二次創作小説(紙ほか)

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.38 )
日時: 2016/08/09 16:02
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 「じゃあ、このコンパートメントにする?」
 「うん。多分他のコンパートメントは人でいっぱいだろうし」

 それからライリーとハリーは、汽車に乗ってすぐ運よく空いていたコンパートメントに入り、手際よく荷物を置いていった。
 「僕、こんな乗り物に乗ったの初めて」、とハリーが呟いたので、ライリーも「私も」と返事をした。

 「教科書、読んだ?」
 「呪文のところだけ。なんかね、こんなのあるんだって——」

 そう言ってライリーは杖と猫籠を取り出した。それからライリーは杖を振り何かの呪文を唱えると——猫籠がふんわりと浮いた。
 シュシュが驚いたように鳴いたので、ライリーはすぐに下ろした。

 「『ウィンガーディアム・レビオーサ』浮遊せよ、って言ったんだよ」
 「『ウィンガード・レヴィオサー』?」
 「『ウィンガーディアム・レビオーサ』だよ」

 それからハリーはライリーに教えてもらって『ウィンガーディアム・レビオーサ』(浮遊呪文というらしい)をマスターした。

 「後はね——見てこれ、『アロホモーラ』だって。不法侵入できるよ」
 「不法侵入?」
 「うん。鍵を開ける呪文だって」

 それから二人がずっと『ウィンガーディアム・レビオーサ』で遊んでいると(『アロホモーラ』は試すものがなかったし、それ以上教科書を見るのは面倒だったのだ)さっきの赤毛の男の子が入ってきた。

 「ごめん、ここ入れてくれない?他に何処も空いてないんだ」
 「いいよ」——ライリーとハリーは、二人同時に答えた。
 「ありがとう……うわあ、凄いんだね。もう杖を出して魔法使ってたの?僕、教科書見たり、兄貴たちのを見て練習したんだけどさ……その、全部心配しちゃってさ……。あ、僕ロン・ウィーズリー。君たちは?」
 「僕はハリー・ポッター」
 「本当に?じゃあ……あの、アレ、あるの?」
 「アレって?」
 「……傷痕」
 
 ロンは囁くように言った。——そういえば、ハリーの額には傷跡があった気がする。それが何の傷痕なのか、ライリーは何も知らない。

 「あるよ」

 そう言ってハリーは前髪を掻き上げ、額の、稲妻型の傷を見せた(ライリーにはこれが少し傾いた『N』に見えた)。ロンは「うわあ……」と言ってその傷跡をまじまじと見た。

 「ねえ、二人とも」

 ライリーだけが、何も知らない。

 「その傷跡、何?」

 二人はあきれたように溜息をついた。

Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.39 )
日時: 2016/08/03 16:44
名前: すず (ID: 3NNM32wR)

 「でも意外だよ、君のおばさん達が君に話してないなんて——いいかい、よく聞けよ。魔法界で一番って言っても悪いって言ってもいいくらいの『悪い魔法使い』が赤ん坊だったハリーを殺そうとしたんだ。皆がそいつに殺された——凄く立派な魔法使いも、すごく強い魔法使いもだ。でも赤ん坊のハリーはあの人に殺されないどころか、あの人を打ち負かしたんだ!」
 「凄い!」ライリーは興奮してハリーに言う、「すっごい!」
 「でも覚えてないんだ」ハリーは小さな声で言った。
 「この傷痕は、その『悪い魔法使い』につけられたものなんだ」

 それからライリーはうわぁ、と言ってハリーの傷痕を見てみたり、もう一度ロンの話を思い出したりしてみたが、何だか腑に落ちないことが一つある——そうだ、『悪い魔法使い』って誰なんだ?

 「ねえロン、『悪い魔法使い』って誰?」
 「そ、そんなの!言えるわけないだろライリー……とっても怖い魔法使いなんだ。『名前を言ってはいけないあの人』とか『例のあの人』とか、部下からは『闇の帝王』とか『我が君』とか言われてるんだ……」
 「名前を言ったら殺されるわけでもないのに?」
 「そういうものじゃないんだよ」
 「『ヴォルデモート』だよ。……でもライリー、僕とハグリッドが話してた時、君もそこにいたのに——聞いてなかったの?」
 「ハリーのプレゼントで頭がいっぱいだった」

 ライリーがそう言うと、ハリーは照れたように頭を掻いた。ロンだけがなんだかあわあわとしている。きっと、ハリーが『あの人』の名前を言ったからだ。そんなに怖がらなくてもいいのに、とライリーは思う。

 「まあいいや。その事は忘れよう。それより聞いてよ、僕って本当にツイてないんだ。ビルもチャーリーもパーシーも優等生だし、双子だってあんなんだけど頭は悪くない。それにパーシーは別としても——」

 それからロンの不幸話が始まった。梟ももらえずになんの役にも立たないデブの年寄ネズミとか(ここで、ロンはとても羨ましそうに「ハリーの梟も、ライリーの猫もいいよな」と言った。)、お下がりのローブとかだと不満を漏らしつくした——それからハリーが車内販売のお菓子を買いつくすと更に凄くなった——あと、ロンはネズミを引っ掴んで呪文を試そうとした。

 「うぉっほん。お日様、雛菊、」

 その瞬間、コンパートメントの扉がガラッと開いた。