二次創作小説(紙ほか)
- Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.114 )
- 日時: 2016/03/17 22:37
- 名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)
シ「受験校合格したぞ〜!これも読者様とカノちゃんのおかg」
マ「しつこい」
〈本編〉
3.
ーーーーバタッ!!
ピーチ城の扉を開け、ネルが青空を見上げる。
「ふむ……これは予定よりも早く落ちそうですね…」
なんて、訳の分からないような事を呟きながら。
そこにマリオ、ルイージ、ヨッシー、キノピオも駆け寄る。
4人共、表情からしてかなり振り回されているように見える。
「なぁ…雷が落ちないようにする必要があるって言われても…どうするつもりなんだよ?」
マリオが呆れ顔で質問する。「メンドくせえ、早く中入ろうぜ」そういう目だ。
「っていうか、今大体7時くらいだろ?まだ2時間も先じゃん」
その呆れた質問に、ネルが速攻で答える。
「簡単です。私の魔力を使って、城壁が電気を通さないようにすれば良いのです。
それに、準備は早い方が良いというものですよ」
「通さないように…?」
ますます意味が分からない。コイツは何を言っているんだ?
「む、簡単に説明したつもりですが…分かりづらかったですか?」
ネルの言葉に、4人は同時に首を縦に振る。
「まあいいでしょう、論より証拠です!実際にやって見せましょうかね」
そう言って、ネルが虚空にステッキをかざす。ーーその時…
ーーーニャ〜〜〜〜〜!
そう遠くない位置から、何か鳴き声らしきものが聞こえた。
「……ん?」
声のした位置は、ルイージの足元だった。
そこには黄金色の毛並みの、可愛らしい仔猫が、チョコンと座っていた。
クリッとした円らな目、ピンと立った耳、喉元に付いた小さな鈴が、コロンと音を鳴らす。
「可愛い〜〜!!」
ルイージが目を細めて、その仔猫の頭を撫でようとする。
ーー頭に触ろうと、右手を仔猫の手の上に伸ばすーーー
「気安く触るでないっ!!このマヌケな人間め!!」
つもりが、何故か仔猫にその右手を引っかかれてしまった。
ルイージの手の甲には、3本の痛々しい引っ掻き跡が残っていた。
「………!!?あ痛っ!?あとこの仔猫喋れるの…!?」
思わず引っ込めてしまうルイージ、かなりの痛みだろう。当然だ、猫に引っかかれると意外と痛い(作者談)
「フン、ワシはお前らのようなマヌケとは違い、超エリートな生物なのじゃ!その名は猫!!覚えとけ!」
「そのまんまじゃねーか…」
「むむ?何か言ったか赤ひげ?」
「いやいや何も〜?あと何でおじいちゃん口調?」
「ワシはこれでもそれなりの年寄りなのじゃ!ジジイ口調になるのは、ある意味当然じゃよ!」
「何が当然なのか……」
突如現れたその仔猫(と書いてジジイ猫)に、全員がどう接すれば良いのか分からなくなっている。
「あのー…よく見ると君…体に微電流が走っているようなんだけど?」
猫の体をまじまじと見つめ、ヨッシーがツッコんだ。
それを聞いて、マリオ達も猫の体を一身に見つめ始めた。
「ああ、これは………せ、静電気じゃよ!ホレ、猫ってよく体を丸めるじゃろ?
その時、どうしても発生してしまう静電気なんじゃよ、これは…な!」
「本当なのかな…?」
「さぁ……っていうか何で若干焦り気味なの?」
「おっと、もうすぐ雷が落ちるそうじゃな?予定よりも早く」
仔猫が急にそう言いだした。
…と同時に、何を思ったのかピーチ城に向かって大きくジャンプした。
雲行きが怪しくなり、奥の灰色の積乱雲が一瞬ビカッと激しく轟く。
「お、おい!危ないぞジジイ猫!」
「赤ひげは黙っとれぃ!」
仔猫は全く聞く耳を持っていない。マリオはやれやれといった様子で、首を横に振った。
しばらくすると、あたり一帯にゴロゴロゴロと耳をつんざくような音が鳴り響く。
それとほぼ同時に、ピーチ城の頂上めがけて、一直線にイナズマが急降下してきた。
ーーその落下地点は、あの仔猫が滞空している真上だった。
1匹のか弱い仔猫の真上に、1本の鋭いイナズマが直撃した。
あまりの爆音に、マリオ達は全員思わず耳を塞いでしまった。
一瞬の出来事だった。
ーーー数秒立って……
「おい!?何だあれ!?」
ヨッシーが驚きに溢れた声を上げた。その他のみんなも、呆気に取られて上を見上げている。
一体あそこで、何が起こっているのだろう?
