二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方怨崎録 ( No.11 )
- 日時: 2016/02/29 16:37
- 名前: こんにゃく春風 (ID: ZgzIiRON)
07 CRIMSON BOYの来訪
その日、信は自らの剣の師、魂魄妖夢のいる白玉楼に来ていた。
剣の練習を終え、休憩しているところに早苗が駆け込んできた———という形になる。
「何かあったのか?」
「いえ————それが———紅魔館の咲夜さんが、あなたに会わせろといってきかないのです」
信は困惑した。 剣の練習の途中だったのだ。
「行っておあげなさい」
そう言ったのは彼の師魂魄妖夢だった。
「来客は待たせてはいけませんよ。咲夜さんならなおさらです」
「ああ——すまない」
そんな中、信が考えていたことは別の事だった。
「(まさか、奴め。フランを取り戻しに来たのか?)」
気になったので、早苗に聞いてみた。
「フランはどうなってる?」
「ひどく怯えていますよ。神奈子様が守ってくださっていますが」
どうもあたりらしい———と考えながら、足早に守矢神社へと駆けて行った。
「やっと来ましたね」
「(やはりか————)」
信を見る咲夜の目が前よりも鋭くなっている。
個人的な恨みか、命令か。 いずれにしても、彼を恨んでいることは確かだ。
ところが、彼女の口から出たのは、思いもよらない言葉だった。
「信、あなたに『ある人』と戦っていただきたいのです」
「は?」
そのある人と会うために、信は紅魔館へやってきた。
「その、そいつは強いのか?」
「ええ、かなり」
信とともについてきた早苗とフランをよそに、咲夜と話し始めたその時、一発の銃声が轟いた。 信は床に撃たれたその弾を見る。
「(S&W M19の357マグナム弾———外界からの拳銃がなぜこんなところに?!)」
「その顔を見ると、弾の種類まで見分けたらしいな」
どこからか、信と同じ声がする。
あたりを見回すと、大広間から別の部屋へ行くところの階段の手すりに彼は座っていた。
黒の中折れ帽にワイシャツ、タキシードのズボンと服装こそ差はあれど、ぼさぼさの茶髪、いたずらっぽく笑う目、仕草から爪の長さまでそれはまさしく——————
「俺だ————俺が、いる!」
「アンタが信っての?まあ、俺とそっくりっちゃそっくりだが、そんなことはどうでもいい」
そう言って、彼は懐から先ほどの拳銃を取り出した。
「俺と勝負して負けたら、ここから消えてもらう」