二次創作小説(紙ほか)
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.95 )
- 日時: 2016/08/10 13:51
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
それから、スネイプ先生は他にも様々な引っかけ問題——後から説明を聞くと、ライリーからすればそうとしか思えなかった——をハリーに出しては減点し、痺れを切らしたハリーが、「ハーマイオニーは分かっているようなので、そちらに聞けばどうですか」と言うとまた減点した。
「酷いよ、あれこそ職権乱用の塊だ」
「やっと覚えたのね、その言葉——いいえ、当然の報いだわ!授業中に他教科の宿題をしているなんて!それも、先生の『大事な大事な』お話し中に」
「あれが大事な話だったらまさに髭だよ」
引っかけ問題が終わると、スネイプ先生は二人ひと組で『おできを治す薬』を作るように言った。勿論ハリーはロンと、ライリーはハーマイオニーとなのだが……ハリーの事で納得のいかなかったライリーがハーマイオニーに同意を求めると、ハーマイオニーはライリーからすれば「とても酷い」言葉で反論したのだ——「当然の報い」だなんて。
「あ、ネビルだ」
何となく淀んだ雰囲気になりかけた頃、ネビルだけがそわそわとしながら周りを見渡していた。きっとペアがいないんだろう、と思ったライリーはネビルに声を掛け、ハーマイオニーに許可を取り——恐る恐るながらスネイプ先生にも許可を取り、三人組で薬を作ることになった。
「うわあ、君達がいるなら安心だね。二人とも、変身術で点を入れてたし。とっても頭が良い二人がいたら、さすがの僕も失敗はしないよ」
「煽てないでよ、凄いのはハーマイオニーだから」
照れ臭そうに、もじもじしながらライリーが言うと、ハーマイオニーはつんけんした態度で、「全く凄くなんてないわ、私。……ただ、何処かの誰かさんと違って真面目に勉強してるだけよ」と言った。
「ネビル、君は大鍋を見てて。私とハーマイオニーは、この尋常じゃない大きさの球根を、更に尋常じゃない細かさに刻んでおくから。で、大鍋の中の湯がボコボコしてきたら山嵐の針を三回に分けてから入れて。後、細かい事は教科書に書いてあるから教科書もきちんと見てね」
「針、針、針……」
ネビルは何度も何度もライリーの言葉を復唱している——ライリーはハーマイオニーにどん、と胸を張った。そして「誰かさんと同じで真面目に勉強してるからね」と言う。
するとハーマイオニーはすっかり機嫌を良くしたようで、「ええ、真面目なアークロイドさん。球根は私が刻むから貴方はネビルを手伝ってあげて」と鼻歌でも歌いだしそうな勢いで言った。
- Re: 正しい魔法使い 【ハリー・ポッター】 ( No.96 )
- 日時: 2016/08/11 21:28
- 名前: すず (ID: 3NNM32wR)
「あ、ヤバい、「『腫れ草』の膿を手袋をして取り出す」って書いてあった気がする……ちょっと取りに行ってくるね、ネビル」
「ええっ!?でも僕、君がいなくちゃ何だか見逃しちゃいそうなところが多くって、不安だよ。山嵐の針の入れ方だって三回にって……」
「大丈夫、すぐ戻ってくるから」
そう言ってライリーは、材料が置いてある棚に向かった……『腫れ草』は予想通り真ん中に置いてある。
それから、つい最近あった『薬草学』の授業でこれによく似た植物があったのを思い出して、ライリーは溜息をついた——前の授業はとっても楽しかったけど、今度からはもっとおかしな植物を育てさせられるんだろうな、と思うと憂鬱としか言いようがない。
「ネビル、取ってきたよ。大鍋の火加減はど……ネビル待って、そんな事したら大鍋が溶けちゃう!」
ネビルのもとに戻った途端、ライリーはネビルの手元を凝視し……ネビルを大鍋の前から押し退け——そして自分は動くのを忘れたまま、ぽんぽん弾むように飛び出してくる溶けかけの大鍋を見つめた。
ライリーに「少しトロい」所があると言え、さすがにこれは「少しトロい」ですまされて良いレベルの話ではない。
「ライリー貴方何やってるの!?」
そう言ってハーマイオニーが駆け寄って来る少し前か後か、ライリーは背中に激痛と火傷する様な熱さを感じた。
——薬だ、失敗した薬がかかったんだ——それはやがて腕や脚にまで広がり始め、気絶したライリーは自ら申し出たロンとハーマイオニー、それからネビルによって医務室に運ばれた。
第十七話 喧嘩
「ライリー、貴方何やってるの!?」
医務室に運ばれて半日、ホグワーツの校医である、マダム・ポンフリーのおかげで醜いおできは完治したものの、目覚めた途端に気絶した時と全く同じ言葉でライリーはハーマイオニーに怒鳴られた。
それからネビルはおろおろして謝り、ハリーとロンは「無事でよかった」とライリーの回復を純粋に祝ってくれた。
「ぼ、僕のせいだよ……ごめん。ライリーは教科書を見てってきちんと言ったのに、僕がちゃんと見なかったせいで……山嵐の針を、大鍋を火から下ろす前に入れちゃったから」
「大丈夫だよ、ネビル。私だって教科書を見ずに説明しちゃったし……ほら、物凄くカッコ悪いけど、カッコ良い所見せたくって……」
その途端、少しの間黙っていたハーマイオニーが立ち上がり、周りの皆が青ざめる様な表情で、こう言った。
「だから私、言ったのよ!きちんと教科書を読みなさいって!きちんと先生の話を聞きなさいって!」