二次創作小説(紙ほか)

Re: ONE PIECE マリモ剣士の妹君 ( No.2 )
日時: 2017/04/10 05:34
名前: PP (ID: n/BgqmGu)

※記事が増えてきたのでココに飛び先を貼っておきます
今後続きを読みに飛ばれる場合はこの記事からよろしくお願いします。

>>2-4 >>7-12 >>14-22

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クー クーとカモメが澄みきった蒼空を飛んでいる。
季節は夏。気候は晴れ。晴天だ。

「おーい!島がみえたぞ〜! 夏島だ!」

展望室から拡声器を通したウソップの声が船内に響く。

「うん!今回の航海もバッチリね。さすが私!」
「お〜〜!ビーチだ!ビーチ!うひょ〜〜!」
「わぁ〜!観光地みたいだな!人がいっぱい見えるぞ!」
「び、び、び…美女が、水着姿の麗しきおねぇさま方があんなに…うぉぉぉぉぉ!生きててよかった!!俺はぁぁぁぁぁぁああああ」
「ぱ、パンツ姿のお嬢さんが…あんなに!ヨホホホホ!!
ワタシ鼻血がでそうです!…鼻、ないんですけど〜!」

—— ヨホホホホ、スカルジョーーーク!

双眼鏡を両手にやや興奮した様子でルフィ、チョッパー、サンジ、ブルックはやっと見えた島を眺めている。

目前に広がるのは、白い砂浜にターコイズ色の海岸。
色とりどりのパラソルに…海水浴を楽しむ人、人、人!!!
ビーチの後ろには、これまた趣ある商業施設のようなものが並んでいる。

いかにも観光リゾート地といったような風景に自然と心が躍る。

「おいナミ、港に停泊している船。
商船と客船ばかりのように見えるんだが…」
「あら、そうみたい。んー、海賊船はどこに着ければいいのかしら」
「あの隣の島じゃないかしら?」
「隣?」

双眼鏡を片手に地形を観察していたロビンが、今見える島の右側を指さす。


—— そこには確かに、ぼんやりとだがもう一つ島のような姿が見えるような……。


「みんな、ちょっと待ってて!まだ島に近付いちゃだめよ。
いったん右にそれるわ!サンジ君、面舵きって!」
「はぁ〜い。ナミすわぁん!!」
「え〜〜、なんでだよナミ〜!」

ナミの一声で甲板前方にて騒いでいた4人が一斉に振り返る。
その様子にうむ、と頷いて彼女は後方の図書室へと駆け出して行った。
そうして数分もしないうちに戻ってくると、芝生の真ん中へと駆け下り、一冊の雑誌を広げた。

「いい、みんな? ここは諸島なの」
「諸島?」
「あら、そういうことなのね」
「はは〜ん、なるほどな」
「「?????」」
「おいおい、島から逸れちまってるけどいいのか〜? ナミ〜?」

ナミの言葉に首をかしげる者、数名。
納得がいったという顔をする者、数名。
黙って言葉の続きを待とうとする者、数名。

そこへ、ようやく展望室から降りてきたウソップがナミへと声をかけた。
その後ろには眠そうな顔をして、同じく展望室から降りてきたゾロ。

……どうやら寝起きらしい。


「全員そろったわね、丁度いいわ。
いい? 簡単に説明すると、今見えた島は一般向け。
私たち海賊が停泊する島は別にあるの」
「住み分けか」
「そういうこと。この本によれば、セヨルカ諸島はビーチリゾートの観光業で成り立っているみたいなのよね」
「な〜るほど。すみわけか〜」
「いいな〜。いいな〜。さっきのビーチ早く行きてぇなぁ〜」
「そこ!あんたたちは適当に相槌打たない!」

—— まったく…今のうちにこの諸島での最低限のルールを覚えてもらわなくちゃいけなのに…あんたたちは…っ。

はぁ、とナミは軽くため息をついて片手をおでこに当てる。
だが小言を言いながらも、その表情はどこか楽しそうだ。
そして聞いているのかいないのか…。船長の陽気な声が風と共に芝生をそよそよと流れていく。


「しししししっ! まぁ何でもいいじゃねぇか、ナミ。
それより、俺たちの停泊する島ってあそこなのか?」
「おそらくね」
「そっか。楽しみだなぁ〜。な、ゾロ?」
「ああ」
ニカっと笑いながらルフィは腕を伸ばして船首像へと向かっていった。

空は快晴。雲はちょこっとまばらに、フワフワと。
海は透きとおったディープブルー。
風はそよそよ。気候はカラっと、さっぱりと。

期待に胸を膨らませ、船長は真っすぐひたすら前を見つめ続ける。

一味を乗せ、サニー号はゆっくりと南国の島へと近付いていた。


 

Re: ONE PIECE マリモ剣士の妹君 ( No.3 )
日時: 2017/04/10 05:22
名前: PP (ID: n/BgqmGu)

※ここからオリキャラ出ます。肝心の妹ちゃんではありません(泣)