雷は、間違いなく猫に直撃している。
しかし、その光を受けるにつれて、仔猫が何か力を増幅しているような…そんな感覚に見えた。
さらに数秒が立ち、雷が鳴り止んだ。一体どれだけ鳴っていただろう?
灰色だった空も、いつの間にか清々しい青空に戻っている。
仔猫が、再びネル達の前に降りてくる。
一見、特に変化はないように見えるが…実際はどうなのだろうか?
「おいジジイ猫!どうやったんだよ?!」
マリオが一目散で仔猫に駆け寄った。その質問に仔猫が答える。
「簡単じゃ、雷の力を体に取り入れて、吸収しただけじゃよ」
「余計分からないんだけど…」
「ネルの説明と同じだな」
「私と一緒にしないで頂けますか?こんな仔猫と同類にされると腹が立ちます」
「むむっ!言いよったなこの若僧!!」
「ん?何ですか?今すぐ勝負しても良いんですよ?」
「上等じゃ、やってやるぞい!!」
始まってしまった…絶対後で面倒になる言い争い。
このままでは一生やって終わらないと察し、ルイージが1人と1匹の間に割って入った。
「あーはいはい分かったよ!この話おしまい!!」
まさに一触即発だ。多少強引で無理があっても、コイツらは引き離しておいたほうがいいだろう。
ルイージは、じんじん痛む右手の感覚に耐えながら、彼らを引き離した。
その光景を見て、マリオはと言うと、
(…………)
1人、雷を吸収したという仔猫とネルを、訝しげな顔をして見つめていた。
「じゃの、ワシは仲間が待っておるもんでな、もう行くぞい」
仔猫はマリオ達に向けて、右手をよっと挙げて挨拶をした。
猫が挨拶ーーー普通の人ならば、確実に混乱に陥る状況であろうが、これまで数十年間、様々な相手と
戦ってきたマリオ達にしてみれば、このくらいでは驚かないだろう。
「お前ら、意外と面白い奴らじゃの。またどこかで会えるといいな」
仔猫はマリオ達を気に入ったらしく、そんな呑気なことを言っている。
「あ、そうじゃ、お前らちょっとそこ動くなよ」
と思えば、いきなりそんな事を言い出すので、動物の考える事は本当によく分からない。
……まぁ、人間の言葉を話せる時点で、決して普通の動物ではないのだが。
すると、仔猫は喉元にあった鈴を取り外し(というか着脱式だったのか…)、左手に取った。
それから、横に並んでいる左からネル、ルイージ、キノピオ、マリオ、ヨッシーを順に見回す。
そこから何をするかと思うと、上の順の人に向けて、鈴を鳴らしながら動かした。
何か、いろんな意味で不思議そうな顔をして。
ーーーしばらくして、
「よし、もういいぞ」
ようやく終わったのかと言わんばかりに、みんなが姿勢を崩す。
「ったく、何がやりたかったんだよ?」と、マリオが呆れて言う。
「悪かったな。暇だったんで、ちょい遊んでみたかっただけじゃ」と、仔猫が即答で応答した。
「ねぇ、君の名前は何なの?」
「よし、それじゃあワシはもう帰るからな。いい加減仲間を待たせてはいかんからの」
「無視!?」
「さらばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
という言葉を合図に、仔猫の体が電流で包まれた。先ほどの雷と同じような電流だった。
刹那、仔猫の体は一瞬にして何処にも見えなくなった。
「……なぁヨッシー」
「…何?」
「あのジジイ猫…ただの猫だと思うか?」
「いや絶対違うでしょ」
会話から察するに、彼らはあの仔猫を絶対珍獣か何かと思っているようだ。
「雷を吸収する仔猫ですか……穏やかでは無いですね」
ネルは先ほどの仔猫が気にかかっているのか、深刻な独り言(?)を呟いている。
「え?ネル、どうかしたの?」
「……いえ、あなた方には関係の無い事でしょう。さて、雷も止みましたし、もう城に戻りましょうか」
「ああ、うん……」
ヨッシーもそれが気になっていたが、すぐに諦め、結局全員揃ってピーチ城の中に戻る事になった。
だが約1名、完全には諦めていない男がいた。
(雷を吸収するジジイ猫…それをみたネルの反応…穏やかじゃ無いぜ!)
『穏やかじゃない』マリオもネルも、これをソレっぽいシーンで多用している。
流行っているのだろうか?
全員が城に戻ったところで、王国の何処かでチリンと妖艶な音色が響いた。