二次創作小説(紙ほか)

Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.101 )
日時: 2016/03/12 14:30
名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)

シ「もうすぐ卒業式です…」

ル「出会いと別れの季節……春、良い季節だよね」

カ「ルイージさん?何かあったんですか?」




<本編>
「ふぅ…これで任務完了ですね」
澄ました顔で、地面に刺さったステッキを引っこ抜いたネル。
彼のコートには、驚く事に一切汚れていない。
その様子を、マリオ達は呆気にとられて見つめるだけだった。

「おいおい、どうすんだよ?クッパ瀕死状態だぞ?」
「ネル…なかなか危険人物じゃない?」
「嬉しいのか悲しいのか……複雑な気持ちだわ…」

というか、マリオという主人公が全く仕事していないと感じた方は多いと思いますが、気にしたら負けです…

ーーーその時…





ーーーーバタドンッ!!!





慌ただしい音を立てて、家のドアが勢いよく開いた。家の中から出てきたのは…
「あっ!やっぱり!!」
先ほどまでずっと、ヨッシーの看病をしていたカノだった。
こちらの様子を一瞥してから、慌ててこちらにダッシュしてきた。見る限り、足は意外と速い。
「カノちゃん、やっぱりってどういうーーーーーぐはっ!?」
カノは、質問するルイージをドンと跳ね飛ばして、ネルの正面でピタリと停止した。
そして、表情を変えないネルに向かって、指差しで注意した。


「ネルさんっ!勝手な行動は止めてくださいって言ったじゃないですかっ!!」

「やあカノ、無事で何よりだけど…何故ここに?」

「そんな事は後で言うから良いですよっ!!あれほど言ったのに!」
口調からして、カノはそれなりに激昂していると思われる。

「何だ?君の望みに協力してるのは私だろう?文句を言う筋合いなんて無いはずだよ」
そんなネルの一言は、どこか有無を言わさぬ迫力があった。

「……そうですけど…」

「私には私のやり方というものがあるんだ。邪魔をしないで貰えるかな?」
もし邪魔をするのであれば、君も容赦なく倒すーーー鋭い左目が、そう語っているように見えた。

「……あの、そこの大きなカメさんは?」

「え?ああ、この王国の大魔王さんらしいです。安心してください、死んではいませんから」

「…それならいいです」
そこまで言うと、カノは納得したのか、一歩下がって黙り込んだ。




「いやいや黙り込まれちゃ困るんだよ!!」
そうツッコんだのは、この数分間ずっとヒマしてた主人公、マリオだった。
「何がどうなってんのか、説明してくれないと…」
ルイージも少々遠慮がちに、マリオの背後から顔を覗かせて言った。
2人の言葉を聞いて、「ああ」とカノがネルの位置に近づいた。

「ああ、まず説明が先ですね、皆さん紹介します。彼はネルさん、この方がカノの相棒…です」
「よろしくお願いしますね」
カノに紹介されたネルは、帽子のつばに軽く右手を添え、3人に向かってお辞儀をした。
「えええええええ!?」
その事を聞いた3人は、目一杯の吃驚した声を上げた。


「カノの相棒!?こいつが!?この色んな意味での危険人物が!?」
「兄さん言い過ぎじゃない?」
「どうりで強いはずだと思ったわよ…」
ルイージとピーチ姫はともかく、マリオは2人が知り合いという事を、受け入れられていないようだ。
ある意味当たり前の事だろう。
カノとネルは、性格がまるで反対と思われるからだ。

「……とりあえず自己紹介な、俺はマリオ。この世界では知らない奴はいない程の有名人だ」
「普通自分で言うかしら?」
マリオの自意識過剰あいさつに呆れながらも、ちゃんと反応するピーチ姫。流石だと思う。
「ぼ、僕はルイージ」
「私はピーチ、キノコ王国のお姫様よ」
あとの2人も、自己紹介を簡単に終えたとき、


「あれ、みんな何やってるの?」


マリオ達の後ろから、聞きなれた声が聞こえた。
全員声のした方を振り返る。そこには、ピョンピョン跳ねて、もうすっかり元気といった様子のヨッシーがいた。
「あっヨッシー!もう具合は大丈夫なの?」
「うん、寝といて正解だったよ、おかげですっかり楽になったし。ありがとカノ!」
「えへへ…それほどでも無いですけど」
ヨッシーに褒められたカノは、照れ臭そうに頬を赤く染めて俯いた。
「ほらネル、ウチのヨッシーだ。これでも結構強いんだぞ?」
「ウチのって……」
マリオは少々メンドくさそうに、ネルにヨッシーを紹介した。
「初めまして、一応カノの相棒をさせて頂いてます…」
「ああ、よ…よろしくネル!」
丁寧なあいさつに、ヨッシーの緊張も若干だが解れた。

「何だ結構良い人じゃん」
「そう思うのは最初だけだぞ?」
「……」





「さて…カノ達はこれからどうしたらいいでしょうかね?」
しばらくして、カノが手を体の前でモジモジさせて言った。
「……そうだ、私の城に来たら?」
「おお、ピーチ姫ナイスアイデア!カノちゃん達そうしなよ!」
「……え、いいんですか?」
その言葉を聞いた瞬間、カノの目が一瞬にして輝いた。
「もちろん!こんなボロ家に泊まるよりずっと良い筈よ」
「「ボロ家とは失礼なっ!!」」
ピーチ姫のイヤミに、マリオとルイージが声を合わせて怒る。それを見て、カノがクスッと笑う。




「…それでは、お言葉に甘えさせてもらいますよ」

「決まりだな、詳しい話はそこで聞くからな」

「ありがとうございますっ!……ふふっ」

「大したおもてなしは出来ないけど…」

「イヤミかっ!!」

「よっしゃー!!ボクはひたすら食べるぞ!!」

「お前は相変わらずだなーww」

そんな賑やかな会話が飛び交う頃には、辺りは暗くなり、遠くの山から満月が顔を覗かせていた。





















その頃ーーーー


数時間前に、マリオ達のいた広場の真ん中に、大きな影が動いていた…



「だ……誰か起こしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

夜の静かな空間に、クッパの派手な咆哮が響き渡った……


第3章【完】 第4章に続く