二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.203 )
日時: 2016/09/04 18:24
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

第三十一話 ハーマイオニーと宿題

 「うっわー!久しぶりのマイ・ハウス!」

 ライリーは家に着くなり、庭を笑いながら走り回った。ホームシックには……あんまりならなかったけど(少なくともハーマイオニーほどじゃない)やっぱり久しぶりだから嬉しくもなる。
 それからトランクを車から降ろし、自分の部屋に久しぶりに入ってリラックスした後——ハーマイオニーからさっそく電話がかかってきた。

 「ライリー、ハーマイオニーちゃんよ!」
 「分かったおばさん、すぐ行くから!」

 そう言ってライリーはどたどたと階段を下り、受話器を取った。ハーマイオニーの声が聞こえる——「ハァイ、ライリー。宿題の事よ」
 うげっ、とライリーは思わず声を漏らした。そうだ、自分は教科書を全部ホグワーツに忘れてしまったのだ——しかも談話室に。

 「笑い者になっちゃうかも……」
 「ええそうかも。それより、宿題優先よ。『魔法薬学』なんて一番量が多いわよ。まあ、教科書を見て少し考えればいいだけだから大丈夫ね……『魔法史』……これは少し面倒ね、独自の講釈——まさかこれで羊皮紙六巻き——『変身術』はとっても素晴らしい理論に関する……」

 ライリーは思わずやめてくれと叫びそうになる。
 「薬草学」も何もかも聞きたくない!せっかくのクリスマス休暇が台無しだ——これならホグワーツに残った方がよかったかもしれない——いや、でもせっかくハーマイオニーの家に行けるんだし……ライリーは心の中で葛藤していた。

 「じゃあまた明日。『とーっても美味しいお菓子』(ハーマイオニーは此処を特に強調した)をたーくさんママが作ってくれるらしいわ」

 そう言ってハーマイオニーはがちゃりと電話を切った。案の定ライリーは、「これは絶対に行かねば!」と決意を固め、どんなお菓子を持っていこうかという事に思いを巡らせた。 
 —宿題の事はすっかり忘れて(というよりも、意図的に記憶から消し去って)。

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.204 )
日時: 2016/09/06 20:48
名前: すず (ID: 3NNM32wR)


 「お行儀よくするのよ、ライリー」
 「分かってるよ」

 久しぶりの三人の夕食の席で、クレアおばさんはマナーについてうるさく言った。——どうせずーっと一日中一緒にいたんだから今頃猫被っても意味ないのに、というのはおばさんには言わない。
 「つまり、ホグワーツではろくでもない過ごし方だったって事ね?」と言われるのが目に見えているからだ。
 ライリーは適当に返事をし、半ば無理やりにその話題を終わらせた——が。まだおじさんがいる。なんだかいろいろと聞くつもりらしい。

 「ライリー、で、その……ホグワーツの男の子というのは……」
 「フレッド&ジョージ&ロン・ウィーズリーと、シェーマス・フィネガンとネビル・ロングボトム。皆、ものすっごくいい子ばっかり」
 
 それからライリーはいろんな事を話した——フレッドとジョージがとっても面白いという事(ハロウィンの出来事は勿論、ライリーも主犯に含まれるという部分を省いて話した)や、ロンが蛙チョコの素晴らしさを教えてくれた事、シェーマスが紳士的だという事、ネビルが優しいという事などだ。

 「それからパーシーはものすっごく優等生。兄弟なのに、フレッド達と全然違うんだ——四角い眼鏡かけてさ——すっごく大鍋オタク」
 「……大鍋オタクって?モリーもアーサーもそんなんじゃなかったが」
 
 ライリーは笑いながら『大鍋の底談義』について話して聞かせた(「ええと何だっけ……ハーマイオニーの職権乱用発言からはじまったんだ」)。おじさんは大爆笑、おばさんは何だか複雑そうな顔で話を聞いていた。

 「それからスネイプ。ベタベタ髪の、鉤鼻の、育ちすぎた蝙蝠みたいな——鏡見たことないのかな——なんか、嫌いな先生」
 「あー……スネイプかぁ……俺なんか、同級生だ」
 
 おじさんは、自分が学校にいた時の事を思い出しながらスネイプの事を話してくれた。スネイプは、『ジェームズ・ポッター』という人と物凄く仲が悪かったらしい。ライリーは、その名前に何だか聞き覚えがある気がして、おじさんに尋ねた。

 「ジェームズ・ポッターって?」
 「……お前、さすがにそれくらいは……ハリーのお父さんだよ」

 ライリーはそう言われ、はっと口を押えた——ポッターだから聞き覚えがあったのか!