二次創作小説(紙ほか)
- Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.138 )
- 日時: 2016/05/04 21:14
- 名前: シロマルJr.Jr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)
シ「えーとですね…かなり間が開いてしまいました(汗)」
マ「約1週間開いたな」
ル「もう忘れられちゃったんじゃないの?」
マ「何にせよ早く書くだな」
シ「ホントのホントに頑張ります……」
<本編>
11.
クッパJr.を見つめる少年の瞳は、氷のように冷めきっていた。
その目を見ていると、こちらまでそう感じてしまいそうだ。
「聞こえなかった?大王…お前の父親…連れてきてよ」
何が何だか分からずに呆然としているクッパJr.に、少年が気だるそうに声をかける。
彼は氷河(元はマグマだったもの)の上に体育座りをしている。
これを全て彼が凍らせたのかと思うと、改めて驚愕やら呆然やら…何とも言えないような感じになる。
「あんまり待たせないでもらえる?ボクそういうの嫌いだから」
いつまでも行動しない事に痺れを切らしたのか、急に早口でハッキリ話し始めた。
その言葉を聞いて、ハッと我に返ったクッパJr.
「わ、分かったよ!今呼んでくるから待ってて」
クッパクラウンは、すっかり凍りついて使い物にならないため、トコトコ走って呼びに行く事にした。
「おとーさーん!」
無駄に大きな扉を開けて、大王の部屋に到着した。
そして、これまた変にデカイ豪華なイスの上に、この城の城主ーーークッパはずーんと座っていた。
「……どうした、息子よ?」
足を組んで肘を立てながら、クッパは息子を正面から見据えた。
「あの…何かお父さんにお客さん(?)が来てる」
クッパJr.はこれまでの経緯をクッパに伝えようと、懸命に口を動かした。
「その客とは…どんな奴なんだ?」
クッパにそう質問され、その答えを身振り手振りで表現していくクッパJr.
「えーと……黒髪で目が蒼くて、城中のマグマを氷河に変えーーーー」
ーーーーグ…バキッバキッ!!!
その言葉を発した瞬間、大王のイスの肘掛けの部分が、亀裂を立てて崩れ落ちた。
何が気に障ったのか、慎重に聞いてみようとした時……
「客には悪いが、今すぐ帰ってもらえ」
ドスの利いた声で、ゆっくりとクッパが立ち上がった。
「ワガハイのお気に入りのマグマを凍らせるなど…断じて許せん!!」
「え………ええええええええええ!!?」
そんな理由で!?ーーーと言おうとしたが、それは流石に阻まれた。
この親父は、何故かマグマへの執着心は尋常じゃないのだ。
何か余計なことを言えば、咄嗟に逆鱗に触れるのは言うまでもない。
「いいから帰ってもらえ!!」
……が、もう遅かったらしく、クッパは完全に激おこ状態になってしまったようだ。
「うわああああああ!分かったよ!」
父親の剣幕に圧倒されつつも呆れながら、クッパJr.は大王の部屋を出て行った。
さっき来た道を、クッパJr.はとぼとぼ歩いていた。
「全く…自分勝手な大王様だな、勘弁して欲しいよ……」
そう独り言を呟いたが、これで何かが進展するという事はないのは分かっている。
だが愚痴らずには居られないのだ。無論心の中で。本人の前で言ったら、間違いなく殺される。
(あーあ、こんな城なんて抜け出して、自分の自由にしたいよ……)
彼は最近、そんな事を度々口にするようになった。
やはりこれも、愚痴るだけで終わってしまうのだろう。そんな勇気は自分には無い。
そんなこんなで、広大な氷河の場所に着いた。そこには、あの少年が退屈そうに体操座りして待っていた。
彼はこちらに気付くと、おもむろにその場から立ち上がった。
オマケに凍りついて使い物にならなくなったクラウンは、まだその場に残っていた。
「遅かったじゃん……呼んで…来た?」
さっきまでの気だるそうな口調に戻っているのを確認して、結果を正直に話した。
「いや…お父さんが、今すぐ帰れって……」
ここは隠しても仕方ない。受け入れられなかった事に腹を立てるかと思いきや、
「フーン…まぁ、どんな理由か知らないけど……大王様が言うんなら…しょうがない。大人しく帰るよ…」
意外とすんなり諦めてくれた。これにはクッパJr.もホッと一息つく。
「でもね…これだけ覚えといて。ボクは『アストロール』。また来るつもりだから、その時はよろしく」
「また来るって、いつ?」
「それは分からないよ…ボクも意外と気まぐれだから……」
その言葉と同時に、アストロールと名乗る少年が氷河の上でジャンプし、そのまま宙に浮き始めた。
「とりあえず、今度来た時には…直に大王様に会えるといいな」
ふっと笑みを浮かべた刹那、アストロールはいつの間にか、そこから姿を消していた。
「…………」
さっきまでアストロールが座っていた場所には、再びマグマが轟々と熱く煮えたぎっていた。
壁や床に大王の彫刻、オマケにクッパクラウンも、元の姿に戻っていた。
「アストロールか……変わった奴だったな」
氷が溶けた石敷きの床を見つめながら、クッパJr.は1人で呟いた。
「…さて、見回りに戻るか!」
よっとクッパクラウンに乗り込み、再び城内の見回りの仕事に戻って行った。