二次創作小説(紙ほか)

Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.96 )
日時: 2016/02/20 22:40
名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: .DwXlVdY)

シ「放てっ、僕のスターライト!!!」

マ「やめな厨二病」




8.


ーーさて、皆様もご一緒に考えてみてください。

つい先程始まった『大魔王vs謎の黒少年』の白熱(?)バトル。


ーー皆様は……どちらが勝つと思いますか?








〈本編〉
そうは言ってみたものの、目の前の壮絶な光景に、その場の全員は完全に目を丸くしていた。
何と、勝負は全くの互角。お互い一進一退の攻防戦。

安定&抜群のパワーで圧倒する大魔王、クッパ。
対して、あの動きづらそうなコートでよくもと思うほど俊敏な黒少年、ネル。

どちらが勝っても、全くおかしくないような、まさに"接戦"だった。



「兄さん…この勝負、どっちが勝つと思う?」
「お前さぁ…上と同じようなこと言うのやめろ?そういうの使い回しっていうんだぜ」
その戦いを隅で観戦していたマリオとルイージは、ピーチ姫の事よりも、勝敗が気になって仕方ないようだ。
「マリオ、あなたあのネルって人に、この戦いを目に焼き付けておくようにって言われたんでしょ?
ちゃんと見てなくていいの?」
ルイージの背後で、ピーチ姫が心配そうにマリオに声をかける。
「そ、そうだったな。悪いルイージ、ここからは集中して見させてくれ」
「あ…うん」
そう言ってマリオは、ネルのいる方に視線を移す。ルイージも、その戦いの様子をじっと見つめていた。



さて、勝負は相変わらず白熱としている。

「フッ………なかなかやるではないか小僧」
クッパが、砂ぼこりと共に地面スレスレにパンチを繰り出しながら言った。

「そちらこそ…ただの悪人というわけではないようですね」
そのパンチをジャンプで避けながら、ネルが返答する。

刹那、ネルが1本のステッキを地面に力強くつく。
その反動を利用して、ネルが華麗にクッパの頭上にザッと跳び上がる。
そしてそこから、もう片方のステッキの先を、クッパの脳天めがけてつき下ろす。
クッパは怯むことなく、ステッキの動きをよく見て攻撃をかわす。
ネルが着地すると同時に、クッパが勢いよく右手を振り上げて掴みかかろうとする。
しかし、ネルも負けじとステッキでクッパの右手を払う。

やがてクッパの手、ネルのステッキが噛み合って、組み手状態となった。
見事に力がつり合っているのか、両者一向に動きが変わる気配がない。
すると、いきなり何を思ったのか、ネルが1本のステッキを左手から右手に持ち替え、
「ふぅ…少し疲れましたね……」
そんな事を言いながら、左手を軽くほぐすような仕草をとった。

この間にできた若干のスキを、クッパは見逃さなかった。

「グハハハハハハハ!スキを見せたな小僧!!この勝負…ワガハイの勝ちだ!!」
すぐさま組み手状態を解き、重量級の巨大カメが、夕空に高くジャンプした。
そのまま、ネルめがけて一直線に素早く急降下する。
「……おっと!」
ネルも警戒を怠っていたらしく、驚きを隠せないといった表情で、降下してくるクッパを見上げる。
ーーその瞬間



ーーーズドオオオオオオオオオオオオオオオオオン……!




心の底まで響くような地響きを立てて、クッパが着地した。
地面は、クッパの全身の半分くらいめり込んでいて、辺りには砂埃も舞っている。
あれほどの巨体でモロに衝撃を受けては、ネルもひとたまりもないだろう。

……一瞬の出来事だった。マリオをはじめ、その場の全員がひどく吃驚していた。


「フ…フハハハッハハハハハハハハハ!!残念だったな小僧!!
こういった勝負では、一瞬のスキが勝負を決めるというのはよく聞く話だろ?
ワガハイは、そこにいる男との長年の戦いを経て、それをよーーーく学んだのだ」
クッパはその場所を退くことなく、下に埋もれているであろうネルに呼びかけた。
「ワガハイのパワーと、この1トン近くある体重を組み合わせれば、恐れるものなど何もない」
「自分で言うんだな…」
マリオが呆れてツッコむ。そんな状況ではないと分かっていたが、反射的に口が動いてしまった。
「もっと余裕を持って戦いを挑むべきだった…ま、今更遅いがな……」
動くはずのない自分の真下にいる人物に、叶わないであろうアドバイスを送る。
「ネル…死んじゃったのかな?」
「分からねぇ……」
一瞬すぎた状況に、マリオとルイージがどよめいている。
「そんな……私がこんな奴にさらわれたせいで…」
ピーチ姫が両手を目の位置に当てて、すすり泣いている。
2人は、かつてない罪悪感を感じている姫様に、言葉をかけられずにいた。
ーーその時……


「………む?何だかワガハイの腹に違和感が…気のせいか?」


クッパは今この瞬間から、自分の腹に妙な違和感を感じていた。
そう…まるで何者かにガッチリと掴まれているかのように……


「……!!まさかーー」

クッパが言い終わらないうちに、真下の地面が大きく崩れる。
同時に、クッパの体が宙に浮き始めた。








「どうしました大魔王さん?パワーと重量が自慢ではなかったのですか?」







どこからか、潰されたはずのネルの声が聞こえる。姿は見当たらないが。
「あっ、兄さんあれ!!」
ルイージの指差す方を見ると、そこには誰もが信じがたい情景が広がっていた。


クッパは宙に浮いたのではない。腹を掴まれて何者かに持ち上げられていたのだ。
その腹を片手で掴んで持ち上げている人物というのはーーーー他でもないネルだった。


「な、何だこれは…あいつ、さっきクッパに押しつぶされたはずなのに…」
マリオが目を見開いて吃驚している。
「どうなってるのクッパ?説明して!!」
「わ、分からん…急に腹に変な感じがしたと思って、気づいたらこうして持ち上げられていたのだ…」
ピーチ姫が涙を拭いて、クッパに質問するが、当然答えるのは難しいだろう。

1トン近くの怪物を片手で持ち上げる。
これはまさに、常人には不可能と言っていい芸当なのだから…
…それも、半分地面に埋まったまま。


「遊びの時間は終わりです、覚悟してくださいっ!!」


そう言うなり、ネルはその状態のままクッパを、夕空高く投げ飛ばした。
「うわっ、な…何をする気だ!?」
クッパはただ、ネルの力に任せて飛ばされるしかなかった。

「さて、そろそろ私の本気を見せましょうかね……」
そう言って、すっかり埋まっている自分の足を、地上に戻した。
彼が右手の人差し指と中指の間に挟んだのは………"JOKER"と書かれたトランプだった。