二次創作小説(紙ほか)

Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.82 )
日時: 2016/02/12 17:17
名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: .DwXlVdY)

4.
「さて、そうは言ってもどうしようかな?」
そう、問題はそこなのだ。どうやってキノピオの地獄料理を回避させるか。
しっかり計画しないと色々マズイが、時間をかけすぎて料理が完成してしまってもマズイ。
「まったく思いつかん…」
「僕もだよ。兄さんは何か案ある?」
「悪い、何も思いつかないんだよなぁ〜。くそっ、早く考えねぇと!」
彼らが悪戦苦闘している傍ら、先ほど連れてきた少女はまだスヤスヤ眠っている。
未だ起きる気配はない。マリオは我慢の限界に達していた。
「コイツは何をこんなに呑気に寝てんだよ…叩き起こしてやる!!」
「患者には優しく兄さん!あとそれじゃ意味なくなるから、ね!?」
「患者って…」
完全に八つ当たりである。理不尽とは、まさにこういうことを言うのだろう。
「そもそも、ヨッシーが雪玉をコイツにぶつけるからいけないんだろーが!!」
「まだ言うか!あれはマリオが先に当たったんだろ!?」
「先に投げ始めたのはヨッシーだろ?」
「ボクは悪くない!だから絶対に謝らないぞ!」
「何を〜!?」
「2人共いい加減にして!!何か対策考えてよ!!」
「あーもうイライラするっ!!全部当たったコイツのせいだよ!ハイ決定!!」
そしてこの八つ当たりである。
始めからこうやって八つ当たりされる運命にあったとなると、少女が気の毒に思えてしょうがない。
「みなさんうるさいです!!彼女が起きてしまうじゃないですかっ!もっとボリューム下げてください!」
「……ごめんなさーい…」
3人は、揃えて頭を下げて謝った。本人に知られてしまってはどうしようもない。







ーーそして、みんなであれこれ考えること、約20分間。







「さて、お待たせしました〜!キノピオ特製キノコスープですよー!」
「完成しちまったじゃねーかっ!!」
結局文句ばかりが飛び交い、意見はこれっぽっちも出てこなかった。
キッチンから、キノピオがお盆にスープカップを4つ乗せて歩いてくる。
「えっ…と?何で4つも?」
ルイージの質問に、キノピオが即答する。
「ああ、思ったより多く作ってしまったので、マリオさん達の分もどうぞ!」
(…いや、いらないんですが……)
どうしてこうなってしまったのだろう?
(一生恨んでやるキノコめ…)
心でひっそりと怨念を込めたのは、ヨッシーだった。
キノピオはというと、少女の寝ている近くのテーブルに、1つのカップをコトリと置いたところである。
「このスープ飲んで、元気になってくださいね」
(ひどくなるわ!!)
こちらも、万丈一致の考えだった。
ルンルンのキノピオと裏腹に、マリオ、ルイージ、ヨッシーの3人は、ガックリと肩を落としている。
少女の顔は、何か申し訳ない気持ちになって、見ることができない。
「い、いやまだだ!!作ってしまったのはしょうがない!!
この子に食べさせなければいいだけだよ!!」
「そ、そうだなルイージよく言った!それじゃ、今度は手遅れにならないようにーー」
「ふーふーふーふーふー…コクッコクッ…」
「…って、あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」
少女はいつの間にか目を覚ましており、キノピオ特製キノコスープを、カップを両手で持ち、
肩をすくめてふーふーしながら、一口、一口ずつ飲んでいた。
「マ…マリオ、どうしよ……う?」
「ああ…ご冥福をお祈りします。アーメン」
「勝手に殺さないであげて!?」
「死ぬほどマズいだろ?」
「まあ…それはね……」
その様子を、キノピオはと机に肘ついてらんらんと、3人は、どんよりとした表情で見つめていた。
しかし、スープを飲み終わった少女が発した言葉は、約3名の予想を綺麗に裏切るものだった。
「……美味しい!」
「…は、ハイ?」
信じられなかった。まさかアイツの料理を美味しいと言える人間が、この世にいたなんて…
「…これ、すごく美味しいです!すっかり元気になりました!ありがとうございました!」
「そうですか!良かったです!何せボクの特製キノコスープですからね!」
その言葉を聞いて、キノピオは満足そうに頷いた。ーー3人はというと、
「ほ、本当に大丈夫?遅効性とか無いよね?」
「…っていうか、カップ見てみろよ、一滴も残ってないぜ!」
「ってことは、もしかして本当に美味しいスープなのかも!?」
「キノピオ…お前料理練習したのか?」
「練習なんてしてませんよ!全部ボクの才能です(ドヤァ)」
ーーー何を言っているんだこいつは…
正月に散々ビーフジャーキー雑煮食わせといて、よく堂々と才能なんて言えるな?
頭のソレぶんどってやろうか?
「ねぇ、ちょっとボクも飲んでみていい?」
ヨッシーが、一時は露骨に避けていたカップを右手に持って、スープをご馳走になろうとしている。
「確かに、今回はちょっと期待できるかも。僕たちも飲んでみようよ!」
「…そうだな、やっぱ試してみるか」
そう言って、マリオとルイージもカップを持って、無言で乾杯をした。
ーーーー何の乾杯だよ?

「いただきまーーーーーーーーーーーす!!」
ヨッシーがキノコスープを勢いよく口に流し込む。
「・・・!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、ヨッシーの口の中を、何とも形容しがたい感覚が襲う。
「義sbしぇげふあほうほjhskんkじじょ9\:;)/&:!!」
もはや何を言っているのか全く聞き取れないが、超絶ヤバいになってるのは、もはや疑いようが無い。

「………………………」

しばらくして、ヨッシーの拒絶反応は治まった。身体中がピリピリと痙攣しているのがわかる。
マリオとルイージの2人は、無言でそっとカップをお盆に置き直したのだった…。
少女が元気になるまで、約30分。
ヨッシーはその後、約3時間動くことはなかった。