二次創作小説(紙ほか)

Re: 東方怨崎録 ( No.23 )
日時: 2016/04/05 09:17
名前: こんにゃく春風 (ID: ZgzIiRON)

13 温泉旅行に行こう! 中篇

「ホントにこんなところに温泉があるわけ?」

信のつぶやきに、早苗が胸を張って答える。

「ええ、ここ地霊殿は、幻想郷随一の温泉があるところです」

地底の———信曰く、「肌に合わない」————空気を吸う。 彼が此処の空気を嫌っているのには、いくつかの理由がある。 まず第一に、ここが初めて来た場所だということ。そして第二に、その外観。

「紅魔館と同じにおいがする」

巨大な館をしたそれは、信にとってはた迷惑の対象である紅魔館と同じ気質をもっていた。

「異変は幻想郷で起こっているのではない、紅魔館で起こっているのだ」

とは、彼が息子に伝えたジョークの一つである。それだけ、紅魔館に思い入れがあるという事でもあるが……。

「驚きました、信さんはにおいで人や物を区別するんですね」

ふふん、すごいだろう、と言いながら、信たちは地霊殿へ入って行った。

地霊殿内部

当然ながら、これだけ広いと廊下も長いわけで、その長い廊下の中で、三十分もたたないうちに、信たちは迷ってしまった。

「おーい、みんなどこだー?」

「信さ−ん、神奈子様と諏訪子様も、どこですかー?」

「おーい、信、早苗—」

と、はぐれた信たち(二十分後再会できた)の前に猫車が通りかかった。
その猫車を押しているのは、赤毛の化け猫だった。

「あ、火焔猫さん」

「火炎猫? 知り合いか? 早苗」

信の疑問に、火焔描が答えた。

「あー、うん。そちらの巫女さんとは、以前ちょいと異変で知り合ってね。——————ところでお兄さん、外来人かい? 地底でも地上でも見かけない顔だけれど」

信が自己紹介すると、火焔描は、自分の事はお燐と呼んでくれ、と言った


温泉から上がった信たちは、お燐に連れられ、大広間へと連れてこられた。

「こんにちは、初めまして。あなたが怨崎信さんですね」

そこにいたのは、ピンク色の髪をした少女だった。