」と言ってまた駆け出した。
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.153 )
- 日時: 2016/09/25 15:46
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「あれ、いない……」
当てが外れ、がっくりとしながら、ライリーは自分がいつも寝たり、勉強したり、パーバティやハーマイオニー、それからラベンダーと会話したりしている部屋を見渡す。ハーマイオニーは、いない。
猫籠の中に、シュシュが丸まって寝ているだけだ。
そして不意にライリーは気が付いた。自分の机の上に、羊皮紙が何枚も置いてある。
【今日の魔法史の授業内容】
・紀元前五百年(ここに色付き羽ペンで幾つも線が引いてある)、古代ギリシアで数名の魔法使いが有名になる。
・『浮遊呪文』を作ったフルール・ガスク(テストに出ない)
・バジリスクという、非常に危険な大蛇を作り出した腐ったハーポ(重要、確実にテストに出る)
・錬金術師、黄金のギリー・・・詳細は明らかになっていない(重要!)
「ハーマイオニーの、筆跡……」
——追伸、別に私が進んでやったわけではないけれど、先生にノートをとっておけと言われたのでしているだけです。
別に私は貴方が留年しようと知ったことではないです。
やっぱり、ハーマイオニーは自分の事を考えてくれてたんだ。そう思うと、ライリーは居ても立っても居られなくなって、また泣き出した。
それから、その下にある何枚もの羊皮紙を読み始める。
「古代ギリシアで、五百年前か五千年前か五万年前に……これ絶対ロンだ。眠ったバーボが有名になる、って眠ってるのはロンだよ、絶対に……えーと、ライリーへ?」
下の方に、ロンがライリーへ向けた走り書きみたいな文があった。
——ライリーへ。泣かせてごめんなさい、パチルの双子のどっちかに怒られたんだ、言い過ぎだった。僕、ちゃんと考えて、アイツに謝ろうと思う。
勿論、ハリーも、シェーマスも、ディーンも、授業の内容を書いてくれていた。ハーマイオニー以外は全員、内容を間違えていたけれど。
それからライリーは、眠っているシュシュを起こした。シュシュなら、ハーマイオニーの行き場所を知っているかもしれない。
「シュシュ、ねえ、ハーマイオニーの居場所を知ってる?」
〈トイレ。あの子、泣く時いっつもそこだってパーバティって子が言ってた。パーバティって子は、時々励ましに行ってたらしい〉
ライリーは、部屋のドアを乱暴に閉め、今度はトイレに向かって走った。ハーマイオニーときちんと仲直りしよう、だって、ハーマイオニーみたいな友達なんて、なかなかいないんだから。