PR
二次創作小説(紙ほか)
- Re: 東方 夢想朱 ( No.7 )
- 日時: 2016/08/27 07:50
- 名前: 瑠愛 (ID: qUUtOunA)
「……仕方ない、勝負は引き分けね」
「ああ、そうだな……」
私と魔理沙は満身創痍で呆れたように、笑う。
しかし、その視線の先はお互いの顔ではなく__________
「ずるいぞ霊夢!勝負は引き分けだろ!」
「アンタこそ!先に走り出したじゃない!」
「わ、私は居間に戻ろうとしてただけだぜ!」
「だったら走る必要なんてないでしょ!?」
全力ダッシュしながら文句を言い合い、目的の物を目指して走る。
だが、たどり着いた先にはもうそれはなくなっていた。
そこに残っているのは、空になった皿とすっかり冷めてしまったお茶。
そして、
「美味しいですね、このお煎餅」
目の前に立つ、少女。
「……アンタ、誰?」
緩く結われたポニーテール。深い吸い込まれる真っ黒な瞳。陶器のように滑らかな白い肌。桃色の古風な着物を身につけていて、足首に小さな鈴がついている。
少女は美しい、と言うより小柄で華奢な体躯から、可愛らしいと言える。
私が少女に問いかけると、少女はクスリと笑った。
とても、綺麗な笑みだが、笑っていない。
「私のこと……覚えていないんですか?霊夢さん」
「覚えてるも何も、アンタと会うのは今が初めてよ。……見たところ里の人間ね。勝手に人ん家の神社上がって集って……罰が当たるわよ?」
少女は徹底して笑みを崩さない。
私が呆れた声で言うが、ふと、魔理沙の方に目を向けると、魔理沙は何か落ち着かない様子で少女を見つめていた。
PR