二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.178 )
- 日時: 2016/08/22 12:40
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「ライリー……さすがにそれは……」
「ミス大鍋の百分の一くらいの演技力しかないぜ……」
「いや、百分の一未満さ」
あまりに白々しいライリーの声を聞き、双子とリーは爆笑し(そして司書のマダム・ピンスに怒られた——彼女は図書室のマナーに厳しいのだ——)、ハーマイオニーは頭を抱えた。ハリーとロンは、困ったような面白い様な微妙な表情でライリーを見ている。
——ヤバい、これは確実に何かを隠している事がバレた。
ライリーは、自分の背中を冷や汗が伝っていくのを感じる。そこまで白々しいとは思わないが、ハーマイオニーの額の青筋や、双子とリーの爆笑、それからハリーとロンのあの表情からして、相当なものだったのだろう。
「わ、わわわ、私……図書室から出るよ、宿題終わったし」
「ええ出ましょう。宿題なら私が教えれば済む事だし」
「そうだよね、僕達もあの人について十分調べたし。あっ!」
四人で逃げようとした矢先、ロンがかなりの失言をしてしまった。ライリーは怯えた顔でハーマイオニーを見、ハリーは「あーあ」といった顔をし……ハーマイオニーは笑っていた——ホラー映画に出てきそうだ。
「うう……夢に出てきそうだよ……」
「大丈夫だよ、君はまだ夢に出てくるだけで済む。ロンなんか、もう青ざめてる。マーリンの髭が抜け切ったような表情だよ」
「もっと酷いさ……マーリンの髭が口に詰まって窒息死した様な」
そこまでか、とライリーとハリーは顔を見合わせて少し笑った——だが、少しも笑える状況ではない。目の前では、『ミス大鍋 vs 双子とリー』という熱戦が繰り広げられているのだ——筆談で(なにせ大声を出すとマダム・ピンスに怒られるのだから)。
「——この隙に僕達逃げだしても……」
「ハーマイオニーがさらに恐ろしくなるけど」
それから双子とリーは何故かハーマイオニーに恐れをなして図書室を出て行った。ハーマイオニーってすごい、とライリーは改めて実感する——ハーマイオニーなら、魔法を使わなくても相手を黙らせる事なんて簡単だろう。
「ふう、すっごく手がかかったわ。じゃあ調べるわよ!あ、ライリー。貴方は宿題ね。分からないところがあったらハリーにでも聞いて」
そう言ってハーマイオニーはまた本を探し始めた。
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.179 )
- 日時: 2016/08/22 13:04
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
それから結局本は見つからず、ライリー達は、とぼとぼと図書室を後にした。それから談話室で、ひそひそ声で(いつどこで誰が聞いているかわからないし、その情報がスネイプに漏れたら困るどころじゃないからだ)『袋の中身』を話し合っていた。
「きっとその中には『女の子にモテるようになる薬』とかが、アイタッ!ハーマイオニー、何すんだよ……だってあいつ、絶対にモテないぜ」
ハーマイオニーは額の青筋を浮かせ、ロンに「もっとマトモな意見は無いの?」と言って本の角でロンの頭を叩き——それがさっきの「アイタッ!」だ——ハリーはくすくすと笑っている。
「あの人が女の人から好かれたいって……そう思うかしら?」
「そんなんだったらさ、ちっちゃい包み紙なんかに頼るよりもまずあのベタベタ髪をなんとかしたほうがいいぜ、あれは無いって皆思ってるさ」
ハーマイオニーとロンがずっとその事で言い争いをしていると、ようやく宿題が終わったらしいライリーが足を組んでどかっとソファに座り、「君達、『スネイプ陰謀説』の解明は全く進んでいないようだね」と低い声で言う——どうやら、名探偵を気取っているらしい。
「『スネイプ陰謀説』……君、とってもナイス・ネーミングだぜ!それ、頂きだな!」
「ふっふっふ、ミスター・ウィーズリー。そう感心するでもない……私の推理はいつも天下一品——この灰色の脳細胞にお任せあれ!」
「わーお、君って脳味噌灰色なのかい?」
そんな二人の、何だか噛み合っていない会話を聞いて、ハーマイオニーは「あの二人、本気で何がしたいのかしら?」と呆れ、ハリーは「ロンにはイギリスのミステリーネタが通じないんだよ」と解説し、くすっと笑った。
「もーう!で、そこの名探偵ライリー。きちんと推理しなさいよ」
「何だい、グレンジャー君?勿論私は、嘘の中に隠された真実を暴くべく、論理的な推理を展開している……つまり、あの中にあるのは、どんなベタベタ髪でもサラサラにしてしまう液体だってね」
ハーマイオニーは再び呆れた様子で溜息をつく——だが、口許はかすかに笑っている。『グリフィンドールチームがクィディッチで勝利した時のリーをたしなめるマクゴナガル先生』に少し似ている、とハリーは思った。