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「おい、…本当にやるのか?」
「なに言ってんだか…。オレたちがやらなくて誰がやるんだよ」
「でもよ…おれたちじゃ、返り討ちに遭って終わりじゃないのか?」
「んなことは百も承知だろ!覚悟のうえだ!」
「そうそう。あ兄ぃだって見たじゃん。…この作戦に賭けるしか、ほかに方法なんて無いでしょ…」

セヨルカ諸島ベルザ島。
新世界でも珍しく比較的平和なリゾートアイランドとして有名なこの諸島において、
このベルザ島はその中でも住み分けが少し特殊な島として認識されている。

そんな島のとある酒場。

その片隅で深刻な顔をしてコソコソと話し合いをしている三人の男たち…。

「悪ぃ…わかってるっ。わかってるよ!俺だって覚悟を決めたんだ。
でもな、冷静に考えてみろ。
真正面から向かったとして、オレたちの実力じゃあ到底かなわないだろうが」
「それはまぁ…確かに」

青い髪の男の言葉に、うっと声を詰まらせる残り二人の若い男。
はぁ、…じゃあどうすりゃいいんだよ?と大きなため息をつき、
二人は同時に目の前の青髪の男をみやる。

仲間の二人が冷静さを取り戻したのを確認すると、
青髪の男は何か覚悟を決めるようにキッと目を据え、それから口をひらいた。


「何もべつに全員相手にする必要はないんだ」

——— 目的を達成できりゃそれでいい。
——— だから、な?

ちょいちょい と、手招きをして顔をつき合わせるようにうながす。
そうして三人はこそこそと話し合う。



———— わかった。その作戦でいこう。
やがて黄緑色の髪の若い男はそう言い、ピンク色の髪の少年はコクリと頷いた。




覚悟を決めた彼らに、もはや迷いはない。



Re: ONE PIECE マリモ剣士の妹君 ( No.4 )
日時: 2016/06/27 05:51
名前: PP (ID: n/BgqmGu)

色鮮やかな三色髪の男たちが酒場の片隅で密談をしていたその時刻から…
少し、時間をさかのぼること数刻。



「うは〜!着いた着いたぁあ〜!」

海賊らしからぬ、可愛らしいフィギュアヘッドを付けた一隻の船。
しかしマストにはしっかりと…あの有名な海賊マークを描いた船がこのマラン島の港へとやってきた。

そうして船の中から、麦わら帽子を被った快活そうな男が
ぴょ〜んと飛び出してきて…声が港に木霊する。





——— 間違いない。



「おいおいおいおいおい…。あの麦わら帽子、間違いないよな?」
「ああ。なんでこっちの島にいるんだよ…」


——— まぁ、島の選択として…間違っちゃあいないといえば、そうなのだが…。






「待てまてまてっ! こら、ルフィお前一人でどこ行くつもりだよ!」

「まったくだ!一人で突っ走ろうとするんじゃねぇ!
ナミさんの御心をわずらわせるようなマネは、このオレが許さん!」

「ルフィ〜!オレも、オレも行くぞ!」


長い日数を掛けやっと着いた陸地。
ルフィは帽子を被り直し、これからの冒険にワクワクと期待に胸を膨らませる。

…それとなによりも まず、飯が食いたい!


そんなことを考えていると、頭上から仲間たちの声が聞こえた。

見上げればちょうど甲板からウソップ、サンジ、チョッパーの三人が船の縁に片足を乗り出し、今まさに船を降りようとしているところである。




「…おい、あいつらだけで大丈夫なのか?」
「おめぇが言うなよ!」

「でもこれ以上、大人数でぞろぞろ行くのもどうかと思うわ」

「あぁ〜確かにそうですね〜。
危険は無さそうな島でしょうが、これ以上は…ちょっと目立ちますね〜」

「あ〜もう、まだお小遣い渡してないのに…」



誰が船番をするか…くじを行う暇もなく、
出遅れた五人は港の様子を見ながらポツリポツリと話し合う。

いくら自由に行動したいとは言え、いまやこの船の全員が賞金首だ。
どうしても多少の冷静な判断は必要になってしまう。

……本当は全員で行きたいところだが、
骨とロボまでくっついて歩けば、目立つことこのうえない。





——— ビュン!

「サンジくん。それ、四人分のお小遣い。
あと、この諸島はログがたまるまで一週間よ。
今日は日が暮れたら一旦船に戻るようにルフィたちに伝えといて!」

「あ〜い!ナミすわぁん!」


サンジにナミは小銭の入った麻袋を投げた。
おそらく、この四人の中では一番頼りになるだろう。
この島にもビーチがあったが……うん、きっと大丈夫だ。そう信じたい。





「お〜い、なにしてんだサンジ〜?おいてくぞ〜」
「サ〜ンジく〜ん」
「サンジ〜、はやくはやく〜」

「うるせぇ、クソ野郎ども!いま行くっつってんだろ。
ナミさんロビンちゅわん〜お土産まっててねぇぇぇ〜!」



振り返れば、サンジのはるか後方でお子様三人組は元気にわぁわぁとはしゃいでいる。
はやく行かなければもう姿を見失ってしまいそうだ。

サンジはちっ、と少しだけ舌打ちをすると、タバコのフィルターを噛み猛ダッシュで彼等の元へ向かった。