二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.26 )
日時: 2016/07/30 21:24
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

第八話 『マグル』

 グリンゴッツから出ると、「漏れ鍋で元気薬を一杯ひっかけてくる」と言ってハグリッドはふらふらと立ち去った。
 ライリーはお手洗いに行ってまた吐いてからハリーのもとに戻った。

 「次は『マダム・マルキンの洋裁店』に行けって。行こう、ライリー」

 そう言ってハリーはライリーを引っ張って連れて行く。手はきっちり繋がれている。「私、運動会以外で男の子と手を繋ぐなんて久しぶり」ライリーがそう言うと、ハリーは「ごめん」と言ってさっと離した。
 それから少し歩いたところに、『マダム・マルキンの洋裁店』があった。

 「でもハリー、よく場所わかったね」
 「ハグリッドが、さっきの箒の店の近くって教えてくれたから」

 たとえそんな事を言われたとしても、絶対にここまで辿り着けないであろうライリーは「でもやっぱりすごいよ」とハリーを褒めた。すると、ハリーは少し照れた様子で、「僕、あの箒に見惚れてたんだ——ニンバス2000って……だから当たり前だよ」
 それから二人は店に入ったのだが、何しろこんな所に来たことは無いので二人揃っておろおろしていると、少し貫禄のある体系のおばさんが一人ずつ案内してくれた。

 「あらあなた——ライリーちゃん?懐かしいわ!今年ホグワーツね?もうすっかり大きくなって……アイリスによく似て美人さんねぇ」

 体のいろいろな場所のサイズを測りながらおばさんはペチャクチャと喋っていた。「そういえば二週間前くらいにウィリアムを見かけたのよ——元気にしてる?ホグワーツを退学処分にされて以来あんまり見てなくって……」等とあまりにも喋るので、ライリーはすっかり遅くなってしまった。

 そうしておばさんのお喋りに全て相槌を打ち終わってからライリーが店を出ると、もうハグリッドが戻ってきていて、ハリーは仏頂面で板チョコレートを齧っていた。

 「どうしたの、ハリー」

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.27 )
日時: 2016/06/26 14:33
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 
ハリーは、洋裁店で会った少年に言われた言葉の意味について考えていた。青白い肌と、尖った顎が印象的な——プラチナブロンドの髪をオールバックにした如何にもプライドの高そうな少年だった。

 「マグルの家の者は一切入学させるべきじゃないと僕は思うね……」

 少年はその言葉を皮切りに、彼は如何に『マグル』が汚らわしくて軽蔑されるべきものかを制服の仕立てが終わるまで延々と語っていた。
 どうやら彼は魔法界の五本指に入るほどの名家の家の一人息子であるらしく、ハリーについても「君の両親は勿論魔法使いだろうね?」等と質問を繰り返した——だがそこまで礼儀のない人間でもないらしく、ハリーが「魔法使いだったみたいだけど……小さいころに死んじゃって」というとそれ以上は何も聞かなかった。

 「ハリー!……ハリー!」

 気がつくと、ライリーが心配そうに、ハリーの顔を覗き込んでいた。手には、ハリーと同じく板チョコレートがもたれているが、食べるスピードはハリーよりもよほど早く、あと少ししか残っていなかった。

 「ねえライリー、聞いてほしい事があるんだ」
 「何でも聞くよ」

 ハリーは、ライリーに洗いざらい全て話してしまった。すると、ライリーも「確かにひどいよ、その男の子」というのでハリーは「そうだろう!」と語気を強めていった。
 そして二人でその男の子について板チョコレートを齧り齧り話していると、ハグリッドが口を開いた。

 「……そんな事を言う魔法族言うたら、ロクな奴じゃねえ」
 「そうなの?」
 「ああ、そうだ。幾らマグル生まれっちゅーたって、魔法の力があるものは平等に魔法を学ぶべきだ。その男の子の言うことは、ちぃーと、差別的すぎる——それに、お前さんらはマグルの子じゃねえからな」
 「ねえハグリッド……いまさら何だけどさ……『マグル』って何?」

 ライリーがそういうと、ハグリッドは呆れた様子でこう答えた。「そりゃあ『魔法使いじゃない人間』のことだ——ウィリアムもクレアも教えてねぇだなんて、意外なこともあるもんだな」