二次創作小説(紙ほか)

Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.148 )
日時: 2016/07/01 19:49
名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)

シ「テスト週間終わったので、早速更新していきます!お待たせしました…」

マ「思ったより早かったんだな」






<本編>
13.

ジリジリと日が照りつけている、ある昼間。今も外にいる者は『ほとんど』いない。


「ウオァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


色々あって外に出たワリオとワルイージの前には、まるで某テニスプレーヤーのようにアツい青年が。
ただでさえ暑くてたまらないというのに、まるでライオンのような雄叫びをあげながら、猛スピードで
この一帯をダッシュで駆け抜けていく。
一回こちらに向かってきたのだが、すぐに向きを変えて走り始めたのだ。
そんな彼の姿を見ているだけで、首筋にドッと汗が流れてくるような感覚だ。

すると青年が、ボーっと佇んでいる2人の姿を確認して、そのままの勢いで再び彼らの方へ走ってきた。
彼が雄叫び以外で、最初に発した一言は……

「……オイ、何を寝ているんだユー達」

さっきまで猛スピードでダッシュしていた者とは思えない程、声が落ち着いていた。
ワリオ達を見ると、2人とも家の壁にもたれかかって、こくこくと居眠りをしている。

「ほら、早く起きろ。風邪引くぞ?」

そう言って青年は、寝ている2人を汗だくの両手で揺すって起こした。
流石に、こんな雲ひとつない熱帯雨林のような気候で、風邪を引くってことはないと思うが……

「ん…?な、何だ………?」

最初に目を覚ましたのはワリオ。寝ぼけ眼で上を見上げると、目の前には汗だくになった青年の顔があった。

「……うわっ!?おっ、おおおお前誰だ!?」

ワリオは驚いて、後ろに仰け反った。その反動で、頭を勢いよく家の壁にぶつけてしまった。
起きたら見ず知らずの男が汗だくで立っていたんだ。この反応をするのが妥当だろう。
しかし気を持ち直したのか、ワリオは左を向いて、ワルイージがまだ眠っているのを確認した。

「いててて…おいワルイージ、起きろ…」

いかにも寝起きの声で、こぶになった頭を押さえながら、いびきをかいて寝ているワルイージを起こす。

「お?おはよう…もう朝か」

「いやずっと朝だよ!いつまで寝てるんだユー達は!!」

時間の判別がついていないワルイージに、思わずツッコミを入れる青年。
初対面の人に、ここまで鋭いツッコミを入れさせるのだから、彼も大したものだ。
ーーーで、何で寝ていたのかというと……

「いやー悪い悪い。なんせ約2ヶ月ぶりの出番なんだぜ?その間俺たちは何をしようってんだ?
勝手に場面転換しても、読者様に迷惑掛かるしさ。仕方なくここでワルイージと寝てたってわけだよ」

「メタい話をするんじゃない!!」

「お前こそ何やってんだよ?随分汗だくだけど」

ワリオが不思議そうな表情を浮かべて、青年に質問した。

「っていうか、まずお前はどこの誰なんだ?」

そこに、ワルイージが横から口を挟んだ。
2人の質問に、青年はコホンと咳払いをして答えた。

「フッ、ミーの名は『ジェイク』。以後お見知り置き頼むぜ」

「…で、何やってたんだ?」

「そう焦るなって。ちょっとこの辺をダッシュしてただけだから」

ジェイクと名乗る青年の一言で、ワリオとワルイージの顔が完全に引きつるのが分かった。

「ちょ…ダッシュ!?しかもこのクソ暑い中でか!?」

「なるほどな、どうりで汗だくだったわけだ……」

「そうだ!!トレーニングに気候なんて関係ナッシング!!やりたい時にやりたい事をやる!!
それでいいのではないか!?分かるかユー達!!!」

ダメだこいつ、早く何とかしないと…
とは言っても、本当に何とかできるわけがないので、2人はすっかり熱が入ってしまったジェイクを、
ただ対照的に冷たく見つめるだけだった。
どうやらこの熱血お兄さんは、自分の好きな話題になると、自分の感情とかそういうものを
抑えられなくなってしまう性分らしい。

「……そういう事なら分かった………今すぐ俺たちの前から消えてくれない?さっきから見てるだけで汗が
全然止まらないんだけど」

「…!?」

「そうそう。大体何でこんな暑い日に全力ダッシュしてんの?バカなの?死ぬの?かまちょなの?」

事が何となく理解できた途端、ワリオ達は次々とジェイクに罵声を浴びせていく。
人間とは、こうも変わってしまうものなのか……

「ちょ…ちょっと待て!そんなストレートに言葉を投げつける事ないだろ!オブラートという言b」

「「ええから早よ」」

「…………ハイ」

燃え上がった熱が、一気に冷め切ってしまったようで、ジェイクはその場に座り込んでしまった。
流石に凹んだーーーかと思われたが、すぐに立ち上がり、ワリオの両手をとって何か言いたげに縋った。

「じゃあ、最後に1つだけ聞いてくれ!!」

「……何だよ?」

「……一周だけ、ミーと一緒にこの辺りをランニンg」

「「絶対嫌だ!!」」

当然、速攻で拒否された。なんて哀れな青年だろう。

「うう…ケチなオーバーオール組め…」

露骨に落ち込んで見せたが、2人の反応、回答は変わらない。
むしろ「だからどうした?」というような反応しかしないだろう。

「トレーニングの良さが分からない不届き者め!もういい、ミーだけで行ってくる!!」

「「…行ってらー」」

「………オイッ!ちょっとは止めに来てくれよ!!」

「メンドくせー奴だな。結局どうして欲しいんだよ?」

「……だがユー達のそんな所、嫌いではない。また近いうちに会える事を期待しているぞ!!」

そう言い残して、ジェイクはまた雄叫びを上げながら、猛ダッシュを始めた。
ひときわ目立つその声は、数秒後に聞こえなくなり、数十秒後には姿すら見えなくなってしまった。
先程までかなりのハイペースで走っていたというのに、彼の体力はどうなっているのだろうか?

「……夏には会いたくねーよな」

「ああ、まさに今だよな…」

「さ、早く部屋に入ってアイスでも食おうぜ?確かちょうど2本残ってたよな?」

「何かさ、あいつがいなくなってから急に涼しくなった気がするんだけど?」

「そうだな、気のせい……じゃねーだろうな」

こうしてワリオとワルイージは、テンションの上下が激しい熱血お兄さんと別れて、
家の中でのんびりと過ごした。
ピーチ城で過ごしていたマリオ達も、同じように時間を費やした。




ーーーこの先、彼らの想像を絶するとんでもない試練が、降りかかるという事も知らずに…………


第4章【完】第5章に続く