二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.160 )
日時: 2016/08/19 11:58
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

第二十五話 強盗

 四人が仲直りし、一緒に行動するようになってからというもののライリーの機嫌はうなぎ昇りだった。なりをひそめていた大食いっぷりも、今はすっかり戻り、むしろハーマイオニーに呆れられるレベルにまでなっていた。
 そして十一月、だんだん寒くなり始めるとともに、全生徒待望のクィディッチ・シーズンが到来した。

 「でも僕、箒がないんだ!」
 「学校用の箒じゃ駄目なの?貴方いっつもそれで練習してるじゃない」
 
 そして今朝、箒がないと嘆くハリーに初めての『ふくろう便』が届いた——ふくろうが荷物や手紙を届けてくれるのだ——しかも、箒だ。ライリーも何故だか見覚えがある……そうだ、ハリーがダイアゴン横丁で見惚れていたあの箒だ。
 
 「『ニンバス2000』じゃないか!」
 「うっわー、凄い綺麗な箒……でもこれじゃ掃除はできないね」
 「当たり前だよライリー……こんな立派な箒でごみを掃くだなんて、マーリンの髭さ。それにしても、すっごい……」
 「でも、誰が届けたんだろうね」
 
 ライリーが間の抜けた声でそう言うと、梟はマクゴナガル先生のもとに飛んで行った——マクゴナガル先生がにこにこと梟を撫でている——まさか、とハーマイオニーを含む全員が思った。
 
 「マクゴナガルは『クィディッチ馬鹿』だって、本当だったんだな」
 「『クィディッチ好き』ならいいけど馬鹿はやめて——マクゴナガル先生は立派な先生よ、スポーツに私情は挟まないわ」
 「生徒にとっても高価な箒を送りつけてくるけどね……あっ」

 ロンにもふくろう便が届いた。よれよれの梟が運んできた——そんなに重くはなさそうだが、まるでとびきり重い荷物を運んできたみたいに、今にも死にそうな表情をしている——〈けっ、こちとら今にも死にそうなのに働かせやがって!〉と言って梟は飛び立っていった。

 「『日刊予言者新聞』だ……ハーマイオニー、読むかい?これ、全く面白くないんだよ。ママは勉強になるって、いっつも送ってくるんだけどさ」
 「私も予言者は頼んでるの——ほら、来たわ」

 ハーマイオニーのもとにも新聞を持った梟がやって来た。ロンの時とは打って変わって、若くて健康そうな梟だ。

 〈ほんっと、飛ぶのは楽しいさ〉
 〈元気そうだもんね、さっきの梟は死にそうだったよ〉

 そんな風にライリーと梟が会話をしていると、ハーマイオニーは驚いたようにライリーを見た。「やっぱり貴方、いろんな動物と会話できるんじゃない!猫だけじゃなくって!」
 すると、ロンとハリーはよくわからないように首をかしげた。

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.161 )
日時: 2016/08/19 12:23
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 〈じゃあバイバイ、またね〉

 ライリーが梟に手を振り、梟が飛び立つと、ハーマイオニーは凄まじい速さで新聞を読み始めた。そしてあるところで眉をひそめ、「おかしいわ」と言うので、ロンが目玉焼きを口に入れたまま「何が?」と言った。

 「『グリンゴッツに強盗が入った』だそうよ……ほら!でもおかしいわ、グリンゴッツは魔法界で二番目に安全な場所なのよ、ホグワーツの次に」
 「ああ、それビルが言ってた……僕の兄貴のビルもグリンゴッツなんだよ……で、何が盗まれたんだい?ガリオン金貨何枚だ?」
 「闇の魔法使い、または魔女の仕業と思われるが、何も盗まれてはいないとグリンゴッツの小鬼は主張している。七百十三番の金庫はその日、事件の前に空になっていたらしい、だそうよ。いったい何が入っていたのかしら」

 どうでもいいニュースじゃないか、とロンはまた目玉焼きをさらにとった——「きっとすっごく大事な物が入ってたんだよ。黄金の箒とかさ」と言って自分の新聞をくしゃくしゃにした。

 「ねえライリー、僕達七百十三番金庫に行っただろ?あの時、何が入ってたんだろう……箒じゃないはずだ、きっと。すっごく小さかったから」
 「黄金のお菓子か何かじゃないかな、多分」

 ライリーは心底どうでも良さそうに記事から目を離した——いや、やっぱりどうでもよくない!「確か、この事は内密にって……」そう、何だか内緒だかそういう事をハグリッドが言っていた気がする。

 「ダンブルドア先生の手紙が、とかも」
 「ハグリッドが七百十三番金庫に行ってた、という事は——ホグワーツにあるのね、中身は。魔法界で一番安全なところに保管されるくらい大事なものって、いったいなんなのかしら……」
 「ふーん。でも僕らにはなーんにも関係ない話さ。僕らが心配するべきは今週の土曜日の、ハリーのクィディッチ初戦の事さ」

 ロンがそう言うので、ハーマイオニーは呆れたようにロンの頭を新聞でぺしりと叩いた——「もし、その強盗が攻め込んできたらどうするの」と不安そうな声音で言う。
 
 「大丈夫だって、だってここ一番安全なんでしょー?」
 「ライリーもそんなに悠長に……可能性はゼロではないのよ。まあ、ダンブルドアがいる限りは無理だけれど」
 「ほら、無理なんじゃないか」
 「可能性の話よ、可能性。まあそれに、あの三頭犬も守っているんだもの——攻め込んでもきっと奪えはしないわ、ただ不安にはなるでしょう」

 その後のライリーの「三頭犬って?」という問いに対し、三人はあの日の、真夜中の冒険をライリーに話した。

 「いいなあ、楽しそう」

 話を聞き、そんな事を言うライリーに対しハリーが、「そんなわけないよ、君もくれば分かったんだけどな。本当に」と呆れたように言った。