二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方怨崎録 ( No.7 )
- 日時: 2016/02/10 18:36
- 名前: こんにゃく春風 (ID: ZgzIiRON)
05 紅魔館『内』異変 後篇
コツ…コツ…コツ
石造りの階段を下りる音が響く
物音ひとつしない静寂の中、信は地下へと進んだ。
「案外食料貯蔵庫だったりしてな……笑えんところが怖いな」
吸血鬼の食料は人間。血を吸われた人間の死体なぞあったらどうしようと思いながら地下を進み、一つの扉の前に来た。
その扉は思ったより軽く開いた。
「誰?」
誰もいないはずのその部屋から、少女の声がした。
「?!」
「誰?」
「俺は、怨崎 信だ。 お前こそ誰だ?俺の知らん奴の様だが」
「私はフランドール・スカーレット。 みんなからは、フランって呼ばれてるわ」
「どうしてこんな所にいる?」
フランは話し始めた。 自らの能力が、暴走しがちなこと。 その能力のせいで、495年も姉に閉じ込められているのだと。
「お姉さまは、いつも私を一人にするの。 おもちゃもすぐ壊れちゃうし、つまらないわ。だから、私—————」
「シンで遊ぶ!!」
そういうとフランは、自らのスペルカードで槍を出し、信に襲い掛かった。
信はそれを刀で受け止めるが、瞬間、刀にはひびが入り、今にも壊れんばかりだった。 信は刀を鞘に戻し、考える。
「(これはもう使えない。なら、どうする? 弾幕で戦うか? あるいは————)」
信は考えをまとめ、突然フランに背を向けた。 そして逃げ出した。
「ハッハー!!忘れてた!!俺にはまだ最終手段があったぜ!! これでも中学ん時のトラックの速さは38人中7位だっだんだ!! 見やがれッ!!」
そうして信は、地下を駆け回り、そのあとをフランが追いかけた。
「逃げてばっかりじゃ、つまらないわ!!」
そう言っているフランの姿が霞み四人に増えた。
「「「「ハハハハハ!!」」」」
「げっ、イエティかよ」
「「「「ベロリンマンよ」」」」
「詳しいな、おい!」
逃惑いながら、信はふと頭に浮かんだ疑問を口にした。
「お前は、なぜ逃げない。 逃げた後当てがなかったとしても、だ。
アンタにはその能力がある。俺とは———あの時の俺とは、違う」
もちろんフランは、外側にいた信を知らない。 故に意表を突いた質問であったらしく、一人に戻りつぶやいた。
「お姉さまには、逆らえない」
「なあに、俺は、お嬢に義理はない。 いざとなったら、守ってやるさ」
「ホント?」
「ああ」
「ホントにホント?」
「ああ、ホントにホントさ」
それを聞いたフランは、満面の笑みをうかべた。
そして逃げ出した
翌日
「お嬢様たいへんです!!」
咲夜がレミリアの部屋に走ってきた。 手には手紙を持っている
「なに、咲夜?読んで」
文面は、こうだった。『拝啓レミリア嬢、昨日はお世話になりました。まことに非礼とは存じますが、牢獄に閉じ込められたあなた様の妹君フランドール・スカーレット嬢を保護させてもらった次第でございます。太陽と水に負けず健やかに御成長下さいませ。
草々 怨崎信』
レミリアはあっけにとられ、叫んだ。
「なんで弱点まで知られてんのよ!!礼儀はあるくせにー!!あーもーむかつくー!!」
レミリアの叫びが、こだました。