二次創作小説(紙ほか)

Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.66 )
日時: 2016/02/12 17:08
名前: シロマルJr. (ID: .DwXlVdY)

8.
「やいクッパ!ピーチ姫を返せ!!」
マリオ達が足を踏み入れた目の前には、鉄の檻に囲まれたカゴに閉じ込められたピーチ姫だった。
そして、それを片手で軽々と持ち上げているクッパの姿。
オマケに、そこはなぜかクッパ城の屋上。 冬の冷たい風がびゅうと吹き荒れる。
「……おおおおおおおおおおおおおおお!??寒っ!!」
あまりにも冷たい風に、マリオがその場にうずくまってしまった。
「グハハハハハ!!ピーチ姫を助けたければ、ワガハイと勝負しろ!!」
「無駄だよクッパ。兄さんは寒い時、ほとんど何も聞こえないみたいだ…最近聞いたんだけど」
「…はひ?」
予想外の事実に、クッパは思わず情けない声をあげてしまう。
しかし、懸命に気をとりなおし、
「と、とにかくだ!ピーチ姫を返して欲しければ、ワガハイと戦え!!」
大声で叫んで脅しをかけた。
「お前らが助けないと、ピーチ姫は永遠にこのカゴの中だ。一生ワガハイと一緒にいるのだ!!」
「助けてみんな!!」
ピーチ姫が檻をガシャガシャ揺らしながら、必死で訴える。
一生クッパと一緒というのは、やはり誰でも嫌なものなんだろう。
「そ、それは大変だな!お前ら、ピーチ姫を救出するぞ!!」
「おーーーーっ!!」
さすがに危機感を感じたのか、マリオが仲間達に勢いよく呼びかけた。

しかし、今の状況を冷静に分析してみよう。

ーーまず、アイテムが皆無。つまり、完全に丸腰状態。
ーー次に、ゲームをプレイしている人は分かると思うが、例のスイッチがどこにもない。
ーーオマケにこの寒さ。とてもじゃないが、戦うのに万全な体制ではなかった。
こんな状態で、どうやってこのトゲトゲタートルに勝てというのか?


「…うん、ムリだな」
マリオが不意に発したその言葉は、その場の全員を凍りつかせた。色々な意味で。


「…な、何でまたそんな事を……」
ヨッシーの渋々といった質問に、マリオはこう即答する。
「だってよー、クッパを落とすスイッチはないわ、アイテムも誰かさんに食われたせいで皆無だわ、オマケに
この寒さだぜ?こんなんで戦えるかってんだ!!」
言ってることはもっともなんだが、わざわざ口に出す事じゃないと思うのは、みんなの共通意見だった。
「…いや、ワガハイと勝ーー」
「そのうちな。悪いピーチ姫、また後で助けに来るから」
「いやいやいや、何言ってるの!?」
カゴの中で、ピーチ姫が慌てふためいている。その横で、クッパが目を見開いて固まっていた。
「…まあ、そういう事なら仕方ないな。みんなボクに乗って!すぐに送ってあげるから」
「いいぞヨッシー!いざマイホームへ!!」
「…ピーチ姫、絶対に助けますから!…ウッウッ」
「ごめんピーチ姫。そういう事らしいから、また後で来るよ」
「丸め込まれてんじゃないわよ!!ちょ、助けに来なさいよ!!」
檻をガシャガシャ揺らして、ピーチ姫が絶叫している。無理もないだろう。
自分を助けに来た救世主が、突然自分を置いて帰ろうと言い出してるのだから。
「みんなしっかり掴まっててね!」
「OKヨッシー、行っていいぜ!」
そして、ヨッシーが足をばたつかせると宙に浮き、やがてクッパ城を飛び立っていった。
そのまま救世主達は、クッパ城からみるみる遠ざかっていった。

「……ど、どうなっとるんだ…」
ワケが分からなすぎる展開に、クッパが目を点にして愕然としていた。
「あいつら…覚えておきなさいよ…!」

ーーーーガシャガシャ、ドガッ!!

置いて行かれたピーチ姫はというと、できるだけ全力で躊躇なく、カゴの檻をガシャガシャ揺らしながら、
檻を思いっきり蹴りつけた。
その光景を、さっきからずっと見ていたクッパJr.が、ガタガタ怯えていた。
「これって…もしかして見ちゃいけないものだった…?」



















ーーその頃、

ーーーーたったったったったったった…
??「はあっ、はあっ…」
キノコ王国のどこかで、何者かが慌ただしく森の中を疾走していた。
??「…これで…多分大丈夫……」
その"少女"は、息を切らしながら後ろを確認し、走るのをやめた。まるで何かに追われているかのように。
??「早く…を……に…を見つけないと…あの5人の……が来る前に…」

早く見つけないと…あいつらに対抗できる戦士達を……。






これからキノコ王国には、まだまだ一波乱ありそうだ……。