二次創作小説(紙ほか)
- Re: マリオとマジカル*マスターズ【白と黒の訪問者】 ( No.97 )
- 日時: 2016/02/21 00:28
- 名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: .DwXlVdY)
シ「さて、唐突ですが…右手首にヒビが入ってしまいました…」
全「何やってんだ馬鹿野郎!!」
シ「ですので、今まで以上に更新が遅くなるかもしれません…」
マ「まあ……頑張れや」
〈本編〉
9.
ーーードオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
「ふあっ!?」
突如響き渡る轟音に、思わず奇声をあげてしまうカノ。
床が、というか家全体が震え、手に積み重なっていた皿が、カシャンと音を立てて一瞬舞い上がる。
「危ないっ!!」
ーーが、その皿の一枚一枚を、赤い紐状の物体がすくい上げる。
無論、ヨッシーが舌を伸ばして皿をキャッチしたのだ。
「…ふぅ、危なかったです、ありがとうございます」
ちょっと前に起きてから、すっかり元気になったヨッシーに、カノがぺこりと頭を下げる。
「いや〜、さっきからずっと外が騒がしいから、目が冴えちゃったんだよ。多分ね」
ヨッシーがあくびをしながらそう言い、すくった皿をテーブルに置いていく。
「本当何なんだろうね?迷惑極まりないんだけど」
皿を全部テーブルに置いたところで、ヨッシーがぼやきながら迷惑そうに頭をかく。
「…といっても、カノには何かしらの心当たりはあるんですけどね…」
苦笑しながら言うカノを、不思議そうに見るヨッシー。
「…え?どういう事?」
「そういう事ですよ」
「………?」
「さ、気になりますが、カノ達にはこの家の家事という使命がありますから、先やっちゃいましょう!」
「使命って…」
「あれ?忍びの任務って言った方が良かったですか?」
「いやボクら忍びじゃないし、そもそも使命とかそんなんじゃないと思う……」
こちらもこちらで、何気に楽しそうにしているし、まぁ良しとしよう。
一方こちらは、激闘の真っ最中。
「ぐっ……おい小僧!いい加減降ろせ!!」
空中に浮き上がった約1キロのクッパは、何故かまだ手足をジタバタさせたまま、一向に降りてこない。
「ネルの本気って…一体どんな技見せるんだ?」
主人公なのに完全にモブ化しているマリオが、虚空を見つめて呟く。
「すごい…まさかこんなにクッパが押されてるなんて…」
その横でルイージも言う。まぁコイツは普通にモブ役みたいなものなんだが。
「さてと…いきますよ大魔王さん!」
クッパを押しているネルが、左目をキラリと鋭く光らせた。
すると何を思ったのか、突如"JOKER"のトランプを、クッパの方向に一直線に投げつけた。
「…む……?何だこれは?…トランプ?」
トランプがクッパの顔の前で、ピタリと停止した。
「フン、何が来るかと思えばこんなものか!!こんな紙切れ一枚に何が出来るというのだ!!」
自慢のパワーで、トランプを破り捨てようとしたーーその時、
ーーパチン!
ネルが指を鳴らした瞬間、一枚だけだったトランプが、何枚にも増殖した。
その数は恐らく、数百枚は軽く越えているだろう。
「ぐわああああっ!?」
あまりの数に、さすがのクッパも怯んでいる様子。
そのまま、ネルは再び2本の長いステッキを左手にグッと握りしめた。伸縮性なのだろうか?
そのステッキを前に勢いよく突き出すと同時に、クッパの周囲にまとわりつくトランプが、何かに
形を変えていく。
だんだん、そのトランプ集団の全貌がハッキリと見えてきた。
細長くたなびくその姿。
ネルのステッキに合わせて、螺旋状に素早く回転する動き。
そして、マリオ家のほぼ真上の上空を、黒く埋め尽くしている。
そのどこか不気味な風貌は、広範囲において多大な被害を及ぼす、ハリケーンを彷彿とさせた。
「な…何なんだこれは……ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
増殖したトランプの数が多すぎるせいか、中にいるであろうクッパの姿は、マリオ達からは全く見えなかった。
「聞こえますか大魔王さん?」
すると突如、ネルが声を張り上げてクッパに何かを伝えようとする。
もちろん、ステッキの動きは1秒たりとも止める気はないのだろう。
「トランプに書いてある文字は、確認しましたかね?
そのトランプには、"JOKER"と、そう書かれていますよね?」
クッパからの返答は無い。…いや、声を出してはいるが、大量のトランプが音を遮断しているのだろう。
構わずネルは続ける。
「JOKERというのは、和訳すると『道化師』という意味です。
……が、私の技が示す意味は、それとは違います」
その瞬間、クッパを包む竜巻が赤紫色に染まる。
「私の示す意味は、『グリム・リパー』、つまり『死神』です…。
その竜巻に巻き込まれた者は……分かりますねっ!?」
「やっ…やめろネル!!いくら何でもやり過ぎだよ!!」
クッパの生命の危機と判断したルイージが、精一杯の大声をあげる。
ーーしかしもう遅い。ルイージが声をあげる前には、ネルは勢いよく地を蹴っていた。
ネルが跳びたったのとほぼ同時に、クッパを包む赤紫色の竜巻がすっと消えた。
まるで、最初から存在しなかったかのように……
瞬く間に、ネルがクッパの巨大な甲羅に2本のステッキを交差させる。
2人は、真っ逆さまに急降下していった。
そしてーーーー
ーーーーーズドオオオオオオオオオオオオン!!!!
クッパは仰向けになった状態で、地面に強く叩きつけられた。ピクリとも動かない。
ネルが、その横にスタッと着地を決める。
先ほどまでのトランプは、もうどこにも残っていない。
残ったのは、マリオ達の中の大きな戦慄だけだった……