二次創作小説(紙ほか)
- Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.152 )
- 日時: 2016/07/03 17:05
- 名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)
シ「部活疲れた〜」
マ「お疲れ、じゃあそこからダッシュ50本だ!!」
シ「お前は鬼かっ!!」
<本編>
第5章、カノとコロコ村
1.
翌朝。
ヨッシーがいつも通り、眠そうに目をこすりながら、城外に出て朝刊を取りに行っていた。
「うーん、何かハッキリしない天気だなぁ…この前は雷とか強風で、昨日はまるで熱帯みたいな暑さ…
今の季節が何なのか、本当に分からなくなってくるよ…」
なんてことを言っているヨッシー。大きなあくびと共にポストの蓋を開け、朝刊を取り出した。
…ちなみにここでの今の季節は『冬』である。勘違いなさらないように。
ヨッシーはというと、やはり内容が気になるのか、軽く新聞を開いて中身を確認していた。
「あれ?また見出しに何か大きく書いてある、なになに?」
ヨッシーが覗き込んだ面には、紙一面に大きく目立つようにして、こう書いてあった。
〜ついに動いた『マジカル*マスターズ』!手始めにコロコ村を襲撃!?〜
「マジカル*マスターズ?……どこかで聞いたような気がする…」
ヨッシーは新聞を持ったまま、腕組みをして思い出そうとした。そして…
「あっ、そうだ!こないだの新聞にも出てきた、正体不明の組織の名前だ!」
すぐに思い出したようで、ポンと手を叩いて満足そうな表情をした。
そんなに嬉しかったのか、ヨッシーは飛び跳ねながら城へと戻っていった。
肝心の内容は、すっぽり頭から抜けてしまったようだが…
「みんなー!今日も新聞取ってきてあげたよー!!」
扉をバンと押し開けて、ハイテンショーン★状態のヨッシーが、大広間に飛び込んできた。
もうみんな起きてきているようだ。寝坊助で有名なマリオですら、シャキッとした顔で下りてきている。
「何だ何だ?随分とテンション高いんだなヨッシー?精神科行くか?」
「別にどこも変じゃないから!正常だから!!」
「何にせよ早く病院行け。恐竜のくせに、そんなマリモみたいな色になっちまっt」
「ボクもともとマリモ色だからね!?」
「マリモ色って何!?」
今日もマリオ達のボケ・ツッコミには、いつもと変わらないキレが生じている。
ルイージ・ピーチ姫・キノピオは、そんな彼らを微笑ましく見つめていた。
「兄さん達、今日も元気だね」
「ええ。2人とも楽しそうで何よりだわ」
「あの2人を見てると、何故か分かりませんが安心するんですよね…」
最近では定番となっているらしく、誰1人あの1人と一頭を止めようとはしない。
いわばあれが、皆にとっての目覚まし時計といったところなのだろう。
その様子を、少し離れたところで見ていたネルは、
「カノ…『あの事』は彼らに伝えなくていいのかい?」
机に頬杖をついて、近くのイスに座っていたカノに、何やら念を押すようにして言葉をかけた。
カノはネルの方を向かずに、軽く両目を閉じて答えた。
「いいんです。カノに何があろうと、あの人達には関係ありませんから」
「……でも、いつかは話しておいた方がいいと思うよ?それなりに世話になってるだろ?」
「………」
カノは黙りこくっている。ネルは構わず話を続けた。
「部外者である私が言える事ではないが…どうしても望みを叶えたいのなら、2人だけじゃ不可能なんだ。
私達に協力してくれる仲間が必要となってくる……これはいいかな?」
カノはまだ俯いたままだ。ネルはさらに続ける。
「そういった仲間のうちでは、互いに信用しなければならないだろう?
信用してもらうには、君自身の事をよく知ってもらわなければならない。例えばーーーー」
そこまで話すと、ネルは若干言葉を詰まらせた。彼にとってもいいづらい事なのだろう。
少しして、ネルの口から重々しく言葉が出てきた。
「君の…………ご両親の事とかね…」
ご両親ーーーーその単語を聞いた途端、カノの表情が変わった。
カノは首から提げていたペンダントを、そっと右手に取り、それを長い時間じっと見つめていた。
そのまま黙りこくっていたが、やがて
「…新聞取ってきますね」
と言って立ち上がり、ネルの元を離れていった。
表情はよく見えなかったが、彼女が今どんな顔をしていたが、ネルには何となく想像がついていた。
(少し、単刀直入に言い過ぎましたかね…)
ネルは話を持ちかけてから、少し後悔していた。
一方、
「だいたいお前、何が『取ってきてあげたよー!』だ!何でそんなに恩着せがましいんだよ!」
「マリオに言われたくないね!いつもボクに乗って旅してるけど、クリボー1体倒しただけで何を
偉そうにしてるのさ!」
「お前に喰われるクリボー達がかわいそうだわ!!」
「かわいそうって何だよ!目の前に食料があるから、ついつい食べちゃうんだよ!」
「ごちそう感覚で話してんじゃねーよ!?」
マリオとヨッシーの言い合いは、まだまだ続いていた。
さっきの新聞の話からブレまくっているが、とにかく長く続いていた。
「兄さん達、飽きないね〜」
「一体何でそんなに話す事があるのかしらね〜?」
「見てて楽しいから、全然いいですけどね〜」
ルイージ達も彼らの論争を、依然にこやかに見守り続けている。
止めない彼らも彼らなのだが……
「まぁいいや、とりあえず新聞読むから、貸せ!」
「あっ!いきなり奪うなよ!この人でなし!」
「何だよマリモ野郎、たかが新聞で!読み終わったら返すから待ってろマリモ」
そう言うなりマリオが、ヨッシーの手から新聞を奪い取った。
その手から、ふっと新聞が別の誰かに奪われる。その誰かとはーーー
「新聞ありがとうございます、マリモさん……あっ」
その誰かが発したその一言で、その場が鋭く凍りついた。
「ま…マリモ?」
「何?どうしたの?何でマリモ?……カノちゃん」
当然みんなは、突如発せられた爆弾に戸惑っている様子である。そして、その人物に視線を向ける。
そこにはーーー恥ずかしさで顔を真っ赤に染めたカノが立っていた。