二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.167 )
日時: 2016/08/20 20:44
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 「あーあ、僕、行ってこなくっちゃ……」
 「行ってらっしゃい、頑張って——ブラッジャーには気を付けて、当たったら物凄く痛いって……『クィディッチ今昔』に書いてあったわ」
 「あー、図書館で読んでたやつ?あんなのより『クィディッチゲームのコツ——箒に飛び乗りスニッチを追いかけよう』の方がきっと身になるよ」

 それからロンとハーマイオニーのどっちがいいか対決が始まり、その間にハリーは競技場の選手が集まる場所に素早く向かう。どっちがいいか、なんて意見を求められたらたまったもんじゃない。

 「フレッド、ハリー、ジョージ、頑張ってね」
 「うん……でも僕、自信ないよ。もし箒から落ちちゃったら……」
 「安心しろよハリー、チビリーも安心して見とけって」 
 「ああ、俺たちは自分の役目をきっちり果たすだけだ」
 
 ライリーは若干不安げな顔でハリー達を見送った。フレッドはやはり、ライリーの頭をぐしゃぐしゃにして駆けて行った——「ほんとに、頑張ってよ!頑張らなかったら悪戯してやるから」

 「ええ——適材適所ね。この論争はこれで終わりよ、それより早くいい席をとるべきだわ。ライリー、貴方、横断幕を持っていく係でしょ?」
 「あっ、私持ってない……そうだ、シェーマスに渡したんだ」
 「何やってるんだよ君、あれが無いと僕たち、最前列に行けないじゃないか!くっそう……望遠鏡でも持ってくるべきだったよ」
 「大丈夫、席ならシェーマスがとってくれてるよ」

 そう言うと、ロンは何故か納得したような表情で頷いて「それにしても、早くいかなくっちゃ。応援歌の練習があるだろ」と言って走り出したので、ライリーとハーマイオニーも急いで走った。

 
 「——ゴー・ゴー・ウィーズリー!」
 「スーパーセーブのオリバー・ウッド!」
 「我らには〜最強シーカーのポッターが〜着いて〜い〜る〜」

 こんなの歌じゃないわ!とハーマイオニーは目を見開き、ライリーは横断幕を如何に綺麗に掲げるかに神経をとがらし、ロンは「グリフィンドール!グリフィンドール!スリザリンをぶっ倒せ!」と大声で歌っていた。

 「ネビル、『大統領』の部分が下がってるよ……あっ」
 「うわーっ……ごめんライリー、僕が手を放しちゃったから……」
 「『ウィンガーディアム・レビオーサ』」

 ロンが得意顔で落ちかけた横断幕を浮かせた。トロール事件以来、ロンはよくこの呪文を使っている。

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.168 )
日時: 2016/08/20 21:14
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 「グリフィンドールに十点!よくやったぜアンジェリーナ、どうだい今度僕と一緒にデー……」
 「お断りだわっ!」
 「リー!真面目に実況をなさい!アンジェリーナ・ジョンソンのゴールでグリフィンドールに十点です——グリフィンドールがリードしています」
 「だそうです」
  
 騒がしい実況席を見ながら、ハーマイオニーは頭を抱えた——「グリフィンドールをえこ贔屓しすぎよ、それに私情を挟みすぎだわ」
 一方、ライリーとロンは手をたたいて笑ったり、一部からは不評な応援歌を一所懸命に歌ったりしている。

 「へい、アンジーアンジー魅力的さ〜」
 「ゴー・ゴー・アンジー!」
 「……とっても分かりやすい応援歌よね、単純明快というか……」

 それからグリフィンドールとスリザリンの接戦が続き、キーパーであるオリバー・ウッドがお腹に何かのボールを食らって——ライリーにはどのボールかが見分けられなかった——倒れた頃(「オリバー奮い立て!君ならできる〜グリフィンドールッグリフィンドールッ!」)ハリーの箒がおかしくなってしまった。なんと、ハリーが今にも箒から落っこちそうなのだ。

 「どうしたんだ、あれは!?」
 「おかしい、ニンバス2000があんな風になるわけないぞ!——って、森番のルビウス・ハグリッドじゃないか!うわあ、やっぱりデッカい……」
 「ああ、俺のこたぁハグリッドって呼んでくれ。お前さんはウィーズリーの六男坊のロンだろ?話はよーく聞いちょる。それよりハリーの箒が……」
 「きっと誰かが呪いをかけているのよ!久しぶりね、ハグリッド」

 ハーマイオニーはハグリッドににっこりと笑いかけた——なんと、ライリーとの件をこっそりハグリッドに相談していたらしい。まさにこれこそ「髭」だとライリーは思った。

 「うッわー、何だアレ。スネイプと来たら目を見開いてブツブツ言ってるぜ——ハーマイオニー、あれ、何なんだい?」
 「の、呪いだわ……ええきっと……でもまさか……公明正大な……」
 
 何故かハーマイオニーがうろたえている所に——とっても場違いな生徒が一人やってきた。ドラコだ。ネビルに何かの呪いをかけてニヤニヤしながら、今度はハーマイオニーに話しかけた。

 「どうしたんだいグレンジャー——ああポッターか!アイツにも実力がなかったって事だろうな、せいぜいおごり高ぶった偉そうな英雄様、」
 「黙ってドラコ。スリザリンに友達がいないんだったらきっと、それは態度のせいだよ……」

 するとドラコは顔を真っ赤にして「ライリー、君には見えないのか!クラッブとゴイルが僕の隣にいるじゃないか!」と大声で怒鳴った。
 「友達?ゴリラのどこが」とロンはくすっと笑った。
 ——そして、ハーマイオニーはいなかった。