二次創作小説(紙ほか)
- Re: サトミちゃんちの恋のライバル!? ( No.47 )
- 日時: 2016/10/04 14:53
- 名前: ももたん ◆hjAE94JkIU (ID: rS2QK8cL)
- プロフ: 少し書き方変更。
▼馬鹿なのは誰だ△
小さく音を立てて、ライトブラウンの机の上に紅茶の入ったカップが置かれる。
「ごゆっくり。失礼いたします」
そういって音一つ立てずに部屋を出ていくメイドに、俺は小さく頭を下げる。
今俺は、兄貴の家…元のフネばあの家に来ている。
「…さて。で、どうしてそうなったんだ? 俺は真面目に交際するならこんなことはしないようにと何度も何度も…」
「あーっ、そうだけどよ、兄貴は確かに何度も言い聞かせてくれたけど…。今回は、俺が…振られたんだよ」
「振られたんだよ」の部分は、声がかなり小さくなっていた。こんなこと自分から言うなんて、悲しいにもほどがある。出来れば言いたくなかった言葉だ。
「…お前が?」
「ああ」
兄貴の声は、いつもとあまり変わらない。けれど、その表情から驚いていることが見て取れた。
「アイツが…。サトミが、俺が先輩とレストランで打ち合わせしてるの見て、浮気してんじゃねーかって勘違いしたんだ」
「お前は会うということを里見サトミに伝えていなかったのか?」
兄貴的には、俺が振られたという事実を飲み込めない…というか飲みこみたくないらしい。サトミではなく俺に責任があるのではないかと聞いてきた。
「伝えたよ、もちろん」
「じゃあ何故。何か言葉が足りなかったんじゃ…」
「俺と先輩がちょっとした笑い話してるの見て、勘違いしたんだと」
その笑い話というのがサトミの話だということは、必要ないから言わなかった。
兄貴が小さくため息をつく。その表情は…呆れている。
「里見サトミは馬鹿だな…。そんなことで勘違いするなんて」
そうだろ兄貴。流石俺の兄貴だ。
「…とでも言われると思ったか? 馬鹿はどっちだ、考えろ」
…は?
「僕はそろそろ会議がある。先に行くが、別にここで考え耽って(ふけって)いてもいいぞ」
「…いや、帰る」
そう言い、俺はカップに残った紅茶を飲み干し、席を立った。
兄貴は、そうかとだけ言って、部屋を出ていった。俺も上着をもって部屋を出る。
帰り道、俺は兄貴の言葉の意味を考えて歩き、電柱にぶつかるという漫画のような体験をした。すごく恥ずかしい。