二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方怨崎録 ( No.17 )
- 日時: 2016/04/20 18:53
- 名前: こんにゃく春風 (ID: 2qFw4l..)
特別篇 異世界の探偵は依頼をこなしたい
その男の名は鍵宮 蓮と言った。
職業は探偵。最も、人気がないので依頼はほとんど来ない。
そんな彼はここ数日とても忙しそうに働いていた。
「はあ、今日も収穫なし、か」
「蓮さん、そろそろお腹もすきましたし、妖怪の山で昼食にしませんか?」
隣である事件で知り合った白狼天狗の椛が聞いてきた。
「おお、いいですねぇ! そうしましょうか」
本当はそんな場合ではなく、失踪した豊郷耳神子を探さなくてはならないのだが、今この男の頭の中からはそんなことは消えていた。
——探偵食事中——
食事を終えた蓮は、妖怪の山の景色を楽しむために、椛と別行動をとった。 前述したように、今この男の頭の中からは、失踪事件の事は消えていた。
そんな蓮に罰が当たったのか、はたまた偶然なのか、蓮は足を滑らせてしまい、谷底へと落ちて行った。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
そして落ちた先は、幻想郷だった。
なぜ自分が幻想郷にいるのかということを、蓮は考える羽目になった。
いや、幻想郷ならまだいい。 なぜ自分は妖怪の山から落ちたのに、妖怪の山にいるんだ?
自分の頭がおかしくなったということを、疑わざるを得なかった。
が、しかし今はそんなことを考えている時ではない、と自分に言い聞かせた蓮は、椛を探すべく山頂を目指した。 と、そこである看板が目に留まった。
『守矢神社 この先』
「(たしか、霊夢さんとよく異変を解決した巫女、早苗さんがいる神社もここだったな)」
そう思った蓮は、向きを変え、守矢神社に向けて歩き出した
時を同じくして、守矢神社にいた信は、向こうから妙な男がやってくるのが見えた。
「(首もとぐらいの白髪、黒いベストとスーツ、胸元には赤い紳士ネクタイ、そして、黒いズボンと靴————まっくろくろすけだな。歳は二十歳ぐらいか)」
信は一見『ヤ』の付く自由業の人間にも見えなくもない男を見ながら、信は研いでいた日本刀、冬木立を置いた。
「(ま、早苗に害をなすようなやつだったら、斬るだけさ)」
などと物騒なことを考えながら。
登ってきた男は、信に向かってこういった。
「あのすみません、私、妖怪の山にいるんですけれども」
「はぁ?」
奥にいた早苗と諏訪子、神奈子も加えて話を聞いていると、その男は足を滑らせて妖怪の山か落ちたのに、気が付いたら妖怪の山にいた、ということを言ってきた。
「よしわかった」
「信さん、何がですか?」
早苗の問いには答えずに信は黒電話のある廊下に行き、紅魔館に電話を掛けた。
「あ、メイか。執事長いるか? そうそう、あいつ。———あ、相棒か? 単刀直入に用件を言うぜ、『変な奴が来た、力を貸してほしい』」
それだけ言うと、信は電話を切り、早苗たちに向かってこういった。
「よし、紅魔館で事の真偽をはっきりさせようぜ」
紅魔館内大図書館
「なるほどなぁ」
「な、おかしいだろ?」
大図書館にいた紅に事のすべてを話した信はこう尋ねた。
「いや、そうとも言い切れんぞ。 だいたいアンタ、名前は?」
「あ、私は 鍵宮蓮と言います。 あの、信さんでしたよね? こちらの方は、御兄弟ですか?」
それを聞いた信と紅は、苦笑のような表情をした。
「あー、それはな〜」
—————少年等説明中—————
「………なるほど」
「do you understand?」
紅が見事な発音で蓮に聞いた。
「いや、正直まだわかってないです。まさか、幻想郷の隣にもう一つ幻想郷があるなんて………」
「だよな、で、俺が言いたかったのはそれだよ、兄弟」
「…………………あ、なるほど!」
信は喉のつかえがとれたような顔をしてポンと手を打った。
「「えっ、どういう事です?」」
まったくわからないという顔で、早苗と蓮が聞いた。
「つまりだな、蓮さん。アンタは別の幻想郷の人間ってわけだ」
「でも、紅さん。あなた方の話だと私のいた幻想郷はどこです?」
「パラレルワ−ルドはいくつもある。俺たちがいない世界、白麗の巫女が巫女じゃない世界————まあ、いろいろだ」
それを紅が言い終わるのを待って咲夜が言った
「あの、そろそろ帰っていただけませんか?」
その日から数日、蓮の守矢神社居候生活が始まった。